黎明ファンファーレ
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目を閉じて微動だにしない吹雪くんへコーマ、恭馬とクィールのルルがスライディングをかけた。その瞬間、ボールをキープしたまま高く飛び上がった雪吹くんは一瞬、ほんの一瞬だったけれど私の方を向いてにこりと笑った。その姿を見て、彼はもう大丈夫だと悟った。敵同士でありながら綻ぶ頬を抑えきれず、溢れた言葉と同時に微笑み返す。
「……行け」
飛んでいったマフラーは嬉しそうに風と踊っていて。そのマフラーを見て、涙ぐんだのは私。
「……君にも、ちゃんと会いたかったな…」
さよなら、アツヤくん。また何時か。グラウンドに着地した雪吹くんは清々しい表情を浮かべて豪炎寺くんとゴール前まで駆け上がる。そのすれ違い様、優しい風が頬を掠めた。
「これが、完璧になる答えだ!!」
ウルフレジェンド!覚醒した雪吹くんの新必殺技はネロのプロキオンネットを降してゴールへ収まる。同点へと導いた雪吹くんへ雷門イレブンが嬉しそうに駆け寄るのを見て、それからジェネシスの元へ歩みを進める。ヒロトくんの横に着いた時にはこれ以上父さんに恥をかかせる訳にはいかない!とメンバーを鼓舞していた。
「…スピカ」
「ん?」
ポジションへ向かう途中、ヒロトくんに声をかけられ振り返る。どうしたの?と聞けば瞳が一瞬陰った。
「…君は、どちらの味方でいるつもりだい?」
「……言ったでしょ。この試合、勝ち負けが問題じゃないって」
答えになっていない答えを返して困った様に笑えば、それ以上は何も聞いてこないヒロトくんを残してポジションへ戻る。
「……どちらの味方にもなれない私はきっと、ただこの場を掻き乱してるだけ……」
何の為に私、頑張ってるんだろう…。ピピーッ!と鳴ったホイッスルを合図にヒロトくんが駆け上がるのを棒立ちで眺める。相変わらず雷門イレブンはヒロトくんを止められず、ゴールまで攻められていて。相対した立向居くんが何かを決意したのか、強い眼差しで俺だって!と叫びながらヒロトくんと対峙しているのが見えた。
「流星ブレード!」
「俺だって…!゛憧れてた゛雷門の一員なんだ!!」
「!」
ムゲン・ザ・ハンド!聞こえた声と放たれた必殺技に肩を揺らす。ボーッとしていた意識をゴール前、立向居くんへ向ければヒロトくんの必殺技を受け止めた立向居くんがいて。
「立向居!」
「いいぞ!遂に取ったな!」
「はい!」
円堂くんと綱にいに褒められて嬉しそうに笑ってボールを掲げた立向居くんは究極奥義は進化するんだ!と明るい声で言葉を続けた。
「俺が諦めない限り!何度でも!…貴女のお陰です!」
「え……」
詩音さん!そう言って笑った立向居くんの言葉と視線は私を射ぬいていて。バチッと合った視線を外せずにいれば突如大きい地鳴りが響く。この場にいる全員が狼狽える中、空に浮かび上がったモニター越しのお父さんだけは不敵に笑っていた。
冷笑スケープゴート
(語られたジェネシス計画に答える為)
(放たれた必殺技は)
(易々と雷門のゴールを破った)
20181127