泡沫パレット
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美術室での一件後、久々の練習試合となった土曜日。相手は最近実力をつけてきている学校らしく、円堂がそんなやつらと戦えるなんてスッゲー楽しみ!といつにもまして騒いでいたのを朝から思い出して苦笑い。それでも強い奴と戦えると言う所には自分も賛同していて、自分自身どれだけ成長しているのか試せる場という気持ちに胸を馳せていた。でも、それよりも。
「…今日はより頑張らないと」
誰に言うでもない。自分自身に言い聞かせる。あの美術室においてきた手紙がどうとかじゃない。もしかしたら今日、会える気がする。そんな気がするだ。だから、
「頑張ろうって思ってる自分は単純なのかもな」
そう呟いて口許が緩んだ。ふっと小さく笑って立ち止まる。考え事をしていると時がたつのが早いとはこの事か。と部室前まで来ていた自分に心の中でそう言葉を吐いた。
「よし、」
「…ね、風丸」
あと少しで試合開始の為、ウォーミングアップを入念に行っていると声を掛けてきたマックスに何だ?と聞く。
「今日、ちゃんと頑張りなよ」
「は?」
僕はそれだけだから。そう言ってニヤリと笑ったかと思えば、側で柔軟体操を始めるマックスに頭が疑問で一杯になった。けれど、その意味は何となくわかっていて、否定も肯定もせず、ただただ押し黙った。
「よーし!それじゃ、いくぞ!!」
円堂の声が木霊する。そろそろか。ふうっと息を吐いて立ち上がる。そのいつもの動作だったはず。なのに。何となく、本当に何となくなんだ、横を振り向いたのは。思わず目を見開いて立ち尽くす。見つけて、しまった。大木の後ろでこちらを眺める人物に。隣に来た木野と楽しそうに話していたその人物に、確信した。
あそこにいる人物が、俺が探していた人なんだと。
水彩グラフィック
(試合開始のホイッスルを聞きながら)
(早く終われと)
(珍しく思ってしまった)
20140812 → 20180711 加筆、修正