泡沫パレット
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「何かあった?」
「何かって?」
例えばほら、あの絵に描かれている青髪の男の子とか。
そう言えば目の前でウインナーを食べようとしていた詩音ちゃんはあからさまに動揺して、掴んでいたウインナーをお弁当箱へ落とした。
「そっか、図星かー」
「やっ、えっ、そのっ!な、なんで?」
エスパー!?と驚いてる詩音ちゃんにうふふと笑う。実は次の日の部活で風丸くんが美術室に画材を運んだって円堂くんに照れ臭そうに伝えていたのを見ていたからだ。何て教えてあげないけれどっ!
「まだ、あの男の子が誰かわからない?」
「うん…」
こくりと頷いた詩音ちゃん焦れったくて歯痒い。あんなに特徴的な髪色をしているのに!なんて思ってはたと気付く。
「ねえ詩音ちゃん」
「ん?」
「サッカー部で名前わかる子、いる?」
「え、突然なんで?」
「いいからいいから!」
怪訝に思いながらも聞けば何人かは…。と答えて指で数え始めた。
「円堂くんに豪炎寺くん、鬼道くん」
あげられた名前は、この学校じゃ有名で、知っていて当然かな、なんて思ってご飯を一口含む。そして続けられた、それにという言葉。
「マックスかなー」
「え、松野くん知ってるんだ」
「あ、うん。小学校同じでね。まあ、腐れ縁ってやつですよ」
「へー。…ん?でも私、詩音ちゃんと松野くんが話してる所見た事ないよ?」
「美術室でしか話さないからね」
「そうなの?」
そう聞き返せばそうなのー。と間延びした声を出して先程落としたウインナーを口に運んだ。
「なんで美術室だけなのかよくわからないんだけどね」
へーと相づちを打つ。意外なところで繋がってるんだな、なんて思ったり。でもそんな時、ふと一つ疑問が浮かんだ。
「ねえ詩音ちゃん。松野くんは何か言ってなかった?」
「マックスが?うーん…」
お茶を飲みながら考える詩音ちゃん。美術室でしか会話をしない、という事は松野くんはあの絵を見ている筈。そして、絵に描かれた風丸くんに気づく筈。そう考えていたらあっという詩音ちゃんの声でやっぱり松野くんは気づいたんだなと確信した。
「そういえばマックス、あの絵が飾られたすぐあとに美術室に来たよ。いつも通り暇潰しかなーって思ったら唐突に゛あの絵を描いた理由は?゛なんて聞いてきて」
「なんて答えたの?」
「え、いや、その…」
「詩音ちゃん?」
少しだけ恥じらったように下を向いた詩音ちゃんにこれは何かあるなと少しだけ楽しくなったのは内緒だ。
「…河川敷でサッカーしてたあの人が、凄く一生懸命にボールを追いかけてて、でも凄く苦しそうで。そんな姿を見たらこっちまで切なくなってきて。そしたらあの人に私は頑張ってるの知ってるよって、応援してますって、伝えなくちゃって…」
「…それ、松野くんにも伝えたの?」
「え、あ、うん。まあ、マックスにはふーんって言われたけどね」
あははと苦笑いする詩音ちゃん。全く持って焦れったくて歯痒い。顔も知らないから仕方がないのだろうけど本人達が気づいていないのにいてもたってもいられず背中を押したくなった。
「ねえ、詩音ちゃん」
ん?と首を傾げた詩音ちゃんに、これから出逢う二人を想像したら嬉しくなった。
黄昏グラデーション
(今週の土曜日)
(練習試合あるんだけど)
(もしよかったら見に来ない?)
20140804 → 20180704 加筆、修正