HAZAMA―未来を映す水鏡―
そのまま時は流れ、成長した少女はあの時の決意とともに亡くなった人々の記憶を引き継ぐ「御霊流し」を生業としました。 故人の記憶を引き継ぎそして魂があるべき場所へ迷わぬよう案内し導く…。彼女はそれがとても誇らしくありました。
やがて彼女は、ある時出会った兵士の男と恋仲になり子を授かりました。
ですが所詮人と賢者…種族の壁は超えられる筈もなく、彼女を置いて男も、そして子までも先に逝ってしまうのでした。
それでも彼女の傍には孫やひ孫がおり、彼らにも記憶を引き継ぎ魂を送り出すための能力が備わっていたので何代も続いて「御霊流し」を続けていました。
ですが彼女に生じた空虚は埋まることはありませんでした。
いつしか彼女の肉体にも老いが表れ始めた頃。彼女は悩んだ末に自分の魂を、自身の子や孫に一族の証として受け継いでいた指輪に封印することで肉体を捨てて永い眠りにつきました。
その後も指輪は代々、彼女の紡いだ一族へ引き継がれていき、成人を迎えた当主が身に着ける事で彼女の魂は目覚めることが出来るのです。
その間に当主たちが引き継いだ記憶も、すべて彼女の元に集められるおかげで彼女は退屈することなく一族の繁栄を見守っていました。
そうして何百年もの月日が流れる中で、ある時国は大きく変わっていきました。
歴代の王は、例え代が変わったとしても決して四季族への敬意は忘れず、とても大切な存在として崇めていたのですが…王の崩御と共に国は大混乱を起こし、早く事態を収束せねばと焦る大臣たちに代わり意見したのは、先代王によって四季族とは別に、息子の乳母として雇われていた赤い髪をした女性の賢者。
彼女の強い意志もあり、次の王へと選ばれたのはまだ幼い先代王の息子でした
ですが就任した彼に、政治を執り行い民を導くにはまだ早いと判断されたため。乳母でありましてや賢者でもある彼女なら導いて下さると一任されたのがすべての始まりでした。
就任と同時に、彼女が最初に下した命令は「四季族に関わる全てを排除すること」でした。
当然ながら人々はこの政策には反対しましたが、賢者は民の声を一切聞く事もなく改革を推し進めた結果。 めまぐるしく国の環境は大きく変化し、各国の様々な文化が入り乱れ急速な発展をしたことで人々の生活は豊かになった一方で治安も悪化してしまうのでした。
それらの時代の流れにより、彼女の一族も元を辿れば四季族…。人々の記憶を引き継ぎ、魂をあるべき場所へ見送る生業はその当時。神と交信できる役割として崇められるモノであったが…次第に、存在そのものが異端。として忌み嫌われてしまうのでした。
人々の魂を流す役割は変わらずとも、人々の死に関わる一族の者はいつしか周りから「死神」と呼ばれるようになっていきました。
それだけ彼らを忌み嫌っていても、人々は自分たちが汚れ役になる事は避けたいと思うのが世の常。 必要になれば当たり前のように彼らの力を求め、仕事が終われば早く立ち去れと迫害する始末…。
一族の末裔である青年は、そんな時代の中でひっそりと生きていました。
やがて彼女は、ある時出会った兵士の男と恋仲になり子を授かりました。
ですが所詮人と賢者…種族の壁は超えられる筈もなく、彼女を置いて男も、そして子までも先に逝ってしまうのでした。
それでも彼女の傍には孫やひ孫がおり、彼らにも記憶を引き継ぎ魂を送り出すための能力が備わっていたので何代も続いて「御霊流し」を続けていました。
ですが彼女に生じた空虚は埋まることはありませんでした。
いつしか彼女の肉体にも老いが表れ始めた頃。彼女は悩んだ末に自分の魂を、自身の子や孫に一族の証として受け継いでいた指輪に封印することで肉体を捨てて永い眠りにつきました。
その後も指輪は代々、彼女の紡いだ一族へ引き継がれていき、成人を迎えた当主が身に着ける事で彼女の魂は目覚めることが出来るのです。
その間に当主たちが引き継いだ記憶も、すべて彼女の元に集められるおかげで彼女は退屈することなく一族の繁栄を見守っていました。
そうして何百年もの月日が流れる中で、ある時国は大きく変わっていきました。
歴代の王は、例え代が変わったとしても決して四季族への敬意は忘れず、とても大切な存在として崇めていたのですが…王の崩御と共に国は大混乱を起こし、早く事態を収束せねばと焦る大臣たちに代わり意見したのは、先代王によって四季族とは別に、息子の乳母として雇われていた赤い髪をした女性の賢者。
彼女の強い意志もあり、次の王へと選ばれたのはまだ幼い先代王の息子でした
ですが就任した彼に、政治を執り行い民を導くにはまだ早いと判断されたため。乳母でありましてや賢者でもある彼女なら導いて下さると一任されたのがすべての始まりでした。
就任と同時に、彼女が最初に下した命令は「四季族に関わる全てを排除すること」でした。
当然ながら人々はこの政策には反対しましたが、賢者は民の声を一切聞く事もなく改革を推し進めた結果。 めまぐるしく国の環境は大きく変化し、各国の様々な文化が入り乱れ急速な発展をしたことで人々の生活は豊かになった一方で治安も悪化してしまうのでした。
それらの時代の流れにより、彼女の一族も元を辿れば四季族…。人々の記憶を引き継ぎ、魂をあるべき場所へ見送る生業はその当時。神と交信できる役割として崇められるモノであったが…次第に、存在そのものが異端。として忌み嫌われてしまうのでした。
人々の魂を流す役割は変わらずとも、人々の死に関わる一族の者はいつしか周りから「死神」と呼ばれるようになっていきました。
それだけ彼らを忌み嫌っていても、人々は自分たちが汚れ役になる事は避けたいと思うのが世の常。 必要になれば当たり前のように彼らの力を求め、仕事が終われば早く立ち去れと迫害する始末…。
一族の末裔である青年は、そんな時代の中でひっそりと生きていました。