エピローグ(裏)

全ては魅録の……自分が認めた愛する彼女のためだけに。 

 表向きは水晶という長に従う事で、長い月日をかけて信頼を築き上げてきたからこそ…自分は疑われることなく上手く立ち回り続け…そして、わざと魅禄に自分を真っ先に始末させるという芝居を打つことも成功した……
そして彼女は見事……復讐を果たしたのだ。

 棺から刹羅は立ち上がると、彼女の手を取り立たせてからそのまま流れるような動作で彼女の細い腰を抱き寄せると、彼の方からキスをした。

ようやく再会できた相手の存在を確かめ合うようにお互いの体温を感じあった二人は、お互いに見つめ合い幸せそうに微笑み合ってからその場でダンスを踊るように、優雅に舞いながら二人だけの空間を作り上げていく。


『私……今までで一番幸せな時を迎えていますわ。この瞬間の為に私はずっと耐えてきたんですもの……。貴方もそうでしょう?ねぇ……刹羅』
ステップを踏みながら楽しげに踊る魅録がそう問いかけると、彼も静かに笑みを浮かべながら答えた。
『勿論だよ魅禄。僕は今までずっと…君が長として戻ってくる日を待ち続けていたんだからね ここから先はどうするんだい?まだ王様の子守を?』

 その問いに対して魅録は笑みを浮かべたまま、彼に身体を寄せるように密着してから艶っぽい視線を向ける そんな彼女を可愛らしく思いつつ刹羅も彼女の身体を離すまいとしっかり抱きしめて、彼女の言葉の続きを待つ。

『もぅ…冗談が過ぎますわよ?ようやく私達が再会したのだから…このまま二人でどこか遠い場所に行きましょう。私達二人の邪魔をする存在がいない世界を作って永遠に幸せに暮らす…そうでしょう?』

囁くように告げる彼女に刹羅はクスリと笑いながら、愛おし気に彼女の顔を両手で包み込むように触れながら唇に触れるか触れないかの距離で囁く まるで睦言でも囁いているかのような甘やかな声で……

それはまるで恋人との逢瀬を楽しむかのような囁き

『ふふふっ。愚問だったね。そうだね……僕らの事を誰も知らない世界へと行こう。……永遠に共に居られるのなら、そこがたとえ地獄だろうとも構わない。』
『えぇ。行きましょう……。これからはずっと一緒よ……私の愛しい人……』

 互いの額を合わせて幸せそうな表情を浮かべる魅録は、彼の首に腕を回し自ら口付けを求め、それに応える刹羅。
魅録は彼へと甘えるように身体を擦り寄せ、それに答えるかのように彼は彼女を優しく抱き上げると、そのまま連れ去るかのようにその場から消え去って行った。

―END―
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