― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

その翌日。事件現場には通報を受けたRose。野次馬。そして―

「リオン、俺…この事件が終わったらトウカと旅行に行くんだ…」
「自分は…新しい薬草仕入れて調合したかったな……」
今までにない程に表情を暗く肩を落とした派遣部隊の二人も調査に加わっていた。既に支部からは呼び出しが来ているのでこの調査を報告しに向かったら最後。再び生きて戻れないといわんばかりに二人は「その後」の話をぶつぶつと呟くばかりで捜査は完全に隊員たちに任せっきりだ
「トウカ…最後にもう一回会いたいな…」
「あのぅ…」
「薬草の仕入れをやっておけばよかった…」
「アルバトロ隊長・レト副隊長っ!!」
「「∑?!」」
 唐突に検証隊の隊長に大声で呼びかけられ、彼の方へ視線を向けると敬礼してから、第一発見者と名乗る2人が来ていると報告し、話を聞くかどうるか尋ねられ、人目から遠ざけるのも兼ねて自身の店の調剤室へ通すように指示した

先に戻った二人はキッチンで準備をしていた
「わざわざ第一発見者です。って名乗り出てくれるなんてな~…」
「これで有益な事が解って、後で支部から生きて帰れたらそれで良いんだけどね…」
遠くを見つめながら自嘲気味に笑っていると裏口の扉がノックされた
俺が出るよ。とアキが応対に行ってくれると直ぐに彼の賑やかな声が調剤室から聞こえ始めた
「騒がしいぞアキ」
ティーセットをお盆に乗せて運んでくると、そこにはクレイとルアルの姿があった。
「まさか第一発見者って…」
「あははは;そのまさかだってー」
苦笑いを浮かべながら返し、リオンから受け取ったティーセットを二人に用意した
「まさかクレイ君とルアル…?ちゃんが第一発見者だったなんてな~…あ、でも怖くなかった?結構悲惨な現場だったし…;」
「まっさかぁ俺は平気だよ☆」
「私はその…」
 心配するアキを他所にクレイはニコニコと笑って返答し、ルアルも何かを言おうとしたがある程度黙ってる様に。と釘を刺されているので慌てて口を噤んだ

「所であの二人を発見した時の事教えてくれるかな?」
「俺が見たのは街灯の明かりでちょっとしか見えなかったけど黒い衣装の奴が路地裏から飛び出してきたところかな?」
「「黒い衣装…?」」
お互いに顔を見合わせて衣装に視線を向けあったが、何をしてるんだ…と首を振って否定した
「わ、私!犯人の顔見ましたっ!これぐらい長いナイフを持っていて…髪は確か黒で真黒な衣装が返り血で赤くなってて……」
「リオンのお客さんとかで似てる人いる?」
「自分の身近な辺りで探さないでくれ…;」
「あ、勝手に…」
まだもう少し引っ張って二人が混乱する姿を楽しんでから教えてやろうと思ったのに…と少しムッとしたが仕方ないのでハーブティーを頂く事にした
「えぇっとそれで…クレイさんに送って貰った後にすぐ叫び声が聞こえて…ライトで照らしたらうずくまってて、懐中時計を見ているようでした」
「確かに指紋は無かったが懐中時計には血で手が汚れた誰かが開けたような跡があったな だが壁に文字は書かれていなかったようだけど…」
「じゃあルアルちゃんが見たのはその時の光景って事だな」
「恐らくな…」

手元に用意した紙とペンで情報を走り書きしていく
「一つ聞くが…“va”“Ish”に心当たりはあるか?」
「リオン、確かもう一個なかったか?」
「あれは色々違う気がしてな…」
困惑気味に否定し、二人に何かしらの心当たりはないかと問いかける。
31/56ページ
スキ