黎明ファンファーレ
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「……あれ、変スね?誰もいないんスかね?」
やっと辿り着いた雷門中学校。人一人いる気配もなく、歓迎ムードなのかよく分からなくなっていて。皆がキョロキョロと周りを見渡していれば目の前から歩いてくる人影が見えた。
「彼奴は…!!」
「お待ちしていりましたよ、雷門の皆さん。皆さんにはまだ、最後の戦いが残っていますからね」
向かってくる人影に、最初に気付いたのは円堂くんで。何で此処に?という感情のこもった言葉を無視し、そう言って笑った人物、剣崎さんは後ろにいるメンバーに前へ出ろと促した。
「風丸!?」
「!!」
その内の一人がフードを外した。それを筆頭に全員がフードを外す。そして見えた顔には全員、覚えがあって。
「…」
「久しぶりだな、円堂」
「な、どういう事なんだ…!?」
絶句する円堂くんを一瞥して一瞬だけこちらを見る風丸と目があった。けれど、直ぐ目を離されてしまって。
「風丸…」
「俺達と勝負しろ!」
名前を呼んだ円堂くんにそう言った風丸を見ていて気づいた。胸元に光るモノの存在を。私には懐かしく、皆には忌々しい青々しく光る、あの不気味な石を。
「あの光は…エイリア石…?」
「何だって!?」
ポツリと呟いた私の声を拾った円堂くんが此方を向いた。その姿に間違いないよ。と頷けば、後ろにいた響木さんが研究施設と共に破壊されたはずじゃ…!と続けた言葉に剣崎さんは不気味に笑って頭を下げた。
「皆さんにはお礼を申し上げます。…お陰で無駄極まりないジェネシス計画に固執していた旦那様を、吉良星二郎を片付ける事が出来たのですからね!」
「何、それ…!」
ワナワナと震える拳を握り締めて言葉を聞いていれば、突如隣にいる鬼道くんがはっと何かに気付く。
「まさかあの爆発は!」
「お察しの通り、私がやったのです。エイリア石を私だけのものにする為に!」
「「「!!」」」
語られる言葉は受け止めるには大きすぎて。この人は何を言っているんだ?そんな、たったそれだけの為に、ヒロトくん達や円堂くん達、そしてお父さんは危険な目に遭ったの?
ぐるぐると巡る思考に怒りが沸き上がる私に気付く事もなく、剣崎さんは楽しそうに言葉を更に続ける。
「旦那様はエイリア石の本当の価値を分かっていなかったのですよ。何一つね!ですからこの私が正しい使い方で、究極のハイソルジャー作り上げたのです」
「まさか風丸達が!?」
「その通り。それが!ダーク・エンペラーズです!」
そう言って紹介された風丸達に皆言葉を失う。そんな私達に気分をよくしたのか、剣崎さんは更に不気味な笑みを浮かべてああ、それから。と私の方を向いた。
「風隠詩音さん。貴方のお陰で彼らは更に成長できました。ありがとうございます」
「私の…?」
「ええ。貴方がエイリア石でジェネシス計画同等の力を発揮していただけたお陰で、彼らは究極のハイソルジャーへと生まれ変われました!貴方のデータは、実りある結果をもたらしたのですよ」
「そん、な…」
私の所為、なの…?私があの石を受け入れた所為で風丸達はこんな事になってるの?先程まであった怒りが静かに消えていった。そして残ったものは罪の意識で。剣崎さんが笑って、風丸達の瞳に闇が深まれば深まる程足元から闇に引きずり込まれている、そんな感覚に陥る。
「…詩音ちゃん。大丈夫。そんな言葉、聞かなくて良いんだよ」
青ざめる私に優しく声をかけてくれたのは雪吹くんで。優しく背中を擦る吹雪くんの顔を見ればふわりと笑い、そしてそっと私を引き寄せて耳を塞いでくれた。
「…まあ、いいでしょう。今日は我がハイソルジャーの本当の力を証明しに来たのです。彼らが、君達雷門イレブンを完膚なきまでに叩きのめします!」
そんな私を見て興醒めだと溜息を吐いた剣崎さんは話題を戻した。そしてニヒルな笑みを浮かべて雷門イレブンにそう言い放ったのと同時に円堂くんがこんなの嘘だ!と風丸の元へ駆け出した。
「お前達は、騙されているんだろう!?なぁ!?風丸!」
風丸の肩を揺らしながら切実な声で聞く円堂くんに、風丸はそっと手を差し伸べた。それに安心したのか、笑顔を取り戻した円堂くんがその手に自分の手を添えようとすれば。
「!!」
パァンっと乾いた音が響き渡った。その音の元は風丸で。円堂くんの手を払い除け、目を伏せていた風丸は正面を向き直し、そして、真剣な声で話し出した。
雨滴フィッシュール
(自分の意思でここにいる)
(そう言い放った風丸は)
(さあ、サッカーやろうぜ。と)
(円堂くんに笑いかける)
20181231