HAZAMA―未来を映す水鏡―
マチルダが眠りについた頃。二人は工房にて共にワインを酌み交わしていたが…特にミクリアの表情は、先程までの明るさはなく暗く沈んでいた
『そんなに面白くないか?貴様の思い通りにならなかったからのぉ』
彼の態度を揶揄するかのようなカナメの言葉にミクリアは苦笑すると、グラスに入ったワインを一気に飲み干した。
「いやですね~姐さん。我だって自分が部外者であることぐらい弁えてますよ」
『そう身構えるでない。少しばかりからかってやっただけではないか』
「あっははは姐さんは怖いですねー。長い付き合いなんですから…もう少し優しくしてくれても良いんじゃないですかね?」
ミクリアは空っぽのグラスに再び酒を注ぐと、ボトルを手に取りカナメのグラスにも注ぎ始めた。だが、その手つきにはまるで力が入っておらず、酒瓶を落としそうになる場面もあった為、見兼ねたカナメが手を添えるとゆっくりと傾けていく。
『酒も弱いくせに誘いおって…。貴様は何時でも何処でもヘラヘラとしておる癖に、内面は誰にも見せぬ。故に大事な所では必ずミスを繰り返しておる…。変わらぬなぁその不甲斐ない所は特にな。 あの童を随分気に入っておるようじゃが……本当はワシの存在そのものを消したかったのじゃろう?だが、アーネストから託された手前、どうしても出来なかったというところか?』
カナメの言葉を聞きながらミクリアは力無く笑うと、グラスに入ったワインを一気に飲み干し再び注ごうとしたがカナメに取り上げられてしまった。
「あはははっ……。やっぱりダメだなぁ我は。……どうしてこうも上手くいかないんでしょうねぇ…」
いつになく愚痴っぽくなるミクリアを眺めながら、カナメは空になった自身のグラスに再びワインを注いだ。そして一口含むと、ふぅっと息を吐き言葉を続ける
『あの童に何を重ねておるかは大体の予想は付いておるが、足掻いたところで貴様の罪が消えるわけでは無いであろう?例えソレが小さな過ちから始まったとて』
「分かっていますよ~それくらいはね……だけど、たまに思ってしまうんですよ。もし、もう一度やり直せるなら今度こそ間違えずに守りたい。そう思うのは、いけない事なんでしょうかねぇ……? 」
ミクリアは視線を伏せたまま弱々しく呟いたが、カナメは黙ったまま何も言わず、ワインを煽っていたが静かにふぅっと息を吐き
『少しばかり貴様の気に入るような昔話をしてやろうではないか…』
と、呟いたかと思うとカナメは自分の中にある特定の人物の記憶に意識を集中すると、その人物に関して語り出し二人はそのまま朝まで語り明かすのだった。
『そんなに面白くないか?貴様の思い通りにならなかったからのぉ』
彼の態度を揶揄するかのようなカナメの言葉にミクリアは苦笑すると、グラスに入ったワインを一気に飲み干した。
「いやですね~姐さん。我だって自分が部外者であることぐらい弁えてますよ」
『そう身構えるでない。少しばかりからかってやっただけではないか』
「あっははは姐さんは怖いですねー。長い付き合いなんですから…もう少し優しくしてくれても良いんじゃないですかね?」
ミクリアは空っぽのグラスに再び酒を注ぐと、ボトルを手に取りカナメのグラスにも注ぎ始めた。だが、その手つきにはまるで力が入っておらず、酒瓶を落としそうになる場面もあった為、見兼ねたカナメが手を添えるとゆっくりと傾けていく。
『酒も弱いくせに誘いおって…。貴様は何時でも何処でもヘラヘラとしておる癖に、内面は誰にも見せぬ。故に大事な所では必ずミスを繰り返しておる…。変わらぬなぁその不甲斐ない所は特にな。 あの童を随分気に入っておるようじゃが……本当はワシの存在そのものを消したかったのじゃろう?だが、アーネストから託された手前、どうしても出来なかったというところか?』
カナメの言葉を聞きながらミクリアは力無く笑うと、グラスに入ったワインを一気に飲み干し再び注ごうとしたがカナメに取り上げられてしまった。
「あはははっ……。やっぱりダメだなぁ我は。……どうしてこうも上手くいかないんでしょうねぇ…」
いつになく愚痴っぽくなるミクリアを眺めながら、カナメは空になった自身のグラスに再びワインを注いだ。そして一口含むと、ふぅっと息を吐き言葉を続ける
『あの童に何を重ねておるかは大体の予想は付いておるが、足掻いたところで貴様の罪が消えるわけでは無いであろう?例えソレが小さな過ちから始まったとて』
「分かっていますよ~それくらいはね……だけど、たまに思ってしまうんですよ。もし、もう一度やり直せるなら今度こそ間違えずに守りたい。そう思うのは、いけない事なんでしょうかねぇ……? 」
ミクリアは視線を伏せたまま弱々しく呟いたが、カナメは黙ったまま何も言わず、ワインを煽っていたが静かにふぅっと息を吐き
『少しばかり貴様の気に入るような昔話をしてやろうではないか…』
と、呟いたかと思うとカナメは自分の中にある特定の人物の記憶に意識を集中すると、その人物に関して語り出し二人はそのまま朝まで語り明かすのだった。