天翔音姫
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「ウツギ博士の奴、飛行ポケモン貸してくれりゃ良いのに」
「急ぎじゃないみたいだし、何より久々に会うんだからって事でしょ」
グチグチ言わないでよゴールド。溜息と一緒に吐き出された言葉を背中で聞く。何故俺が先頭を歩いているかと云うと、あの二人の面倒臭い絡みから逃げる為だ。
「ダチ公、お前も何か言ってくれよー」
お前もさっさと終わらせて旅続けてーだろ?投げられた言葉にそうだな。と相槌を打つ。そうすればまた後ろが賑やかになった。
「もう!何でいつもそうなの!」
「俺には俺のやりてー事があるってんだ!」
「二人とも静かにしろ」
口喧嘩がヒートアップして、そろそろバトルが始まるなと静かに溜息を吐いた時、遠くに聞こえた足音に二人を黙らせる。段々と近づく足音に急な緊張感が生まれる。腰に付いているボールに手を添えればいつでもバトルできる状態だ。
「…ハッ!人!ここから近いポケモンセンターはどこ!」
木々の間から現れたのは俺達と年齢が変わらないであろう女だった。俺達を見るや早口でそう述べたのにどういう事かと現状をいち早く理解したのはクリスだった。
「酷い怪我!どうしてこんなになるまで放っておいたの!」
「そういうのは良いから!早くしないと手遅れになる!お願い!」
真面目なだけあり、腕に抱えられた今にも死にそうなピカチュウを見てトレーナーを怒るクリスはそのトレーナーから正論を返されて押し黙った。その二人のやり取りを今までただ聞いていたゴールドがへい彼女。と口を開いた。
「俺達も今から向かう所なんだ。旅は道連れってな!あと少しだからよ、着いてきな」
「ありがとう!」
そうして突然現れたトレーナーとピカチュウの為、俺達は走って次の町へ向かう。数分走れば町が見えてきた所で横から小さい声で本当にすぐだった…。と嘆く声が聞こえた。
「ジョーイさん!この子をお願いします!」
町に着くやポケモンセンターへ走り、ジョーイの言葉を聞く前にピカチュウを見せれば今まで笑顔だったジョーイの顔が真剣な表情へと変わる。
「今すぐ治療します。こちらへ!」
案内されたのは手術室前の廊下。手術中のランプが赤く光る。どれくらいの時間が経っただろうか。赤く光っていたランプがピコンと音を立てて消え、扉が開いた。
「お待たせしました。ピカチュウは一命を取り止めたわ」
数日ここで安静にしていればもう安心よ。そう続けられた言葉にピカチュウを抱えていたトレーナーとクリスが同時に深く息を吐いた。
「あの子を見つけたのは何方?」
「あ、はい。私です」
「貴方ね。貴方の発見がもう少し遅ければあのピカチュウは命を落としていたわ」
見つけてくれてありがとう。頭を下げたジョーイにトレーナーは顔をブンブンと左右に振った。
「そんな事ないです!…あの子が、生きたいと頑張ったんです」
「それでも、貴方がここに連れてこなければ何もかもがお仕舞いだったの」
貴方がその生きたいという想いを繋げたのよ。目が覚めるまで、良ければ傍にいてあげてね。そうトレーナーに言ったジョーイは手術室を後にした。
その光景を遠くから見ていたクリスが俺の元へ来る。どうした。と聞けば申し訳なさそうに野生の子だったのね。の言葉にそうみたいだな。と返した。
20180708