天翔音姫
夢小説設定
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「どうしてこうなったー!!」
迫り来るスピアーの群れに一心不乱に逃げ回る。私の傍で一緒に走っているブライトを見れば、わはー!!と楽しそうに笑っていて、恐るべし…!と思わず泣きそうになる。
「オーダイル、ハイドロポンプ!」
木の幹に躓いたのと同時に聞こえた声に答える様に頭上を勢いよく水飛沫が通っていった。攻撃されたスピアー達は束になって応戦しようとしたが、オーダイルの迫力に負けたのか小さく鳴いて逃げていったのに肩で息をしながら安堵した。
「あ、ありがとう、ございます…」
道に迷い、挙げ句スピアーを踏んでしまってと災難続きで…。あはは。と笑って助けてくれた人物を見上げれば固まる。
「あ、えっと、シルバー、くん…」
「何の為のポケギアだ」
「あ、いやー見てる筈なんですけどねー」
深い溜息と睨み付けるのダブルコンボに少し涙が出た。助けてブライトーとブライトを見れば彼の相棒のオーダイルに強いねー!と話しかけていて。
「……」
「何故ピカチュウに戦わせない」
ブライトこの野郎。という視線をブライトに投げていればトレーナーだろ。と続けられた言葉にニコッと笑う。
「トレーナーだからこそ、だけど」
「……は?」
お、仏頂面が崩れた。これは面白いな。何て心の中で呟いて立ち上がる。お尻についた汚れを軽く手で叩いて落としながらブライトを呼べば何ー?と言いながらこちらへ向かってきたのにおいでと両手を広げればすっぽり収まった。お疲れ様。とブライトに聞こえる音量で呟き、まあその前に、ここから近い街ってどこ?と前回と同じ様にシルバーくんに聞けば本日二度目の溜息を貰った。
「ポケモンセンターへ、ようこそ!」
あの後、勝手についてこい。と言われてので勝手についていって漸く辿り着いたポケモンセンター。自動ドアが開き、聞きなれたジョーイさんの言葉に今まで張り詰めていた緊張の糸がプツンと切れ、だらしない笑顔を浮かべる。隣から聞こえた呆れた笑いだって今はどうでもいい。
「ジョーイさん今日は。この子達、お願いします」
腕に抱えていたブライトと腰のベルトについていたモンスターボールを一つ置けば畏まりました!少々お待ちください。と笑ったジョーイさんが裏へ入っていった。その後ろ姿にふうっと息を吐く。取り敢えず大事に至らなくてよかった。そう考えながら振り向けば何とも言えない表情のシルバーくんが見えて思わず首を傾げた。
「何か変な事ありました?」
「お前、ピカチュウの他にも持ってたんだな」
本日何度目かわからないシルバーくんの睨み付ける。流石に何度も受けてれば慣れるというもので。ああ、うんそうだよ。と笑って言えばそれこそ何故そいつに戦わせない。と更に怒られた。
「そんなの、人其々じゃない?…それに、そう言う事君に言われたくない」
今まで只の道具と思っていた君には。嫌みったらしく笑顔で言葉を吐けば、案の定固まるシルバーくんは小さく…何故、と呟いたのに今度はこちらが冷めた目で彼の事を見る。
「何時何処で誰が聞いてるかもわからないよ」
今後は気を付けなよ、図鑑所有者さん。背中を向けて発した言葉は自分で聞いていても心に刺さる一言だった。
20180805