泡沫パレット
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「…あの絵を、ですか?」
「ああ、どうかな」
お昼休み、お弁当を広げようとした所で顧問に呼ばれ、職員室に行って事情を聞けば美術室前に飾られたあの絵の事で。何かしたかな…とドキドキしながら顧問の話を聞いていた所為か惚けた声でその言葉を発した。
「そろそろコンクールがあるだろ?まだ期限があるから他の作品も描いてもいいが、俺はあの絵を推したくてな。まあ勿論、風隠が良ければの話だが…」
どうする?と聞いてくる顧問をまっすぐ見つめる。あの絵をコンクールに。顧問がそこまで絶賛してくれるなんて凄く嬉しい。何ならあわよくば展覧会にまでいければとも思う。だけど、
「…少し、考えさせて下さい。まだ他にも描きたいものもありますし…」
「ああ、それなら大丈夫だ。ただ期限までには答えをくれよ」
「はい。あ、因みに何時までですか?」
その後二言程話して職員室を出る。期限まで考える時間をもらえた。こういう時、これと決めたら突き進む顧問じゃなく、生徒の意思を尊重してくれる顧問で本当によかったと思う。
「あの絵をコンクールにかぁ…」
心の底から嬉しい。けれどあれを出すとなると問題がある訳で。
「人を、描いちゃってるんだよなぁ…」
あの絵に描いてしまった『誰かさん』。同じ学校とか知り合いとかだったら、事情を話して許可もらえば簡単だけど、生憎私の知り合いには当てはまる人物はいない。となると同じ学校という線は無いに等しい。まぁ、あの人が同じ学校かなんて知り合いじゃない時点でわからないんだけどね。
それから、あの絵が『誰かさん』への応援メッセージと称して描いた絵である為、無断でコンクールに出してみて、もし偶然そのコンクールに『誰かさん』が来てあの絵を見てしまったら…
「…恥ずかしい!いや、そんなもんじゃすまないな…。ああ!穴があったら入りたい……!」
顔を両手で覆い、パタパタと廊下を走る。この様に色々と問題がある訳でして。なんとしてもどうにかしないといけないなぁ。とすれ違った先生に走るなと注意されながら思った。
「…よし。とりあえずお腹減ったから教室戻ってお昼食べよう!そうしよう!」
新月ラテト
(どこかにいる誰かさん)
(私いま、)
(とてもピンチです!)
20140225 → 20180701 加筆、修正