― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

 リオンの時とは違ってやや女性陣が困惑するような声がパーテンションの向こうから聞こえる中。二人は未だ薬草の話で盛り上がっていた
「この薬品同士の組み合わせだと…自分が扱うのより質が良いのが出来ますが…こっちを多くすると…独特の匂いを抑えた神経麻痺関係のが出来ますね」
「ほぅ…俺は単品でそれらを仕入れて常に持ち歩いていたが…どうも匂いが気になってな。勘のいい…それこそお前みたいな奴には感づかれると厄介だからそれならお前の知識は意外と行けるな……持ち込んだら調合するのか?」
「内容によります。が知的好奇心はありますね」
「なら決まりだ」

不穏な会話が決定した辺りでパーテンションが開かれ、彼らの眼の前には【シェリル デザイン】に身を包んだアキが立っており、頭には巻き髪になった長い金髪ウィッグと黒い兎耳のカチューシャが付けられていた

「どうだ~リオン!アコちゃんだぜ☆」
「ごめんなさいエトワルさん…私達努力はしましたが…体格や身長まではごまかせなくて…」
「…おぅ…よくやった…な?;」
一人だけ無性にテンションが高いものの、周囲はどう反応してよいのか困惑した空気に満ちていた。
「あ、そうだ!リュミさん。カメラ貸して~」
「どうぞ~」
「リオン、撮ってくれ!」
「ああ …どうするんだコレ?」

写り具合を確認したアキは、彼の問い掛けに得意気に笑んで

決まってるだろ!トウカに送るんだよ♪お兄ちゃんたちはお仕事でこんな格好してますよ~って♡」
∑やめろぉぉお!!トウカ君に悪影響だっ!一体何のお仕事しているんだ?ってなるだろ!彼の将来をグレさせる気か!?」
「じゃあリオンのも一緒に送るから…」
「∑だからそうじゃないっ!自分のも一緒に送ったら「お兄ちゃんとその友達が変な道に目覚めた…」と余計な誤解を招くだけだ!だからやめろ!そして自分のは消せっ!!!」

リオン全力のツッコミに納得があまり行っていないらしく口を尖らせていたが、写真を送るのだけは中止してくれた。

「見てくれはどうであれどうせ釣れるのは物好きなんだ。さっさと行ってこい」
 エトワルが言い出してくれたお陰で場の空気も一変し、ようやく捜査モードへと切り替わる
「念のためだ。リュミエールも付けておく コイツの嗅覚も中々使えるからな」
「了解ですエトワル様 ではでは、よろしくお願いしますね~」
「ああ、頼む」
突然話を振られきょとんとした表情をしていたリュミエールだったが、二人の前へと歩み寄るとぺこりとお辞儀した
「リュミちゃんも一緒ならより心強いな~それじゃあよろしく頼むよ。えーっとじゃあ当分はアコって呼んでくれ!」
今回は三人となり、お互いに挨拶を交わし合ってからエントランスを目指した

「リュミちゃんって初めてなんだけどさ…どういうのが得意なのかな?」
「そうですね~…やっぱりエトワル様のお世話でしょうか?エトワル様の為ならおはようからおやすみまでずっといれますよ~♡」
((そうじゃない…))
聞き方が悪かったのか。聞いた相手が悪かったのか。全く違う答えが返ってきて二人は表情を曇らせる
(何だか幸先不安になってきたな…)
「で、でもさ…ときどーき危なくないかな?銃とか構えられるし撃たれるし」
「そうですか~?危ないとも怖いとも思ったことないですし…どちらかと言うと毎日新しい発見ばかりで楽しいですよ♪」
 これだけ能天気な調子だからこそ逆に務まるのかもしれないな…と納得した。
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