第二章
フリージルのイベント開催の話を聞いていたマチルダは、ふと懐かしそうに「…行商人を招くイベントかぁ…」と呟いた。
『……懐かしいのだな。ワシの中にあるアーネストの記憶を読み返しておるが、幼い頃にアイツと遊びに来たことがあったのじゃな 楽しそうではないか』
「…はい、ずっと昔の話ですが…とってもたのしかったのは覚えています」
仄かに嬉しそうなトーンで返事を返した時だった。フリージルが再び注目するように呼びかけた
『はいはい、盛り上がるのはちょーっとまた後でにしてちょうだいね?
今回の大規模なイベントを開催するにあたって…皆様が少しでも安心してイベントに参加できるように、期間中は陛下直属の精鋭部隊…近衛兵も警備に参加するから、よろしくネ♡
はい、ご挨拶お願いね隊長サマ』
そう言ってフリージルがマイクを片手に少し端っこへ避けると、代わりに壇上へ上がってきたのは近衛兵の隊長である金髪の青年。 橙色の瞳にまつげが長い中性的な顔立ちをした青年は、自分のことを見上げる人々に向けて一礼をしてからマイクを受け取った。
「先ほど紹介にあずかりました、ワタシは国王陛下の近衛兵隊長を務めるイザヨイと申します。本日はお集まりいただき感謝いたします
先程賢者様より説明頂きましたイベントですが試験的な実施のため、期間は3日間と短いモノではございますが…その期間中は、我々近衛兵が警備に当たり出入り口には検問所を設置するなどして皆様の安全及び安心して気軽にイベントへ参加できるよう尽力させていただく所存でございます」
演説終わりに恭しく一礼をすると、会場からは拍手喝采が巻き起こり一部の女性達からは黄色い声援まで飛んでいた
「…すごい人気ですね…」
『…ワシに振るな。まぁ顔が良いからと随分色めき立っておるが見た目だけじゃ無いのか?』
「えぇぇ…酷評…」
『………。童、お前はもう少し視野を広げて女心というモノを学べ…』
「……はい、精進します…」
なんとなくで彼女に聞いたつもりだったのだが…何故か普通に説教を返されてしまいマチルダはしょんぼりと眉根を下げる。
二人が会話してるうちにイザヨイの挨拶も終わり、締めにフリージルが今後の日程について簡易説明をして演説は終了した。
広場に集まっていた市民達は一斉に解散し各自が移動を開始してしまったので、二人は手を繋ぎながら端に避けて少し捌けるのを待った。 その間にカナメは姿をいつもの黒髪褐色長身の姿に戻してしまったのを見て、内心少し残念感はあったものの口には出さず様子を見て一緒に裏路地へ一緒に向かっていった
二人が裏路地に向けて歩き出している姿を…否、カナメの姿を壇上から見つけたフリージルは口角を上げてニヤリと笑う。
『うっふふふ。見ちゃった♡』
「おや?随分上機嫌ですね賢者様 何か良いモノがありましたか?」
隣にいたイザヨイがクスッと笑いながら尋ねると、彼は満足そうに微笑む
『うっふふふ。イイ手土産が出来ちゃったってハ・ナ・シ♡きっと汚毒と思うわぁ』
「ふっくくく。それはそれは…では、ワタシ達も戻ると致しましょうか
あぁ…やれやれ…。これから忙しくなると言うのに、帰ったら一番にしなければならないことが残っておりましてねぇ」
『あらあら、貴方も大変ね』
「えぇ…昨日の夕刻から今朝の交代時間になるまでの間、気絶して門番の仕事すらロクに出来なかった無能な兵士がいましてねぇ…。
何をしていたのか顔を負傷していましたが問題はそこではありまん。王都の兵士であると言うのに無様な姿を晒した事に対し、しっかりと罰を与えなければなりません」
『やぁん物騒♡』
二人はそう言ってクスクスと嗤い合うと、控えていた馬車に乗り込んで城へと戻っていった。
『……懐かしいのだな。ワシの中にあるアーネストの記憶を読み返しておるが、幼い頃にアイツと遊びに来たことがあったのじゃな 楽しそうではないか』
「…はい、ずっと昔の話ですが…とってもたのしかったのは覚えています」
仄かに嬉しそうなトーンで返事を返した時だった。フリージルが再び注目するように呼びかけた
『はいはい、盛り上がるのはちょーっとまた後でにしてちょうだいね?
今回の大規模なイベントを開催するにあたって…皆様が少しでも安心してイベントに参加できるように、期間中は陛下直属の精鋭部隊…近衛兵も警備に参加するから、よろしくネ♡
はい、ご挨拶お願いね隊長サマ』
そう言ってフリージルがマイクを片手に少し端っこへ避けると、代わりに壇上へ上がってきたのは近衛兵の隊長である金髪の青年。 橙色の瞳にまつげが長い中性的な顔立ちをした青年は、自分のことを見上げる人々に向けて一礼をしてからマイクを受け取った。
「先ほど紹介にあずかりました、ワタシは国王陛下の近衛兵隊長を務めるイザヨイと申します。本日はお集まりいただき感謝いたします
先程賢者様より説明頂きましたイベントですが試験的な実施のため、期間は3日間と短いモノではございますが…その期間中は、我々近衛兵が警備に当たり出入り口には検問所を設置するなどして皆様の安全及び安心して気軽にイベントへ参加できるよう尽力させていただく所存でございます」
演説終わりに恭しく一礼をすると、会場からは拍手喝采が巻き起こり一部の女性達からは黄色い声援まで飛んでいた
「…すごい人気ですね…」
『…ワシに振るな。まぁ顔が良いからと随分色めき立っておるが見た目だけじゃ無いのか?』
「えぇぇ…酷評…」
『………。童、お前はもう少し視野を広げて女心というモノを学べ…』
「……はい、精進します…」
なんとなくで彼女に聞いたつもりだったのだが…何故か普通に説教を返されてしまいマチルダはしょんぼりと眉根を下げる。
二人が会話してるうちにイザヨイの挨拶も終わり、締めにフリージルが今後の日程について簡易説明をして演説は終了した。
広場に集まっていた市民達は一斉に解散し各自が移動を開始してしまったので、二人は手を繋ぎながら端に避けて少し捌けるのを待った。 その間にカナメは姿をいつもの黒髪褐色長身の姿に戻してしまったのを見て、内心少し残念感はあったものの口には出さず様子を見て一緒に裏路地へ一緒に向かっていった
二人が裏路地に向けて歩き出している姿を…否、カナメの姿を壇上から見つけたフリージルは口角を上げてニヤリと笑う。
『うっふふふ。見ちゃった♡』
「おや?随分上機嫌ですね賢者様 何か良いモノがありましたか?」
隣にいたイザヨイがクスッと笑いながら尋ねると、彼は満足そうに微笑む
『うっふふふ。イイ手土産が出来ちゃったってハ・ナ・シ♡きっと汚毒と思うわぁ』
「ふっくくく。それはそれは…では、ワタシ達も戻ると致しましょうか
あぁ…やれやれ…。これから忙しくなると言うのに、帰ったら一番にしなければならないことが残っておりましてねぇ」
『あらあら、貴方も大変ね』
「えぇ…昨日の夕刻から今朝の交代時間になるまでの間、気絶して門番の仕事すらロクに出来なかった無能な兵士がいましてねぇ…。
何をしていたのか顔を負傷していましたが問題はそこではありまん。王都の兵士であると言うのに無様な姿を晒した事に対し、しっかりと罰を与えなければなりません」
『やぁん物騒♡』
二人はそう言ってクスクスと嗤い合うと、控えていた馬車に乗り込んで城へと戻っていった。
