第四章
その日以降も毎日、カナメには『早く行こう』と催促されてはいたが…仕事が入ったり後回しにした家事を済ましたりとしているうちに、気づけばあっと言う間に一ヶ月の月日が経っていた。
(……!。もうこんなに月日経ってたんだ…。あぁそう言えば確かに…王都でのイベントのチラシも来ていたっけ……
もう一緒に行く人も居ないから忘れてたな… 王都も落ち着いてるだろうし…俺も、気持ち的に覚悟が決まったから、ちょうど良かったかな?)
そうこう考えながら身支度を整えてからカナメに呼びかけてやると、ソファーで寝転んでいた彼女は、待っていたぞ!と言わんばかりに飛び起きるとそのまま早く行くぞ。とグイグイ腕を引っ張ってくるので戸締まりをしてからまずは王都に向かう道のりを歩いていた
『やっと向かう気になってくれたか!!その間ずーーっとワシを待たせ続けるなぞどういうつもりじゃ?!どれだけ人をコケにすれば気がすむのじゃ貴様は……全く!』
どうやらマチルダに待たされすぎたせいですっかりご立腹らしく、しばらく愚痴を零してくるので最初は聞き流していたが…そう言えば。と思い、マチルダは思い出したように疑問を口にする
「そういえばカナメ様。えっと…森には封印が施されているはずですが、本当に大丈夫なんですか?」
フリージルが言っていた言葉を思い出し、本当に大丈夫なのかと不安になり尋ねることにした。 森に行っても結局は無駄足でした。なんて流石に笑えない話だ。 そう思っていると、彼女は愚問だと言わんばかりに得意気に鼻を鳴らした
『フンッ。何をバカなことを言っておる
童の言うとおり確かに今、森には誰も立ち入れぬように封印を施されておるが…その程度、問題のうちに入らぬわ!仮にもワシは四季族に育てられそして修行も積んで魔法を使えるようになった身…。
まぁ魔法は、もう肉体が無いから前みたいに変身するのがやっとじゃがな。まぁなんにせよ、里帰りにとワシが呼びかければ応えてくれるじゃろ!
……ん?そういえば童…。森が封印されていることはワシ話したかの?最近では殆ど知ってる者も少ない話なのじゃが…』
カナメにはヒミツにして欲しいと念押しされていたので、マチルダは彼女に悟られぬように出来るだけ冷静に返事を返した。
「……。森に関しては昔、じいさんが話してくれたことがあったんですよ 俺が本当に小さい頃だったので忘れていましたが…この間本を読んだときに思い出したので、少し心配になりまして…」
少し苦しい言い訳だったかもしれないと内心焦っていたが、今は数千年ぶりの里帰りへの気持ちの方が強いらしく特に追求もしなかった。それどころか『ふーん』と全く興味の無さそうな返事を返されるだけだった。
(…意外とあっさりしてたな…。半信半疑だったけどフリージルさんの情報は正しかったんだな…あぁでも、もう一個だけ気になるな)
ホッと一息吐いて安堵していたが…ふと脳裏に、彼との別れ際に教えて貰った名前のことが思い浮かんだのでぼかしつつ尋ねてみることにした
「カナメ様、もう一つだけ聞いても良いですか?記憶の本に…何回か【魅禄】という名前がありましたが…どんな方なんですか?」
『ほぉ、懐かしい名前じゃな。魅禄とは四季族の長の娘じゃ 双子の姉がおって…まだまだちんまい頃にワシが森から出たから今はどうしておるか知らぬが…ちとワガママ小娘だったのぉ。なんじゃ?映像か記憶の本を読んで惚れたのか?ん??』
何故か楽しそうにニヤつきながら肘で突かれるも……まさかそんなわけあるはずないと言い返しておいた。
…だって王都に仕えることになって…容姿も名前も変えたって本人が言っていたのだ。昔はワガママな人だったのかも知れないが、今は全くと言って良いほどに面影が無いし…流石にちょっと…うん。
苦笑いしながら何とか誤魔化しているとカナメは次第に飽きたらしくそれ以上は何も追及されなかった。
やがて王都周辺の街道に辿り着いたのだが…王都自身は急速に発展はしているものの周辺地域まではまだ手の施されていない場所も多く、ここから先は草原を通っていかねばならないのだが……
ここ最近は天候が悪い日が続いていたためか地面がまだ湿っていて滑りやすくなっている箇所が多く見受けられたので気を引き締めた方が良さそうだ。
気をつけて歩を進めてはいるが、中々に険しい道ばかりで進むにつれて足場の悪さが目立ち始めてきた。日頃鍛えてるわけでは無いのですぐに息が上がり始める
『情けないぞ童。この程度で疲れるなど……。軟弱者じゃのぉ~』
相変わらずチクチクと文句を言ってくるのだが、こちらは徒歩だというのにそっちは地面から浮いてついてきているのだからそりゃ疲れないよな…と内心ツッコミながらも、なんとかカナメの言葉を無視しつつ黙々と歩き続けていると、伸びきった草で見えにくいが、森に近づくにつれて所々に石碑のようなモノがいくつか見受けられるようになってきた
(あれは一体……?)
不思議に思った彼は近くに寄って調べようとしたが、風化しているのもあるが、どれもが人為的に破壊されているような形跡が見受けられたので…恐らくだが四季族排除の意味合いも含めて破壊されてしまったんだろうと簡単に予想が出来た
(………)
四季族と人は長年に渡って友好的な関係を築き合っていた筈なのに…。そう思うとなんだか悲しくなって思わず唇を噛みしめてしまう。 それはカナメも同じなのか、先程まで饒舌に喋っていた彼女も石碑の様子を見た途端。いつの間にか静かになり、どこか神妙な顔を浮かべていた。
しばらく辺りを警戒しつつも歩みを進めていくと……遂に広大な森の入り口へと到着した。
(……!。もうこんなに月日経ってたんだ…。あぁそう言えば確かに…王都でのイベントのチラシも来ていたっけ……
もう一緒に行く人も居ないから忘れてたな… 王都も落ち着いてるだろうし…俺も、気持ち的に覚悟が決まったから、ちょうど良かったかな?)
そうこう考えながら身支度を整えてからカナメに呼びかけてやると、ソファーで寝転んでいた彼女は、待っていたぞ!と言わんばかりに飛び起きるとそのまま早く行くぞ。とグイグイ腕を引っ張ってくるので戸締まりをしてからまずは王都に向かう道のりを歩いていた
『やっと向かう気になってくれたか!!その間ずーーっとワシを待たせ続けるなぞどういうつもりじゃ?!どれだけ人をコケにすれば気がすむのじゃ貴様は……全く!』
どうやらマチルダに待たされすぎたせいですっかりご立腹らしく、しばらく愚痴を零してくるので最初は聞き流していたが…そう言えば。と思い、マチルダは思い出したように疑問を口にする
「そういえばカナメ様。えっと…森には封印が施されているはずですが、本当に大丈夫なんですか?」
フリージルが言っていた言葉を思い出し、本当に大丈夫なのかと不安になり尋ねることにした。 森に行っても結局は無駄足でした。なんて流石に笑えない話だ。 そう思っていると、彼女は愚問だと言わんばかりに得意気に鼻を鳴らした
『フンッ。何をバカなことを言っておる
童の言うとおり確かに今、森には誰も立ち入れぬように封印を施されておるが…その程度、問題のうちに入らぬわ!仮にもワシは四季族に育てられそして修行も積んで魔法を使えるようになった身…。
まぁ魔法は、もう肉体が無いから前みたいに変身するのがやっとじゃがな。まぁなんにせよ、里帰りにとワシが呼びかければ応えてくれるじゃろ!
……ん?そういえば童…。森が封印されていることはワシ話したかの?最近では殆ど知ってる者も少ない話なのじゃが…』
カナメにはヒミツにして欲しいと念押しされていたので、マチルダは彼女に悟られぬように出来るだけ冷静に返事を返した。
「……。森に関しては昔、じいさんが話してくれたことがあったんですよ 俺が本当に小さい頃だったので忘れていましたが…この間本を読んだときに思い出したので、少し心配になりまして…」
少し苦しい言い訳だったかもしれないと内心焦っていたが、今は数千年ぶりの里帰りへの気持ちの方が強いらしく特に追求もしなかった。それどころか『ふーん』と全く興味の無さそうな返事を返されるだけだった。
(…意外とあっさりしてたな…。半信半疑だったけどフリージルさんの情報は正しかったんだな…あぁでも、もう一個だけ気になるな)
ホッと一息吐いて安堵していたが…ふと脳裏に、彼との別れ際に教えて貰った名前のことが思い浮かんだのでぼかしつつ尋ねてみることにした
「カナメ様、もう一つだけ聞いても良いですか?記憶の本に…何回か【魅禄】という名前がありましたが…どんな方なんですか?」
『ほぉ、懐かしい名前じゃな。魅禄とは四季族の長の娘じゃ 双子の姉がおって…まだまだちんまい頃にワシが森から出たから今はどうしておるか知らぬが…ちとワガママ小娘だったのぉ。なんじゃ?映像か記憶の本を読んで惚れたのか?ん??』
何故か楽しそうにニヤつきながら肘で突かれるも……まさかそんなわけあるはずないと言い返しておいた。
…だって王都に仕えることになって…容姿も名前も変えたって本人が言っていたのだ。昔はワガママな人だったのかも知れないが、今は全くと言って良いほどに面影が無いし…流石にちょっと…うん。
苦笑いしながら何とか誤魔化しているとカナメは次第に飽きたらしくそれ以上は何も追及されなかった。
やがて王都周辺の街道に辿り着いたのだが…王都自身は急速に発展はしているものの周辺地域まではまだ手の施されていない場所も多く、ここから先は草原を通っていかねばならないのだが……
ここ最近は天候が悪い日が続いていたためか地面がまだ湿っていて滑りやすくなっている箇所が多く見受けられたので気を引き締めた方が良さそうだ。
気をつけて歩を進めてはいるが、中々に険しい道ばかりで進むにつれて足場の悪さが目立ち始めてきた。日頃鍛えてるわけでは無いのですぐに息が上がり始める
『情けないぞ童。この程度で疲れるなど……。軟弱者じゃのぉ~』
相変わらずチクチクと文句を言ってくるのだが、こちらは徒歩だというのにそっちは地面から浮いてついてきているのだからそりゃ疲れないよな…と内心ツッコミながらも、なんとかカナメの言葉を無視しつつ黙々と歩き続けていると、伸びきった草で見えにくいが、森に近づくにつれて所々に石碑のようなモノがいくつか見受けられるようになってきた
(あれは一体……?)
不思議に思った彼は近くに寄って調べようとしたが、風化しているのもあるが、どれもが人為的に破壊されているような形跡が見受けられたので…恐らくだが四季族排除の意味合いも含めて破壊されてしまったんだろうと簡単に予想が出来た
(………)
四季族と人は長年に渡って友好的な関係を築き合っていた筈なのに…。そう思うとなんだか悲しくなって思わず唇を噛みしめてしまう。 それはカナメも同じなのか、先程まで饒舌に喋っていた彼女も石碑の様子を見た途端。いつの間にか静かになり、どこか神妙な顔を浮かべていた。
しばらく辺りを警戒しつつも歩みを進めていくと……遂に広大な森の入り口へと到着した。
