― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

「エトワルさーん♪準備できましたよ~」
「俺たちはどちらでもオッケーッス!」

用意されたパーテンションの向こうから楽しそうな声で呼びかけられ、そちらに一瞬視線を向けたエトワルはテーブル上の銃を構えた
「で?どっちが行くんだ?」
「∑ひっ!リ…リーンコちゃ「悪いなアキ…どうやら自分は持病の喘息が今出て来たみたいだ…ゲホッ。ゴホ」
「∑えぇええ?!…わ、分かった!俺が行く!」
顔色を見せないように軽く咳き込みながら床に膝を付く様にして体調不良をアピールされてしまい、これ以上引き延ばすと再び撃たれる。と本能で察したアキは腹をくくりクロア達に志願する。

 その光景を横眼で確認していたリオンは何事も無かったかのようにスッと立ち上がる
「∑あ、あれあれ?大丈夫だったのですか?!」
「フッ。詐欺師め」
「せめて演技上手と仰ってください。所でコールディードロップ支部長 この間から気になっていましたが、貴方からする独特の甘い匂いとその注射器の中身…一緒では?辞典で読んだ説明と注射器の液体が酷似していましたので…それに自分も扱うこともあり興味がございまして」
「ふぅん察しが良いな お前も確かに薬草が詳しいと聞いたが…おい、リュミエールは向こうを手伝ってこい! …お前の知識には少し興味があるな。なら毒も可能か?」
そこで言葉を切り、コート裏からコルク栓で止められた茶色の小瓶を彼の眼の前に並べて行く
「解毒や治療専門なんですが…どれも直で見るのは初めてで…」
本でしか読んだ事の無い種類のモノが眼の前に並び、興味深そうに手に取って見つめながらお互いに意見を交わし合う。 その一方で女装させられる事となってしまったアキは…

「うーん…アルバトロ先輩はどういうのが良いのかしら……背が高いのは良いけれど肩幅とか意外と広いから露出は控えめの方が良いわよね…」
「難しいッス…【霧華 デザイン】はー…足があれッスよね…結構出ちゃうから厳しいッス」
「あ、コレなんかどうですか?【リオレリナ デザイン】!腕もそんなに出てないですし丁度ー…あ、スリット大きく入ってた…;」
どの衣装を着せればよいのか。と困難を極めていた…


「なぁクロア;適当で良いんだぜ?適当で…」
「そうはいきませんわアルバトロ先輩っ!完璧に選んで着せてこその女装ですから妥協はできません!」
「お、おぉ…;」
いつにない力説をされてしまい、反応に困った様子で軽く頷いて承諾する。 しかし待っている間は退屈でもあるので、なんとなくハンガーラックに掛かっている衣装を眺め始めた
(聞いた事ない名前とか見たことない衣装ばっかだなぁ…あ、こう言うのとかクロア似合いそうだな~)
 ふとした拍子に取ったのは、水色のフリルシャツに、足首まであると思われるピンクのスカート。裾には白いレースがあしらってあり、ハンガーには黒い兎耳のカチューシャが付いていた
「【シェリル デザイン】…へぇ~ なぁなぁクロア!この服クロアに似合いそうだよな!」
「え?まぁそのデザイン!それならピッタリだと思います!ありがとうございますアルバトロ先輩♪ささ、お着替えしますから服を脱いでくださいな♡」
「え?」
クロアにー。と選んだはずの衣装をそのまま持っていかれ、突然服を脱ぐよう促され状況が分からず眼を丸くしているとコクレイ達からも催促され始めたので、困惑したままに着替えを始めた。
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