― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道
彼らが野外部隊とさせられてしまったその日の夜。再び路地裏で事件は起きてしまったのだった…。
事件が起きた翌朝。日課の散歩をしていた老夫婦の通報が入り、回収班。検証班が即座に現場へ送られ、ほぼ寝起き状態のアキ達も現場へと駆り出された
「おはようございますアルバトロさんにレトさん!」
「んー…おはよー…Zzz」
「状況は…?」
「まだ身元や現場を検証中ですが…被害者は女性で遺体は既に回収させて頂きました。外傷としましては頭部付近に打撲が数か所。腹部に鋭利なもので刺された傷がありました」
簡易的にまとめられた検証結果に眼を通しつつ、白線の上に残る血だまりや辺りに微かに残る死臭に表情を歪めつつ片膝を付いて状況を改めて調べ始めた
(辺りに血が転々としていない所を考えると腹部のが致命傷と考えて間違いないが……物盗りにしては…)
周囲を見回すと品物が入っているであろう樽や木箱が周囲に置いてあるにも関わらず、何事も無いように積み上げられていたり整頓されている様子に違和感を感じていた
「リオン。何か手掛かりあったか?」
「強いて言うなら物盗りと考えるなら現場がきれい過ぎる所か…もし物盗りなら奪って直ぐに逃げる筈だが…今回の場合。辺りの樽や木箱に動いた形跡がない」
「そうなんだ…でもさ、もし急いで逃げた時に当たらずに回避しちゃった。ってのもあるよな…?もしくは殺害だけが目的とかさ…」
「それも考えられるから頭が痛い…」
溜め息交じりに視線を逸らしながら片手で頭を抱えていると、事件の事を知った人々が現場を一目見ようと集まった為。騒然としはじめた
「!おい検証班っ。さっさと隠せ!」
「そうしていますが数が多く…っ!」
「うわっ!あそこが現場か…」
「ひどい……あんなにも血が広がってる…」
検証班たちが必死に隠そうとするが、訪れてしまった人々の数が多く一部しか隠せない。その場所に一足遅く到着したルアルはその場で何度か跳んで現場を確認しようとしたが見えず、人混みを突き進もうにも上手く行かずその場でうろうろとしていると、数日前までナナシの家に居たクレイが現れ、現場前でふと足を止めた
(?何かあったのかな?)
自分が殺った事件に関しての記事はこの間読んだばかりだったが、知らぬ間に事件が起きるなんて珍しいな…と興味深そうに野次馬の会話に耳を傾けた
「こうなればリオン!ここでローゼちゃんだ!」
「悪いが寝起きであんなのは持てないから家で寝かしてある」
「あっちゃぁ…(笑;)」
「仕方ない…ここは権力でも使うか」
そこで言葉を切ったリオンは彼らの近くへと歩み寄り
「これ以上我々の調査を妨害するようであれば、例え市民であっても妨害とみなし、Roseとしてここに居る全員を逮捕しても構わない許可は支部長のエトワル=コールディードロップより既に下りている!」
「∑うっそだろ…そんなんで逮捕されるなんて……」
「こんな程度で逮捕じゃ洒落になんねえよ;」
その場しのぎのウソではあったが、逮捕と聞いた途端に表情を歪めた市民はやや慌てた様子で路地から出て行き、その場にはクレイとルアルだけが残された。