― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道

イシュヴァリエ国へ到着早々に店へと荷物を投げ入れ、代わりに留守番をさせていたローゼを連れて表へと出たまでは良いが、現場がどこであるのか把握すらしていなかった為。支部長へ連絡すべく通信機を作動させると
「∑げっ!履歴入ってた…」
「なっ…!?あ、アキ…」
「だ、大丈夫だって……多分」

震える指で再びその番号へと連絡をする

「コ…コールディードロップ支部長……は、派遣部隊隊長のアキ=アルバトロです…」
『…今まで何してやがった?連絡はしたが?』
「え、えっとその…友達の実家に帰省を…
あ゛?
∑ひぃっ!?すみません!ごめんなさい!!調査場所教えてください!!」
『チッ…シュベルツ街より南に下った、人気の少ないマーレ通りの路地裏だ。調査隊が一応そこにはいるが、ほとんどは回収済みだ。 内容はどうであれ…今夜6の刻に必ず支部に来い』

 そこで通信が一方的に切られてしまい、ガタガタと怯えた様子でアキは通信機をホルダーへと片付けた。
「今夜絶対支部に来いだって…怖い…マジで」
「ついに自分たちが支部長のもてなしに付き合う事になってしまうのか…短い人生だったな…」
(なんで変なフラグ建設してんのよ。さっさと向かったら?)
半分死を覚悟した二人は重い足取りで指定されたマーレ通りへ向かうと、派遣されいたらしいRose隊員と合流し案内してもらうと、野次馬達で少し賑わっていた
「現場はこちらです」
前回の調査した時と違い、現場は酷く散らかっており、そこかしこに乾いた血痕が飛び散っていた。
「身元はヴァネッサ=リーンディッシュ。このイシュヴァリエへ観光に来ていた方でした 死因はナイフ等の鋭利な物で数か所を刺された事による出血死とみられ…手口としましては、最初の4件と酷似しております」
現在ある情報を共有し、二人は調査を開始する

「この間犯人が捕まったばかりなのにまた起こるなんて…Roseは何をやってんのかしら?」
「怖いわねぇ…これじゃあまともに外も歩けなくなるわね」
野次馬達があれこれと口々に言う中。現場の様子をルアルは必死にメモしていた
(昨日の記事は先輩に先越されちゃったけど、まだ書けていない調査内容とかは絶対使えるはず!!)
そう自分に言い聞かせながらメモをしていると、遅れて到着した二人の姿を見つける。
(あれ?あの二人…確かクレイさんが前に親しくしてた方!!そうよ!絶対そうだわ!さっきは隊員さんに門前払いだったけどあの人なら!)
「さーって…困ったなぁどっからどう手を付けるべきか…」
「あ、あのっ!」
「んー?」
「わ、私ジュナルの記者でルアルです!!えっと、く、クレイさんのお知り合いの貴方に事件のことお聞きしたいのですがっ!!」
意を決し、緊張で上ずった声にはなったがアキに声を掛けると、案外と簡単に話を聞いてくれた
「へぇ~君もクレイ君の事知ってるんだ!確か彼も新聞記者って言ってたからルアルちゃんと一緒だね」

(?クレイさんが新聞記者…?でもジュナルでは見たことないから…もしかしたらフォルトゥレスの…??でも普通そんな大手の人なら私に情報売ってくれたりしないはずだけど…ううん!そんなことよりこっちに集中しなきゃ)

 私が聞いたクレイさんはそんな事言ってなかった筈…と疑問がふとよぎるが、先程は門前払いされた筈のRoseから簡単に情報が聞けるまたとない機会ともあって、それ以上は深く考えないでおいた。
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