アフターグロウ
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「風隠詩音です」
宜しくお願いします。円堂に連れられて突然現れたその子は、ふにゃりと笑って自己紹介をし、そして次に、紹介するならちゃんとして!と円堂の肩を揺らした。そんな出会いをしたからか、瞬時にこの子とは仲良くなれそう、と。それから、ああ、この子か。と納得したのを覚えてる。
「アタシは財前塔子!よろしくね!」
対エイリア学園の為にスカウトされた面々が次々に自己紹介するのを一人一人顔を見て覚えようとする彼女に、堅苦しいから塔子って呼んでよ!といきなり距離を詰めれば、綱海もなら俺も!と便乗したのに少しだけ眉間に皺を寄せ、ええー…と溢したのに思わず笑う。
それから、少しだけ悩んで出した答えは物凄く小さな声で塔子。それから、つ、綱にぃ…。と発せられた言葉に思わず破顔した。アタシや綱海もぐっと距離を詰めた自覚はあったのに、それの斜め上をいかれ、そして仲良くなろうとしてくれてる気持ちに嬉しくなったから。そんなアタシ達を知ってか知らずか、未だに恥ずかしがってる詩音はお兄ちゃん憧れてて…とかやっぱりいきなり過ぎた…?何てぶつぶつと言い訳を並べてるのが聞こえて余計に綱海と二人で笑い合う。
「詩音、あんたやっぱ最高だね!」
「ええー!?」
何それ~!肩を抱いて笑えば少しつり目になった詩音が頬を膨らませていて。その姿を見て笑ったのはやっぱりアタシで。
それから他愛ない話をしていれば鬼道が詩音を連れてってしまった。もう少し話してたかったのにな~何て頬を膨らませていれば、隣で綱海がまた会えるさ!と豪快に笑ったのにそれもそうか。と同意した。
「ーーどうしてるかな」
「?風丸?どうした?」
ああ、いや。一寸な。あの日、星空の下で焚き火を囲って皆で楽しくご飯を食べていた時。少し遠くを見る様な目をした風丸から溢れた言葉。それが気になって反応すれば困った様に笑った風丸は小さな声で、ここに来る前に、喧嘩して、そのままの奴がいてな。と空を見上げた。
「何時も笑ってて誰かの応援をしていて。他人の感情に敏感な癖に自分の事には無頓着で。自分が傷ついていても、他人の為に奮起する、」
そんな奴と、口論になってそのままでさ…。そう言ってアタシの顔を見た風丸は今にも泣き出しそうで。日本一になって学校に戻ったら、ちゃんと話そうって思ってたんだけどな。と続けられた言葉に返す言葉が見つからない。そんなアタシに気付いたのか、悪いな、こんな話をして。と眉を下げて笑った風丸にアタシは何と答えたっけか。
「ーー今なら、言える気がする」
「?何か言ったか塔子?」
何でも!ニッと笑って綱海と一緒にグラウンドにいる皆の元へ歩く。なあ風丸。あんたと詩音の事は、風丸自身がどうにかしないとな。じゃないときっと、後悔するよ。でもね。もしそれで、ううん。何かで詩音が傷付いたのなら、
「…その時アタシは、詩音を守るよ」
まだ出会ってそんなに時間は経ってないけれど、アタシは、詩音の笑顔が大好きだから。
浮雲ラプソディ
(救いたいの、助けたいの。と)
(今にも泣き出しそうな笑顔を作って言う詩音に)
(あんた一人で抱えなくていいんだと)
(そんな気持ちを込めて口々に皆が言う)
(サッカーやろうぜ!と)
20190122
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