エピローグ(裏)
玉座の間から退出した魅録は、その足でランタンを片手に地下へと続く石造りのらせん階段を降りていた。
地下にあるのは罪人を捕えておくための地下牢と…遺体安置所という名のナイトのプライベートルームがある。 目的地はそのプライベートルームなので、地下牢の最奥にある扉を開けて中に入り室内の電気を点ける。
明かりが灯り室内を照らすと、壁沿いに木製の棺が両側に数個立てかけてある光景が広がった
棺の蓋はいくつか開いており、中には白骨した遺体が収められていたが、どの遺体にも豪奢なドレスや煌びやかな装飾品が丁寧に飾られているので、大切に安置されていることが伺えるが…魅録は興味なさそうにフッと笑う
(相変わらず変な趣味だこと…)
彼の乳母をして随分になるが、こういう趣味に関しては相いれないものがある。とはいえ、自分の目的はここではないのでしばらく物色していると真新しい棺が3つ安置されているのを発見した。
(ここに置いてあったのね…お姉様の方は個別に保管させているから別の所でしょうけど…それより)
周囲の棺に比べて随分立派で、尚且つ丁寧に収められているので一目で安置されている者が誰かを理解した魅録は、一つ一つ開けて中を確認しながらようやく目的の人物が安置されている棺を発見する。
自分が弓矢で心臓を刺し貫いた彼…
まるで眠るようにそこに収められている彼の頬を愛おしく撫でつつ、まるで恋人に呼び掛けるかのような甘い言葉で彼へと話しかける
『さぁ起きて…刹羅。もうお遊びは十分よ?』
棺で眠る彼へキスをしながら耳元で囁きかける。くせっ毛の髪を指先でいじったり頬を撫でたりして待つこと数分。彼の瞼が微かに動き、やがてゆっくりと眼を覚ました。
『……あぁ…魅録…。この声は魅禄なのかい?』
ゆっくりと開かれたエメラルドグリーンの瞳。その目に宿るのは自分を殺した相手へ向けるような憎しみなどではなく、何故か愛おしい者を見るかのような優しい眼差しをしており、目覚めた刹羅の身体を優しく抱き起しながら魅禄は嬉しそうに彼の胸に顔を埋め、温もりを感じるかのようにすり寄る
『あぁ…っ!逢いたかったわ……刹羅。ずっと私だけが独りぼっちで寂しかったの!!』
ギュッと甘える子猫のように身を寄せてくる彼女に、彼は当たり前のようにふわっと笑いながら抱きしめ返しながら優しく頭を撫でてやり背中をさすってやる
『ふふふっ。その様子から察するに、すべて終わったみたいだね…』
『えぇもちろんですわ。 刹羅が門の開場と同時に森全体へ催眠魔法をかけて混乱させていたお陰で、私たちも無事に四季の森へ入ることができましたもの…。そして、万事滞りなく作戦通りに片が付きましたわ!!』
『先に分かっていたと言っても、流石の僕でも矢で心臓を刺されるのはヒヤッとしたよ。 でもそのお陰で…僕らの関係を誰にも知られずに君の悲願も成し遂げられたね。…それでこそ僕が待ち望んだ四季族の長だ』
魅禄が四季の森から追放されたあの日。
二人は別れ際に約束し合っていた 魅禄は例えどんなに時間を費やしても…どんなに犠牲を払ってでも必ず自分は森へと戻り復讐を成し遂げると。
ならば刹羅は夏の賢者として森に残りながら、来たるべき日のために長を欺き続ける……。だがもし再会した時には、自分たちの関係がバレる前に自分を始末する演技をして欲しい。と告げ彼はその時を待ち続けた。
王都の政権が代わり、排除対象となった彼らはやがて森に結界を張って籠もるようになった頃から、刹羅は下準備にと森全体に魔法をかけていた。
四季族の元へ向かう門を開けたとき…森全体が一時的に眠りについてしまうという魔法を…
地下にあるのは罪人を捕えておくための地下牢と…遺体安置所という名のナイトのプライベートルームがある。 目的地はそのプライベートルームなので、地下牢の最奥にある扉を開けて中に入り室内の電気を点ける。
明かりが灯り室内を照らすと、壁沿いに木製の棺が両側に数個立てかけてある光景が広がった
棺の蓋はいくつか開いており、中には白骨した遺体が収められていたが、どの遺体にも豪奢なドレスや煌びやかな装飾品が丁寧に飾られているので、大切に安置されていることが伺えるが…魅録は興味なさそうにフッと笑う
(相変わらず変な趣味だこと…)
彼の乳母をして随分になるが、こういう趣味に関しては相いれないものがある。とはいえ、自分の目的はここではないのでしばらく物色していると真新しい棺が3つ安置されているのを発見した。
(ここに置いてあったのね…お姉様の方は個別に保管させているから別の所でしょうけど…それより)
周囲の棺に比べて随分立派で、尚且つ丁寧に収められているので一目で安置されている者が誰かを理解した魅録は、一つ一つ開けて中を確認しながらようやく目的の人物が安置されている棺を発見する。
自分が弓矢で心臓を刺し貫いた彼…
まるで眠るようにそこに収められている彼の頬を愛おしく撫でつつ、まるで恋人に呼び掛けるかのような甘い言葉で彼へと話しかける
『さぁ起きて…刹羅。もうお遊びは十分よ?』
棺で眠る彼へキスをしながら耳元で囁きかける。くせっ毛の髪を指先でいじったり頬を撫でたりして待つこと数分。彼の瞼が微かに動き、やがてゆっくりと眼を覚ました。
『……あぁ…魅録…。この声は魅禄なのかい?』
ゆっくりと開かれたエメラルドグリーンの瞳。その目に宿るのは自分を殺した相手へ向けるような憎しみなどではなく、何故か愛おしい者を見るかのような優しい眼差しをしており、目覚めた刹羅の身体を優しく抱き起しながら魅禄は嬉しそうに彼の胸に顔を埋め、温もりを感じるかのようにすり寄る
『あぁ…っ!逢いたかったわ……刹羅。ずっと私だけが独りぼっちで寂しかったの!!』
ギュッと甘える子猫のように身を寄せてくる彼女に、彼は当たり前のようにふわっと笑いながら抱きしめ返しながら優しく頭を撫でてやり背中をさすってやる
『ふふふっ。その様子から察するに、すべて終わったみたいだね…』
『えぇもちろんですわ。 刹羅が門の開場と同時に森全体へ催眠魔法をかけて混乱させていたお陰で、私たちも無事に四季の森へ入ることができましたもの…。そして、万事滞りなく作戦通りに片が付きましたわ!!』
『先に分かっていたと言っても、流石の僕でも矢で心臓を刺されるのはヒヤッとしたよ。 でもそのお陰で…僕らの関係を誰にも知られずに君の悲願も成し遂げられたね。…それでこそ僕が待ち望んだ四季族の長だ』
魅禄が四季の森から追放されたあの日。
二人は別れ際に約束し合っていた 魅禄は例えどんなに時間を費やしても…どんなに犠牲を払ってでも必ず自分は森へと戻り復讐を成し遂げると。
ならば刹羅は夏の賢者として森に残りながら、来たるべき日のために長を欺き続ける……。だがもし再会した時には、自分たちの関係がバレる前に自分を始末する演技をして欲しい。と告げ彼はその時を待ち続けた。
王都の政権が代わり、排除対象となった彼らはやがて森に結界を張って籠もるようになった頃から、刹羅は下準備にと森全体に魔法をかけていた。
四季族の元へ向かう門を開けたとき…森全体が一時的に眠りについてしまうという魔法を…
