― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

手元の空いたグラスにジュースを注いでいた氷綺がふと思い出したように
「思うんだけど折角こうやって女の子だけで集まってるんだし片思い~好きな相手暴露大会やんない?」
「しないわよ」
「遠慮しておこう」
「やらない」
「やるやる~!!」
「やっちゃうわよ~!まず水晶から!」
面倒だからと断ったものの、何だかんだでごり押しで暴露大会が開始されてしまった

「仕方ない…と言えど主らは知っておるだろう?私が以前リースと付き合っていたのを」
「うん。何か…聞いた時はすっごく意外だったけど…」
「…∑えっ?!貴女あのリースと…?!」
すました顔でワインを嗜んでいたナターリアだったかが思わずグラスを落としそうになった
「あれ?ナタリー知らなかったっけ?」
「隠すつもりも無ければ話す気すら無かったのでそのままにしておったが…私も知らぬうちに皆に知れ渡ってのう…あの時は成り行きとは言え何故あんなどうしようもない奴と付き合ったのか謎ではあるな」
「それ聞いたら絶対リース涙目にならない~?(笑)」
「別にその程度で凹む奴ではないから構わぬだろう」
何事も無かったかのようにサラッと元カレでもあったリースの事を叩き切った水晶は何杯目かも分からないワインを再びグラスへ注いで一気に飲み干した
「じゃあさ!御幻ちゃんってエックと幼馴染?なんだからそのうち~って感じなの?」
「ちょっとシェリちゃんwwwんな訳ないじゃない~(笑)私がエクなんかと、付き合う訳ないでしょ~!どうせだったら背が高くてイケメンで優しくって包容力あってもっと強くって出来たら退魔師様で高収入じゃないと♡」
「理想がおかしい…」
「今は酔ってるんだからツッコミ入れたって無駄じゃない?」

ゲラゲラと笑いながら理想を語る御幻に引き気味に呟くと冷静に対応されてしまった
「ちなみに私らは関係ないもん的な空気でいらっしゃるナタとサンはどうなのかな~?」
ついに来やがった。と二人は表情を引きつらせる
「ぼ、僕は居ないし…」
「ん~ホントにぃ~??だってあの三つ編み君とか太刀持ってるふわふわ君とか結構アレじゃないの~?」
「そう言うのじゃないよ;レーンは最年長だし兄弟子だし師匠の事もあって城に住めるようにしてくれたけど…シーラも色々その…」
「私は…」
慌ただしくウロウロと視線を彷徨わせる彼女の隣でナターリアも考えていると、ふと脳裏にあの時の彼の姿が浮かんだが
「…居ないわね」
小さく呟くとそっぽを向いてしまった
「じゃ、じゃあ氷綺には気になる人とか居るの?」
仕返しの意を込めて訪ねてみたが…
「あー私そう言うの面倒だからパス。三角関係とかになったり駆け引きとか向いてないし」

手を振って簡単にあしらわれてしまい、悔しそうにサンは肩を落としていると何してるの?と声を掛ける代わりにシェリルがタックルの勢いでじゃれ付いてきた
「シェリーは…何か聞かなくっても解るわね~」

――――――――――

「―…って話しとるらしいわ」
「あっははは★リースさんと水晶さんの復縁は絶望的だね☆」
「何でそないに嬉しそうやねん…」
「リース兄ちゃんもだけど俺だって御幻に散々言われてた…;ってかアイツの理想に叶うやつ居るのか??」
 家から追い出された二人がコウモリから受け取った内容を聞いて落ち込む中。被害の無かったシーラたちは平気そうな表情をしていた
「僕らは意外と何もなかったね~」
「ふわふわ君って言われてたけどな」
傷が深くナイーブになる二人は置いて穏やかに会話していた彼らだったが、明日は朝早くから病院に行こうと約束し合って広間から出て行った。
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