― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道
「本当に美しい…その陶磁器の様に白い肌。切れの長い銀の瞳。夜に紛れるその黒いドレス…全て……」
詩を紡ぐかのように呟きながらそっと頬に触れ指先を滑らせる様にして首筋をなぞろうとした所で咄嗟にリンコは身を退いた
(Σっコイツ…!?)
「ごめんなさいドルディーさん。そろそろ彼が来たみたいなので失礼しますわねっ!」
やや上擦った声で身を翻し、今出来る全力のスピードで彼から逃げる様にしてもう一度路地裏へ戻った。 一人取り残されたドルディーと名乗った青年は引き留めようと手を伸ばしたが間に合わず一人その場に立ちすくんでいたが、感嘆の溜息を吐いていた
「確かに美しい…だが最高の美しさにはまだ足りない……だから私がこの手で…あの時の彼女の様に私が…」
陶酔した様に呟き、首元にあるコートの留め具を外して前を大きく開けてから彼も歩き出した
(…自分がこんな格好じゃなかったら本気でぶん殴ってた…あー…鳥肌が…くそっ)
イライラする気持ちを抱えながら必要以上に疲れ切った様子で息を整える。ナンパにしては随分積極的過ぎる奴だったな…と適当に思いながら歩き出したのも束の間。石畳にヒールが引っ掛かり、そのまま転倒してしまった
「いったたた…っ」
かろうじて両手をついて顔からの転倒は免れたが、代わりに軽く膝を擦り剝いてしまった
(困ったな…)
何とか自力で立ち上がろうとした時。彼女の眼の前にそっと手が差し出された
「?あぁ悪い…!Σドルディーさんっ?」
にこりと微笑みながら差し出された手に困惑しつつとりあえず素直に応じてゆっくりと立ち上がる
「あ、ありがとうございました…でも何故こちらへ?」
「ふふふっただの偶然。と言いたい所ですが……どうしても貴女が忘れられなかったのですよ 昨日の彼女の様に素敵な貴女が最高に美しくなれる瞬間をこの手で表現したい。と」
目を見開き三日月の様に口元を大きく歪めて赤い舌を出して見せる姿は異様そのもので、殺気を感じ先程の様に逃げ出そうとするがしっかりと腕が握られているためそれは叶わず、その間にドルディーは手慣れた様子でコート裏からハンマーを取り出し大きく振り上げる。
まずいっ。と本能で感じ、アキを呼ぶ事も忘れて空いた手で咄嗟に防御姿勢をして身構えていると、頭上で金属がぶつかるジャラジャラという音と何かが空を切る音が同時に聞こえ、数秒の内に鈍い音が聞こえると握られていた手がようやく離された
(一体何が…)
何が起こったのかまだ理解できず、足元で倒れる彼を見つめると胸部の辺りに先程彼が持っていたハンマーが乗っており、柄の部分には鎖が巻き付いていた
「この鎖…」
ハンマーに巻き付いていた鎖を解き、そのまま軽く束ねながら辿って行くと袖から鎖を伸ばしたアキと合流した。
「おーいリンコ!大丈夫だったかっ!!」
「アキ! ああ、自分の方は大丈夫だよ。強いて言うなら少し転んで膝を擦り剝いたぐらいさ」
「∑それはそれで大丈夫か?! ってそれより危なかったな…声のトーンがおかしかったから直ぐに向かって…それで咄嗟に鎖でハンマー取り上げてそっから勢い付けて鎖でアイツを弾き飛ばしたんだけど……何よりこっちの方で怪我が無くて本当に良かった…」
転倒での怪我以外は大丈夫と知り、心底安堵する様子に彼女は少し反応に困ったが、約束守ってくれたな…と内心で思いつつ無言で束ねておいた鎖を返却し、静かに笑む
「ありがとうアキ。約束を守ってくれて…」
「∑っ///……うん…」
突然のデレ+見た目の事もありアキは顔を真っ赤にしながら俯いて返事をし、後頭部を殴打して気絶状態になっていた彼の上半身部分を起こして受け取った鎖を巻き付けて拘束しておいた。
詩を紡ぐかのように呟きながらそっと頬に触れ指先を滑らせる様にして首筋をなぞろうとした所で咄嗟にリンコは身を退いた
(Σっコイツ…!?)
「ごめんなさいドルディーさん。そろそろ彼が来たみたいなので失礼しますわねっ!」
やや上擦った声で身を翻し、今出来る全力のスピードで彼から逃げる様にしてもう一度路地裏へ戻った。 一人取り残されたドルディーと名乗った青年は引き留めようと手を伸ばしたが間に合わず一人その場に立ちすくんでいたが、感嘆の溜息を吐いていた
「確かに美しい…だが最高の美しさにはまだ足りない……だから私がこの手で…あの時の彼女の様に私が…」
陶酔した様に呟き、首元にあるコートの留め具を外して前を大きく開けてから彼も歩き出した
(…自分がこんな格好じゃなかったら本気でぶん殴ってた…あー…鳥肌が…くそっ)
イライラする気持ちを抱えながら必要以上に疲れ切った様子で息を整える。ナンパにしては随分積極的過ぎる奴だったな…と適当に思いながら歩き出したのも束の間。石畳にヒールが引っ掛かり、そのまま転倒してしまった
「いったたた…っ」
かろうじて両手をついて顔からの転倒は免れたが、代わりに軽く膝を擦り剝いてしまった
(困ったな…)
何とか自力で立ち上がろうとした時。彼女の眼の前にそっと手が差し出された
「?あぁ悪い…!Σドルディーさんっ?」
にこりと微笑みながら差し出された手に困惑しつつとりあえず素直に応じてゆっくりと立ち上がる
「あ、ありがとうございました…でも何故こちらへ?」
「ふふふっただの偶然。と言いたい所ですが……どうしても貴女が忘れられなかったのですよ 昨日の彼女の様に素敵な貴女が最高に美しくなれる瞬間をこの手で表現したい。と」
目を見開き三日月の様に口元を大きく歪めて赤い舌を出して見せる姿は異様そのもので、殺気を感じ先程の様に逃げ出そうとするがしっかりと腕が握られているためそれは叶わず、その間にドルディーは手慣れた様子でコート裏からハンマーを取り出し大きく振り上げる。
まずいっ。と本能で感じ、アキを呼ぶ事も忘れて空いた手で咄嗟に防御姿勢をして身構えていると、頭上で金属がぶつかるジャラジャラという音と何かが空を切る音が同時に聞こえ、数秒の内に鈍い音が聞こえると握られていた手がようやく離された
(一体何が…)
何が起こったのかまだ理解できず、足元で倒れる彼を見つめると胸部の辺りに先程彼が持っていたハンマーが乗っており、柄の部分には鎖が巻き付いていた
「この鎖…」
ハンマーに巻き付いていた鎖を解き、そのまま軽く束ねながら辿って行くと袖から鎖を伸ばしたアキと合流した。
「おーいリンコ!大丈夫だったかっ!!」
「アキ! ああ、自分の方は大丈夫だよ。強いて言うなら少し転んで膝を擦り剝いたぐらいさ」
「∑それはそれで大丈夫か?! ってそれより危なかったな…声のトーンがおかしかったから直ぐに向かって…それで咄嗟に鎖でハンマー取り上げてそっから勢い付けて鎖でアイツを弾き飛ばしたんだけど……何よりこっちの方で怪我が無くて本当に良かった…」
転倒での怪我以外は大丈夫と知り、心底安堵する様子に彼女は少し反応に困ったが、約束守ってくれたな…と内心で思いつつ無言で束ねておいた鎖を返却し、静かに笑む
「ありがとうアキ。約束を守ってくれて…」
「∑っ///……うん…」
突然のデレ+見た目の事もありアキは顔を真っ赤にしながら俯いて返事をし、後頭部を殴打して気絶状態になっていた彼の上半身部分を起こして受け取った鎖を巻き付けて拘束しておいた。