黎明ファンファーレ
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リミッター解除して超人的な力を手に入れたジェネシスは動きを捕らえる事が出来ず、目にも止まらぬ速さでゴールまで駆け上がる。
「人間の能力を超えている!これがリミッター解除なのか!?」
「人間は、体を守る為に限界を越える力を出さない様に、無意識に力をセーブする」
では、その全てを出しきれるとしたら?嬉々とした声で語るお父さんの言葉に全員がその後の事を予想して絶句する。まだ私達子供なのに。大人に守られるべき子供なのに。
「お父様の望みは、私達の望み!」
これが私達の最強の技!そう叫んだ玲名が合図1つ出してヒロトくんと由宇と三人で新必殺技、スペース・ペンギンを放つ。
「ムゲン・ザ・ハンド!……っあ、うわぁ!」
「ゴォール!ムゲン・ザ・ハンド、三度破れる!」
勝ち越しを許してしまったぁー!フィールドに響く追加点を知らせる角間くんの実況。それを聞き流しながら、苦しもがくヒロトくん達に眉間に皺が寄る。
「これくらい……お父様の為なら!」
「そう……父さんの為…!」
「……」
立っている事も儘ならない状態の筈なのに、それを我慢してフィールドを駆け回るヒロトくん達。その後ろ姿を見て、雷門の皆を見て、力強く握っていた拳を開く。
「…大丈夫。絶対、大丈夫」
掌を見つめる顔は、きっと歪んでる。大丈夫だって信じなければ私のやる事、なってほしい未来は、きっと掴めないから。
「まだ泣くには、早いぞ私」
だからほら、顔をあげよう。前を向こう。走りだそう。
深呼吸を一つして、一歩を踏み出す。俯き気味だった顔をあげれば、玲名が円堂くんにスライディングをしていた。
「リミッターを解除した私達をかわすだと……!?」
スライディングしてきた玲名をかわした円堂くんは、そのまま目の前に現れたヒロトくんをもかわす。そして鬼道くんや皆とパスを繋げてゴールへ駆け上がる。
「豪炎寺!」
「このボールは!絶対に繋ぐ!」
「爆熱ストーム!!」
「時空の壁!」
豪炎寺くんへのパスは阻止され、そして飛んでいったボールを雪吹くんがヘディングで豪炎寺くんへ回す。そうやって繋がったパスを受けた豪炎寺くんが必殺技を放った。放たれた必殺技はネロの必殺技を受けたが威力を殺しきれず、空高く上がり、それを取るべく円堂くんが壁山くんと協力して高く飛んだ。
「豪炎寺!吹雪!」
円堂くんから受け取ったパスに答える様に、豪炎寺くんと雪吹くんが炎の様な、氷の様なオーラを纏う。そして放たれた連携技は必殺技となり、ジェネシスのゴールを破る。
「仲間がいるから強くなれる…これが、円堂くんのサッカーなのか!?」
点を取った豪炎寺くん、雪吹くん、そして駆け寄った円堂くんの三人を中心に皆で取った一点だね。と喜び合う雷門にヒロトくんは驚くも、だが!と苦しそうな表情をして再開された試合に猛スピードで駆け抜ける。
「最強なのはジェネシスの!」
「父さんのサッカーなんだ!」
スペース・ペンギン!必殺技が放たれ、立向居くんに円堂くんが取れ!と声をかけるのを聞きながら駆け上がる。あと少し、あと少しでボールがゴールに辿り着くと言う所でボールに追い付いた。
「アトモスフィア!」
「風隠!!」
「詩音!!」
高く飛んで立向居くんとボールの間に自分の必殺技を放つ。私の必殺技の威力が高いと言ってもあっちは三人技。簡単にはいかなくて、思わず顔を歪める。周りにいた雷門の皆から呼ばれた私の名前と、後ろから聞こえた何で…。と言う立向居くんの声に振り返ってふにゃりと笑う。
「くっ……はっ……!」
「止めたぁー!何と!敵チームであるスピカ、いえ、風隠が必殺技で対応したぁー!!」
「詩音さん…」
何とかギリギリ止められたものの、限界に近い私はその場にしゃがみこむ。肩で息をする私に動揺しつつも近寄ってくる立向居くんにもう少し、格好良く助けるつもりだったんだけどねぇ。と眉を下げて笑う。
「…ごめん、皆。もう私、動けないの。…でも、救いたいの。助けたいの。…だから、」
そこまで言うと鬼道くんが肩を叩いた。それを合図に、豪炎寺くんや綱にい、塔子達が順々に声を駆けてくれて。
「分かってる。任せろ」
「……鬼道くん」
「お前の頼みだ。誰も文句言わないさ」
「豪炎寺くん」
「よくここまで一人で頑張ったな詩音!」
「…私は何もしてないよ、綱にい」
「そんな事ない!詩音がいなきゃ、もっと点取られてた」
「塔子…」
「君のお陰で今の僕が居る。だから、今度は僕が手を差しのべるよ」
「雪吹くん」
「風隠!俺達と一緒に、この計画を止めよう!」
サッカーしよう!最後に響いた円堂くんの声。その声に涙が溢れたのは私。小さく、…ありがとう。と言えば皆笑っていた。
灯火ラストゲーム
(雷門の皆の顔を見て)
(それからヒロトくんの顔を見れば目を丸くしていて)
(ごめんね)
(君を今から助けるよ)
20181201