― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

ようやくながら歩き慣れ始めたものの、特に目立った成果も得られず彼女へ声を掛ける物好きすら釣れない
【はぁ…おい、いつになったら成果が出るんだ?】
そ、そんな事言われても…
エトワルからの指示が愚痴になり始め、自分にはどうする事も出来ない…と困惑し足を止めたのも束の間。ヒールのかかとが石畳の端に引っかかり、大きく転んでしまった。
【おい!どうした?!】
『いたた…少し転んでしまい…』
そう返事を返した時だった。金属の足音と共に彼女の眼の前に手が差し出される
「派手に転んでたけど大丈夫だったかお嬢さん?」
あ、あの…私…
「あーあ;膝のとこ擦りむいちゃってるな。ほら、立てるかい?丁度近くに俺らイシュヴァリエ兵士の休憩所があるからそこで手当てでもしてあげるよ」
 差し出された手を支えに何とか立ち上がるが、ヒールが高く再び大きくよろめいた所で兵士が抱き留め、お姫様抱っこの様にして軽々と抱き上げる
「お嬢さんここら辺では見かけない顔だなぁ。ここへは観光かなんかかい?だけど夜の一人歩きは危険だから気をつけた方が良いからな~」

 まさかの王国兵士によってグレコがテイクアウトされてしまい、即座にエトワルは二人を自分の元へ呼び戻し八つ当たりにと怒鳴る
俺は物好きを釣れと言ったが誰が王国兵士を釣れと言ったっ!!
「∑ちょ、落ち着いて下さいって!それより早く救助に行かないと何かヤバいですって!!」
「くそっ…今回も成果なしか…ったく おい、どっちかが迎えに行ってやれ 従妹でも姪っ子でも何でもいいから」
「分かりました。丁度この街には店もあるので、適当に誤魔化してきますよ」
渋々ながら王国兵士の休憩所へと向かい、遠方から来た自分の姪で、自分の店を探して道に迷っていた。と適度に誤魔化して回収を行い、そのまま馬車へと乗せて支部へと走らせておき、二人はそのまま店へと直帰した


留守番待機していたリュミエールが明るく出迎えてくれたものの、全員が疲弊した表情で帰宅したのだった
「あれあれ?皆様お疲れですが大丈夫ですか?」
「もう聞くな…」
『あの…私は着替えても宜しいですか…?』
「さっさと行け(怒)」
顔色を窺うようにしてそっと申し出て来たグレコに苛立ちながらさっさと行けと命じ、自分はいつもの様に椅子へと腰掛けた
「はぁぁぁ…期待外れめ」
「はい、エトワル様 温かいお茶です」
リュミエールが用意してくれたお茶で休憩しながら再び大きな溜め息を吐く
『あの…終わりました…』
「分かった。用は済んだから帰っていいぞ」
『お邪魔…致しました;』
一応お辞儀をしてから慌ただしく退出し、それを眺めてから疲れた様子で椅子に大きく身を預けた。
ここは苦肉の策として自分の犬を囮に使うべきか?とふとそんな考えが脳裏に過り、彼女へ視線を向けると、何か用だろうか?と即座に反応する姿を見て これだけ扱いやすい奴を囮に使って、もし仮に失敗でもしたら困ると考えその思考を払拭した
「だがいちいち派遣部隊を呼びつけるのも時間がかかるな…」
「?」
「捜査は確かに奴らに任せていると言え、逆に警戒されるのかもな…リュミエール。今は支部に置いてる野外の奴らに夜の捜査を行うように伝えておけ」
「はい、了解しました~」
通信機で事務の方へと連絡を行い、事情を説明して野外部隊である女性隊員二人を今後夜に街へ派遣し捜査させることにした。
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