― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

まるで蜘蛛の子を散らす様に野次馬達は一斉にその場から離れていき、アキは感心した様子で彼に駆け寄った
「すっごいなリオン!さっきまでのが嘘みたいに居なくなっちゃったな!でもさ、いつの間にあの支部長からそんな指示受けてたんだ?」
「あんなもの只の嘘だ。」
「∑え?でも支部長から…って」
「朝から晩までずっと監視されている様な状況なんだ。少しぐらいは“悪者”として利用させて貰わないとな」
得意気に鼻で笑う彼の言い分に納得した様に軽く笑いながら頷き、調査に戻ろうとした時。まだその場に残っていたクレイとふと眼が合った
 
 彼の姿を覚えていたアキはパッと表情を明るくさせ、すぐさま駆け寄った
「あ、君はこの間のクレイ君!久しぶり~元気だった?!怪我は大丈夫?」
(うっわ…っコイツこの間いきなり俺を知らない店に拉致った奴じゃん……興味本位で立ち寄るんじゃなかったなーナナシに言われた通り寄り道せずに真っ直ぐ帰ってラガーかレーンでもいじっていればよかったなー)
「…平気だけど…」
彼にとってアキとの出会いはあまり良い思い出では無かったらしく、警戒した様子で眉間に皺を寄せながら不愛想に返答する

「そっか!大丈夫そうなら良かった~!会った時は結構腕の怪我が酷かったから心配だったんだー あ、それよ「サボるなアキっ!!

夢中になってクレイに話しかけていたアキへ、先程まで黙々と調査をしていたリオンが声を荒げて叱責する
「∑ご、ごめんってリオン;ごめんクレイ君。俺戻るねー」
(相変わらず仲良いのか悪いのか分かんない二人だなー…まぁ俺には関係ないんだけど)
慌てた足取りで戻っていくアキの後姿をなんとなく見送り、そのまま帰ろうとした時だった。一連の会話を全て見ていたルアルは立ち去ろうとしたクレイの腕をしっかりと掴んだ。

「っ?!……何?いきなり…」
急な事に一瞬戸惑ったような表情を見せたが、すぐさま警戒した様に紫の瞳を細めて彼女を睨み付けた。
「あ、貴方…さっきあのRoseの方と親しげに話してましたよね?!お知り合いなんですよね!!」
「はぁ?君視力大丈夫?あのやり取り見ててどこに親し「私!新聞会社ジュナルに勤めているルアル=ヴェルディークって言います!!近頃発生している連続殺人事件を追っていまして…Roseとお知り合いの貴方に是非お手伝いしてほしいんです!!お礼はさせて頂きますのでっ!!」
「君が目以外に人の話を一切聞かなくて俺を疲れさせるのは解ったから手、放してくれる?」
「あ、私の家この近くなのでこちらで是非お話聞かせてください!」

 振り払おうにも中々しっかりと握られ、まだ完治していない事もあって自力では振り払えなかった為。有無を言わさず、そのままルアルに引っ張られるようにしてクレイは連れていかれてしまった。
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