黎明ファンファーレ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……起きて、詩音……」
起きて?優しく揺らされる体にもう少し寝かせてよ…と不機嫌な声を出してハッと目が覚めた。ガバッとベッドから起き上がれば、おはよう、詩音。と横からクスクス笑う声に状況が掴めない頭でとりあえずおはようと返事を返した。
「こ、こは…?」
「俺達の基地だよ」
「基地って…」
キョロキョロと周りを見渡す。どこを見ても黒、黒、黒。奥の見えない、真っ暗なこの部屋は何だか冷たくて不安になる。
「ヒロト、くん」
「……詩音、」
私の名前を呼ぶヒロトくんの顔を見れば背けられて。目を伏せたヒロトくんは何かを決意したのか、ポケットに手を入れて何かを取り出した。
「これは?」
「願いの叶うペンダント。……ねえ、詩音」
君の願いは何?ニコリと貼り付けられた笑顔で無理矢理渡されたペンダントは青々しく不気味に光っていて、じっと見ていると何か得たいの知れないものに飲み込まれそうな感覚に陥った。怖くなって咄嗟に布団の中にペンダントを隠す。
「な、何、これ…」
「詩音、抗わないで。委ねて」
「だ、ダメだよ!何か、これ、ダメな気がする!」
「詩音!」
首を振って嫌だ嫌だ!と小さな子供の様に抗議していればガシッ!と両肩を掴まれ、怒りの含まれた声で名前を呼ばれてピタリと止まる。
「……言ったよね?詩音。あの時、俺に言ったよね」
絶対、助けにいくからって。そう言って笑ったヒロトくんの顔は苦しそうで、辛そうで。
「ねえ詩音、助けてよ。俺を、父さんを…!」
ぎゅっと私を抱き締めるヒロトくんの体は震えていて、思わず涙が溢れた。
囚われノッテドゥルーナ
(一人になった部屋で)
(青々しく光るペンダントをもう一度眺めて)
(自分のすべき事を考える)
20180907