サニーデイ・ソング
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「おはよう、」
あと一歩で自分のクラスという所で不意に後ろから声をかけられた。思わず振り向けば其処にいたのは風丸で。昨日の今日で許せる程大人じゃない私は、風丸に向かってあっかんべーと舌を出してプイッと無視してクラスへと足を進めた。自席に座って深く息を吐けば隣から聞こえた子供か。という声にだって子供だもん。と返事をしたのだった。
昨日、風丸の頬を叩いた私は止まらない涙を乱暴に拭いながら走っていれば鬼道くんに腕を捕まれて。泣き止むのを待ってくれている鬼道くんにごめん。と何度も言っていれば今度は豪炎寺くんが現れた。ポツリポツリと先程の事を話せば二人は口を揃えてそれは風丸が悪い。と言ってくれた。それに対して、でも私も叩いちゃったし…。と言えば、俺だったらボールをぶつけてるな。確かにな。と言う豪炎寺くんと鬼道くんの冗談か本気かわからない言葉を聞いて思わず涙が引っ込んだ。そしてそのまま家に帰れ。と一言貰い、風丸に会う事なく帰宅したのだった。
「今日は朝練ないの?」
「ああ。決勝だからな」
「成程」
いつもこの時間はまだサッカー部は朝練をしている時間だと疑問に思い聞けば、真剣な眼差しの鬼道くんが決勝だと言ったのに並々ならぬ強い意思を感じた。
「大丈夫。きっと、勝つよ」
私の勘は当たるんだ。そう言って笑えば何だそれ。と鬼道くんは笑った。そして次に困った様に眉を下げた。
「…風丸、反省してるんだ。だから、許してやってくれ」
「…うん、知ってる」
口下手で、困るよね。今度は私が眉を下げて笑えば鬼道くんはそうか。とやっぱり笑った。
「俺よりも風丸とは長いか」
「そうだよ。だから、わかってる。あれが本心じゃない事も。…でも、それでも、」
あんな事、風丸の口から聞きたくなかったんだよ。今にも溢れそうな涙を堪えて笑えば、無理するな。と頭を優しく叩かれた。
「…決勝戦が終わったらさ、少し、風丸と話せるかなぁ」
「話せるさ。俺達が時間を作る」
「…ありがとう」
予鈴のチャイムが鳴り、担任が教室に入ってきて朝のHRが始まる。担任の話を流し聞きしながら、午後イチでサッカー部は決勝戦へと向かうんだと考える。大丈夫、皆の努力は、報われるよ。そう信じて、決勝後に風丸と話す事を考えた。
サニーデイ・ソング
(窓枠一杯の大空に)
(大丈夫だよと)
(背中押された気がした)
20180725