― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

“クレア”という名前を聞き、彼の目の色が変わった事を感じ取ったクレイは一瞬目を大きく開いてから目を細め、口元をニヤリとゆがめる
「彼にフラれて一人になっちゃったから、良ければ送って下さるかしら?最近ここでは物騒な事件が多発してるって聞いたの…」
 願っても無いチャンスと誘惑に抗えるはずもなく
「ええ、勿論です」
 ニコリと微笑みそれを承諾した。

 表通りでも街灯が少なく一通りが少ない道を先に歩き、数歩後ろを彼が歩く形で進み続けわざと裏通りへ誘導していく
警戒心を抱かせない様に自分は軽い足取りを保ったまま人気のない所を目指す
「あ、もうすぐ家ですわ ここまでで大丈夫です」

 そろそろ良いだろう。と適当な通りで見送りを終えさせ、彼が離れたのを確認してから前を向いて歩こうとしたのも束の間。即座に背後から大股で、尚且つ足早に歩く足音が聞こえ咄嗟に振り返ると大きく振り上げられた腕にはナイフが握られ、その切っ先を月明りが照らす
さっさと来てよアキ
解っていたといえども今は完全な丸腰。防御するモノも無いので、咄嗟に近くで潜んでいるであろう彼を呼んだ
オーケー!お姫様っ!
「なっ?!」
屋根の上に潜んでいたアキは返事を返しながら街灯に巻き付けた鎖を頼りに振り子の原理で目の前まで飛び降り、即座に抱き上げて走り去る
頼むぜ!リオン

クレアを遠ざけそう叫ぶと、彼はまだ捕まる訳には行かないとその場から逃げ出そうと走った
が、目の前に棺桶が現れ中から現れたローゼが赤紫色の腕を振るって彼を壁に叩き付け

後は君に任せるよ
折れてはいないが叩き付けられた衝撃と打撲で満足に動けないでいたが、それでも逃走をしようとした彼の目の前にリュミエールが現れ鋼鉄の網で彼を対に捕らえた。
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