― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

しばらくしてからコウモリが帰宅し、最初と同じ場所に乗った
「すっげぇ!リース兄ちゃんの使い魔ってよく慣れてるよな~!リ―君のは人の姿してるんだけどあの双子がまたなっかなかやんちゃでさぁ~」
「ハハハッリークのが中~上級やし比べたら俺のはお手軽な子達の使い魔やし扱いやすいんや お疲れさんやなリサにセシリア で、兄さんたちは結構生々しい話と事件の話とどっち聞きたい?」
「先に聞いておくけど前者はエクも聞いても、大丈夫な内容なんだよな…?」
 レーンからの問い掛けにわざとらしく視線を逸らしたリースは先に事件の事を説明し始めた


「被害者は女の子で…なんや?白いひらひら付いとるエプロン?着とって…ふろーれんって名前が聞こえたと…顔色とかは良好やったし、あーそのまま馬車に乗って病院向かったと。…知っとる?その子」
「知ってるも何も…俺たちがついさっきまで居た喫湯店の顔なじみの定員さんだよ!」
「フローレンさんが襲撃されるなんて…」
「大丈夫かな?フローレンの姉ちゃん…」
 行きつけの店でもあり、顔なじみでもある彼女が重傷で病院へ運ばれたのでお見舞いに行かなきゃな…と口々に話していたが、クレイにとっては関係の無い話題だったので後者の話の方が気になるとリースを急かした

「しゃあないな~…ええっと」

―――――――

 屋敷の母屋から追い出された男性陣が居ないのを良い事に、障子を開ければ縁側から庭が見えるエクの寝室であるはずの部屋は今やそこに集まった彼女たちに占領され、中央に置かれたテーブルの上には簡易的な料理とお菓子。そしてワインの入ったグラスと数本のボトルが床に転がっていた
「あーっはははは!やっぱうるさい二人が居ないから思いっきり楽しめちゃう~!!」
高々とグラスを掲げながら高笑いする紅く髪長いに金の瞳。左肩に薔薇と剣の刺青を入れた女性「闇影 御幻」(通称:剣姫)は大分酔っているらしくゲラゲラと笑っていた

「最近居候させて貰ってたけど荒れっぷりが凄いんだけど…」
雪の様に青白い髪をツインテールに括り桜色の瞳を眠そうに半目にしながら呟くのは「雪道 氷綺」

「鬱憤溜まってるのね」
小さく呟きながら手元のワインを飲みほしたのはセミロングの赤い髪に茶色の瞳。露出の高い黒いドレスを着た女性「ナターリア」

「それはそうであろう?成り行きとは言えどもアレを居候として迎える事になってしまったのだからな」
やれやれ…と言わんばかりに溜め息交じりに話すのは薄紫のウェーブがかった長い髪に紫の結晶を髪留めにした露出の高い服を着た女性「深時 水晶」

「私はリースさんも氷綺ちゃんもナタリーも来てくれてここが賑やかになってくれたからとっても楽しいよ!」
「主は平和そうでなによりだのぅ…」
シェリルの能天気な一言に水晶は顔色一つ変えず空いたグラスへワインを注ぐ
「よく飲むのね」
「さ~んちゃんは飲まないの~?//」
「僕とシェリルは遠慮しとくよ」
すっかり出来上がってしまっている御幻に全力で絡まれ今回ぐらいはと少し雑めに頬を押しのけて対応する
「まるでエックーをあしらう時に対応似てるぅ~」
気だるそうに茶化す氷綺に多少言い返そうとしたが御幻から避けて水晶の隣へ移動した。
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