黎明ファンファーレ
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「……」
ヒロトくんが部屋を出て少し経った。一人になって、改めて考える。詳しい話を聞こうと何があったの?とヒロトくんに聞けば、父さんの願いなんだ。の一点張りで、何も教えてくれなかった。
「父さんの、かぁ…」
私だって父さんに恩がある。両親と買い物に出掛けた矢先に事故に遭い、奇跡的に私一人が残った時、手を差し伸べてくれたのが吉良星二郎さんだった。私と一緒においで?と優しく伸ばされた手に安心して掴んだのは私。でもそのあと数週間もしない内に引き取りたいと申し出てくれた方がいて、星二郎さんの知り合いでもあるからと養子縁組をしてあの場所からいなくなったんだよね。それまでの恩、返す時かもしれない。けれど、
「やっぱり、何か、違う気がする…」
それが何か、と聞かれれば何も答えられないんだけれど。
左手の中で青々しく光るペンダントを見つめる。見つめる度に問いかけられてる気がした。『お前はどうしたいか?』と。不気味で持っているのも嫌で、本当なら捨ててしまいたいのにそれが出来ない。
「…弱虫だなぁ…」
人と繋がるとその繋がりを壊したくなくて。誰かの助けに答えたくて。でもそれが間違ってるって、分かってるのにそれが出来ないのはきっと、私が弱虫で、意気地無しだからだ。
「…それでも、私にも、何か出来る事があるかな…」
何か一つ、誰かの為にやれる事があるかな。ぽつりと呟いてもう一度ペンダントを見つめる。そうすれば一瞬、先程より青々しく光り輝いた気がした。『お前に力を貸そう』と、石に言われた気がした。
「…ありがとう。それなら私は、貴方と一緒に闇に落ちるよ」
ニコリと笑って両手でペンダントを持ち直す。そのままぎゅっと握っておでこにくっつける。目を瞑って小さな声で、だから私に、力を下さい。と呟いてペンダントを首にかけた。
不死鳥ルフェーレ
(助けを求める声に向かって)
(地に落ちた翼で)
(再び飛び立とう)
20180915