― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

冷たく言い放たれた言葉にきょとんとする
「でもあの時のお嬢さん…クレイさんにそっくりでしたし、それに私のカメラも送り届けてくれましたよ??」
「まさか?寝ぼけて夢でも見てたんじゃないかな? じゃあバイバイ。君のお礼ってのは俺を疲れさせるだけだから要らないし」
 さっさと帰ろうとするクレイを呼び止める
「クレイさん…あ、でも最後に一つ教えて下さい!クレイさんって…一体幾つの秘密があるんですか?」

「さぁ?でもあんまり知りたがりが過ぎると、命を縮める事になるんじゃないかな?」
明確な答えを言わず、彼は再び人ごみに紛れて移動し、とある花屋へ立ち寄る

(俺には全く縁のない所なんだけどー……仕方ないし)
小さめの花束を二つ購入し(自分専用の)抜け道を通って城へと帰宅し、まずは一画にある墓場の方へ足を運ぶ


(えーっと…あぁここか)
歴代の兵や城に仕える者たちの墓石が並ぶ中。適当に歩きまわっていたクレイは目当ての名前がある墓石を発見する
【レニ=グレイル】と彫られた墓石の前に膝を付き、購入した花束の一つを供える

「成り行き場とは言っても、一時的に全く面識ないアンタの弟子になっちゃったんだしコレはそのお礼 かな?」
あまり長居して他の奴に見つかって変な噂を立てられたら困るので早々に立ち去る
「最後は…」


服の中に花束を隠し、適当に城の兵やメイドたちと挨拶を交わしながら医務室へ向かう。
幸い誰も見舞いに来ていなかったので、そっと忍び込み未だに眠っていたサンの枕元にそれを置いておく
(さーて、俺の仕事は終わったし…)
 気まぐれと言え柄にもない事を沢山したせいか、医務室を退出して直ぐに大きな欠伸をしていると合間の休憩で見まいに来たシーラたちとすれ違った
「あ、クレイ~どこに行ってたの?王様も心配してたよ~
「あっはは☆俺が神出鬼没なのはアイツが良く知ってるくせに心配性だな~」
 つい数日前まではレーンと一触即発になるほどに荒んでいたとは思えない程にのんびとした口調で話して来るので何か怖い
「なーなー知ってるかクレイ兄ちゃん!連続殺人犯捕まったんだぜ!!すっげぇよな!」
「そんな事もう知ってるに決まってるだろ?バカだなぁエッ君は」
んだと?!!
 
いつもの様な会話が戻ってきてくれたことに内心ホッとする。じゃあラガーの所へ行ってくる。と返しクレイはラガーの元へ急ぐ
自分が置いた花を感付かれて聞かれたら何かムカつくし
 事件も解決して穏やかな時間が戻ったイシュヴァリエ国。それから数時間後にサンがようやく目覚めたと報告があった。


歓喜に沸く者たちの他に兄弟子たちが一層過保護になるのはまた別の話。


―END―
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