第四章
普段の態度や言動のせいで中々気付かなかった事実ではあるが……改めて認識を改めると共に感謝しながら「ありがとうございます」と告げ頭を下げた。 その様子を見ていた彼女は照れ臭くなったのかぶすーとした様子でそっぽを向いてしまった
ちゃんと落ち着いて向き合えているお陰なのか、新鮮さが感じられて自然と口角が緩む。
飲み終わった食器を片付け、後は何だかんだで後回しになっていた洗濯や掃除等の家事をしていくか…と気持ちを切り替えることにした。
たった数日と言え、慌ただしい日々だったので……依頼が無いうちに済ませておく方が色々と効率が良いだろうと考え、早速行動に移そうとしたのだが…カナメに呼び止められてしまった。
『その前に童。昨日の件の続きじゃが、ワシがもし…四季族に伝わる水鏡で未来を占ってやると言えば…知りたいと望むか?どんな結末であれ、受け入れると言えるか?』
唐突な質問に、洗濯カゴを抱えていたマチルダは「へっ?」と呆気に取られたままポカンとしていたが、直ぐに「ああ……」と彼女の問いの意味を理解したマチルダは少し悩んでから首を縦に振って肯定した
「あの図書館に案内して貰った後…俺は最初、暇つぶし程度にしか皆様の記憶の本を読んでいませんでしたが…どの本…いえ、人々の記憶には四季族に関する記事が沢山あって…当時の人々の信仰の深さが良く分かりました。
……確かに最初は、自分の死期を占うなんて正気か?とか思いましたが、読んでいくうちに俺は……自分に置き換えて例えたときに、例えどんな結末が待っていても…その瞬間までは後悔しないように生きたい。と感じました
だからその…今更俺が幸せな未来を望むなんておこがましいとは解っていますが、もし可能なら…じいさんが残してくれた可能性も、今からでも間に合うのか知りたいとは思います」
フリージルとの約束もあるのでここは少し大げさ気味になってしまったが、自分に置き換えたことによって導き出した答えでもあるのは事実。
全てを語り終えたマチルダの瞳に宿る強い意志を感じ取ったのか、カナメはしばらく無言で見つめていたが、やがて大きく息を吐き出すと再び彼の頭に手を置くと今度は撫で回したりせず、まるで幼子に言い聞かせるような優しい声色で『ならばワシは…その意見を尊重してやるまでじゃ』と呟きながら彼は頭を軽くぽんぽんと叩くと、口角を上げながらカナメは『よしっ!』と手を叩き
『そうと決まれば善は急げというもの!今すぐ行くぞ!!早う身支度せい』
カナメは張り切った声で嬉しそうに宣言したのだが…「え?いや……俺まだ洗濯物終わってないんですけど……。てか、行くってどこへ??」
彼女の言葉の真意が全く理解できないマチルダは、思わず聞き返してしまったのだが……そんな彼を尻目に彼女は当たり前のように返答してきた
『何処へ行くかなど決まっておろう!四季族の元じゃ!童…ワシが昔、四季族に育てられていた事は話したじゃろう?』
「あー…そう言えばそうでしたね。でもその前に洗濯と掃除と…買い出しを済ませて良いですか?あぁでも…流石にもし途中で依頼が来たらそっちを優先しないとですし」
『はぁ~……貴様は……』
折角意気揚々と宣言したというのに…彼がこんなにも冷めて冷静な返しをされるとは思わなかったのか、拍子抜けしてしまったカナメはふてくされた様子でソファーに寝転がってしまった。
『普通ならもっと驚いたり喜んだりするではないか…。なのに童という奴は……アーネストは一体どういう教育をしたのやら……。他の子孫達ならワシがそう言えばもっと喜んでおったというのに…っ!!』
どうやら出鼻を挫かれたことに納得がいかなかったらしく、ブツクサ文句を言い始めてしまいすっかり不機嫌モードに入ってしまった…とはいえ急に言われても困ってしまう。
急に言われて思考が追いついていないのもあるが、正直なところカナメが少しでも手伝ってくれたら別なんだが…それを言うと別の文句が飛んできそうなのでグッと堪えておいた
(フリージルさんもいつぐらいまでに…とか言わなかったし、多少時間を空くかもしれないけれど、もう少ししたら王都で行商人のイベントもあるし…そんな急に行動することも無いだろうし)
とりあえず、暫くの間は彼女が落ち着くまで放っておいて掃除と洗濯に取り掛かることにした。…………
ちゃんと落ち着いて向き合えているお陰なのか、新鮮さが感じられて自然と口角が緩む。
飲み終わった食器を片付け、後は何だかんだで後回しになっていた洗濯や掃除等の家事をしていくか…と気持ちを切り替えることにした。
たった数日と言え、慌ただしい日々だったので……依頼が無いうちに済ませておく方が色々と効率が良いだろうと考え、早速行動に移そうとしたのだが…カナメに呼び止められてしまった。
『その前に童。昨日の件の続きじゃが、ワシがもし…四季族に伝わる水鏡で未来を占ってやると言えば…知りたいと望むか?どんな結末であれ、受け入れると言えるか?』
唐突な質問に、洗濯カゴを抱えていたマチルダは「へっ?」と呆気に取られたままポカンとしていたが、直ぐに「ああ……」と彼女の問いの意味を理解したマチルダは少し悩んでから首を縦に振って肯定した
「あの図書館に案内して貰った後…俺は最初、暇つぶし程度にしか皆様の記憶の本を読んでいませんでしたが…どの本…いえ、人々の記憶には四季族に関する記事が沢山あって…当時の人々の信仰の深さが良く分かりました。
……確かに最初は、自分の死期を占うなんて正気か?とか思いましたが、読んでいくうちに俺は……自分に置き換えて例えたときに、例えどんな結末が待っていても…その瞬間までは後悔しないように生きたい。と感じました
だからその…今更俺が幸せな未来を望むなんておこがましいとは解っていますが、もし可能なら…じいさんが残してくれた可能性も、今からでも間に合うのか知りたいとは思います」
フリージルとの約束もあるのでここは少し大げさ気味になってしまったが、自分に置き換えたことによって導き出した答えでもあるのは事実。
全てを語り終えたマチルダの瞳に宿る強い意志を感じ取ったのか、カナメはしばらく無言で見つめていたが、やがて大きく息を吐き出すと再び彼の頭に手を置くと今度は撫で回したりせず、まるで幼子に言い聞かせるような優しい声色で『ならばワシは…その意見を尊重してやるまでじゃ』と呟きながら彼は頭を軽くぽんぽんと叩くと、口角を上げながらカナメは『よしっ!』と手を叩き
『そうと決まれば善は急げというもの!今すぐ行くぞ!!早う身支度せい』
カナメは張り切った声で嬉しそうに宣言したのだが…「え?いや……俺まだ洗濯物終わってないんですけど……。てか、行くってどこへ??」
彼女の言葉の真意が全く理解できないマチルダは、思わず聞き返してしまったのだが……そんな彼を尻目に彼女は当たり前のように返答してきた
『何処へ行くかなど決まっておろう!四季族の元じゃ!童…ワシが昔、四季族に育てられていた事は話したじゃろう?』
「あー…そう言えばそうでしたね。でもその前に洗濯と掃除と…買い出しを済ませて良いですか?あぁでも…流石にもし途中で依頼が来たらそっちを優先しないとですし」
『はぁ~……貴様は……』
折角意気揚々と宣言したというのに…彼がこんなにも冷めて冷静な返しをされるとは思わなかったのか、拍子抜けしてしまったカナメはふてくされた様子でソファーに寝転がってしまった。
『普通ならもっと驚いたり喜んだりするではないか…。なのに童という奴は……アーネストは一体どういう教育をしたのやら……。他の子孫達ならワシがそう言えばもっと喜んでおったというのに…っ!!』
どうやら出鼻を挫かれたことに納得がいかなかったらしく、ブツクサ文句を言い始めてしまいすっかり不機嫌モードに入ってしまった…とはいえ急に言われても困ってしまう。
急に言われて思考が追いついていないのもあるが、正直なところカナメが少しでも手伝ってくれたら別なんだが…それを言うと別の文句が飛んできそうなのでグッと堪えておいた
(フリージルさんもいつぐらいまでに…とか言わなかったし、多少時間を空くかもしれないけれど、もう少ししたら王都で行商人のイベントもあるし…そんな急に行動することも無いだろうし)
とりあえず、暫くの間は彼女が落ち着くまで放っておいて掃除と洗濯に取り掛かることにした。…………
