― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

ルアルから受け取ったカメラは首から下げておき、会話はそこそこにして次の目的地に向かう事にした
(あんまり覚えてないけど確か…)
エンプレス街を歩き回りジェルバ・セレーナと言う名前の店を探した あんまり来る用事無い通りだしそもそも前の時も偶然やっちゃった所だったし…
しばらく同じようなところをウロウロしていると二階建ての建物の扉に【Open】と書かれた札が下げられ、その前には店名や薬草に関する調合や販売に関しての内容が書かれた看板が設置されていた。

(散々歩かされたけどここかー…Openにはなってるみたいだから本人達はきっとここにいるんだろうけど)
今更ながら彼らに会うのは僅かながら緊張してしまう。相手がRoseだから と言うのもあるのだろうが偶然的に出会うのと自分から会いに行くのとでは訳が違う
(俺の平和維持の為だしな)
そう思い入店すると
「ああ、こんにちは いらっしゃいまっ…せ…?」
入店すると、ドアの開閉によって鳴るベルを合図に完全爽やか営業スマイルのリオンが出迎えてくれたが、顔はなんだかんだで覚えてしまっている為 途端に何だか恥ずかしくなり取り繕った笑顔のまま気まずそうに対応した

「本日はどのようなご用件でしょうか?」
(そんな反応されたら何だか俺も気まずいんだけど…)「用があるのは、Roseとしてのおにーさん達なんだよねー」
 クレイからの申し出に少し驚いた様子だったが、その意味を理解したリオンは少し待ってくれ。と手で合図し倉庫の荷物整理をさせていたアキを呼び戻した
「アキ お客さんだ。自分は準備をしてから向かうから、先に彼を調剤室に通しておいてくれ」
「えー?お客さん?ああ、すぐ行くよ」
抱えていた荷物を床に置き、彼らの元へ駆け寄る
「お待たせーお客さんって……クレイ君?!俺に会いに来てくれるなんて驚いたな~!」
 ラフな格好で現れたアキが ようこそ!と言わんばかりに両手を伸ばして出迎えたが避けられてしまった…悲しい

「それよりさっさと案内してくれる?」
気安く触ろうとすんじゃねえ。と言いたげに突っぱねるとしょんぼりとしていたが、直ぐに調剤室へと通してくれた
 応接室もついでに兼ねているらしいそこは暖炉や本棚も完備され、中央にソファーが対面出来る様に置いてありその間にはテーブルが設置してあった。
(…換気はしてるんだろうけどやっぱりここ薬品臭する…)
ぐるっと見回していると部屋の奥の方にはカーテンで仕切られた部分があり、隙間から薬草が入った瓶が見えた
「えーっと…リオンが使ってるやつどこだっけ??」
とりあえずソファーに腰掛けてやれやれと待機していると、お茶でも出そうと食器棚を漁る音がして正直騒がしい
(本当にこんな奴に頼るしかないって状況だけど大丈夫なのかなぁ?)
 内心で毒づいていると達成感のある顔でようやく淹れられた紅茶を持ってきてくれたが、カップとソーサーの柄が別々なのは何故なのか。というのはこの際だからツッコミを入れないでおいた
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