天翔音姫
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝日が昇るのと同時に目が覚めた。んんーっ!と腕を伸ばす。今日は珍しくよく眠れたなと考えて辺りを見渡す。見覚えのない部屋で一瞬頭を傾げたが、すぐに昨日の出来事を思い出して成程と手を打った。
「…ポケモンセンターだった」
静かにそっと部屋を出て、廊下を歩きながら呟く。部屋の中でそう言わなかった理由は昨日出会い、一部屋しか借りれずまだ寝ている皆さんを起こさない様にと云う計らいだ。
「…私としては、早く離れたいんだけどなぁ」
だってきっとあの人達は…。そう呟きながら病室の扉を開ける。静かに閉めて中に入り、ベッドの傍へ向かう。ベッドの上にいる、昨日ここへ連れてきたピカチュウはぐっすり夢の中だ。
「…君は強いね。あんな事があっても、生きる事を選んだんだよね」
ごめんね。視ちゃったよ。眠っているピカチュウの頭を撫でながら言う。今謝っても仕方ないと云うのに。まだ起きそうにないピカチュウにまた来るね。とおでこを合わせて呟く。入口まで向かい、ドアノブに手を掛けた所で後ろから聞こえた声に立ち止まる。
『彼処に戻る為に生きる事を選んだんじゃないよ』
「…起きたのね」
突然の声はピカチュウで。そう言って私を見たピカチュウは起き上がってちょこんとベッドに座った。
ここまでで分かる様に、私はポケモンの声が聞こえる。この体質の所為で、まあ色々とあったので人もポケモンも距離をおきたい…と思っているんだけど、怪我した子は放っておけないし、人には親切にしたいしで自分の信念はグラグラと揺れ放題だ。
『僕はね、君と一緒に生きたいんだ』
「私と?私といても強くなれないよ?」
そんな事ないよ。ふにゃりと笑ったピカチュウはベッドの傍に戻ってきた私にだって、と言葉を続ける。
『君の一番の相棒、あんなに強かったもん』
「…ああ、君、そこまで見てたのね…」
見られてないと思ってたのに…。片手で顔を覆い、項垂れる。傷つき、今にも死にそうなこの子を見つけた時、返事も曖昧だったから意識がないのだと思っていた。迫り来る他のポケモン達を一蹴するのを見られていたなんて。
手の隙間からピカチュウを見れば目が合い、えへへ。と笑った。
『君が僕を見つけて、ここまで運んでくれて、生きる力をくれた』
「それは君が生きたいと頑張ったから、」
『君の力が優しかったからだよ』
「…バレバレだぁ」
昨日の今日でこんなに元気になれないよ?ふふんと笑ったピカチュウは抱き締めてもらった時から感じてたもん。と自慢気だ。
『だからね、僕は君の傍にいたいんだ』
ダメ、かなぁ?耳を垂れ下げ、首を傾げるピカチュウに負けたのは、私。
「…仕方ないなぁ」
『やったぁ!』
ぴょんっと私の胸元目掛けて跳ねたピカチュウを慌てて抱き締める。病人でしょ?と言えば君のお陰で元気になったよ!と笑ったピカチュウに全く…。と許してしまう私も甘いのだろう。
「色々とあったけど、これから宜しくね、ブライト」
『ブライト?』
「そう。君の名前だよ」
そう言って頭を撫でてあげればおおー!ととても嬉しそうに笑った。
その後、術後経過を見に来たジョーイさんに回復力が早いと驚かれつつ、もう大丈夫だろうと退院を許可してもらえた。
20180713