― An EvilPurify ―緑の調べは赤の道
リグヴェルス城から出かける前から降りそうだった雨はいつの間にか本格的に降り出し、彼と彼の足元に倒れる女性の身体を濡らしていく
夜更けであった事もあるが、雨が降った事でより暗さを増した路地裏には雨の匂いに混じって血の臭いが辺りを包む。左腕を三角巾で吊った黒髪に紫色の瞳をした青年「クレイ=ラファル」は赤く染まったナイフを片手に静かに微笑む
「残念だったね。アンタ達がオレの友達の周りを嗅ぎ回ったりするから悪いんだ 恨むなら、自分の不運さかそれを持ちかけた相手を恨むんだね」
「よ、…くも…っ!」
彼によって刺された腹部から流れる血液は止まる事無く体外へ断続的に流れ、雨がそれを流していく。息も絶え絶えになりながらクレイを睨み付ける女性であったが、次第にそれも弱々しいものへ変わっていく
「バイバイ。シェイラ=クラディーンさん」
そう彼女の名前を呟き、クレイは何事も無かったかのようにナイフの血を適当に拭ってから戻し、平然とした足取りで路地裏から離れた。
(この短期間で4人…かぁ。王様だけあってスパイやら他国の暗殺者が多いのは解るけど…こうも短期間で増えると困るな……あーあ。こんなずぶ濡れで帰ったらまたラガーに怒られるだろうし、しばらくナナシの所でちょっと過ごそうっと)
濡れて張り付く前髪を適当にかき上げ、急ぐ様子もないまま城下町を抜けて森の奥へと姿を消して行った
それから翌日。
出身。身元共に不明の女性の死体がまた見つかった事でその記事はどの新聞にも大きく載っていた。
それは華やかな城下町の中でもメイン通りから離れた通りにある小さな新聞会社「ジュナル」でも例外ではなかったが…
「この事件は絶対同一犯による犯行だと思いますっ!!」
こげ茶色の短い髪に茶色の瞳。茶色のコートに白いブラウスと膝丈のズボンとローファーを履いた女性「ルアル=ヴェルディーク」は、バンッと所長の机を勢いよく叩きながらそう唱えた。
「そうは言ってもなぁ…」
熱烈に訴えかけるものの、所長はやれやれ…と言わんばかりに深く椅子へ座り直し大きな溜息を吐いた。その光景を他の記者たちは見慣れた様子で眺め、そしてひっそりと話し合う
「まーたルアルが言い出してるな」
「アイツが「これは絶対事件です!」とか言う事件は基本ハズレばっかりなんだよなー」
「毎度毎度結構な事なんだけど…それに付き合う所長も大変だなぁ」
呆れた様に話し合う先輩たちを他所に、渋る所長をルアルは説得する
「所長っ!そんな弱気でどうするんですか!これは滅多にないチャンスかもしれないんですよ!!」
「チャンスねぇ……君の言うように活動はしてあげたいけど、何分そんなコネもうちには無いからね」
「そんなの無くても足で稼げば大丈夫ですっ!それでは調査に行ってきますね!!」
「∑ま、待ちたまえ!ヴェル……行ってしまった…」
「いつもの事じゃないですか。まぁ、いつもの様に直ぐ帰ってきますよ」
所長の制止も聞かず、入り口にかけてあった自分のポシェットを肩から下げてそのまま駆け出して行ってしまった。
夜更けであった事もあるが、雨が降った事でより暗さを増した路地裏には雨の匂いに混じって血の臭いが辺りを包む。左腕を三角巾で吊った黒髪に紫色の瞳をした青年「クレイ=ラファル」は赤く染まったナイフを片手に静かに微笑む
「残念だったね。アンタ達がオレの友達の周りを嗅ぎ回ったりするから悪いんだ 恨むなら、自分の不運さかそれを持ちかけた相手を恨むんだね」
「よ、…くも…っ!」
彼によって刺された腹部から流れる血液は止まる事無く体外へ断続的に流れ、雨がそれを流していく。息も絶え絶えになりながらクレイを睨み付ける女性であったが、次第にそれも弱々しいものへ変わっていく
「バイバイ。シェイラ=クラディーンさん」
そう彼女の名前を呟き、クレイは何事も無かったかのようにナイフの血を適当に拭ってから戻し、平然とした足取りで路地裏から離れた。
(この短期間で4人…かぁ。王様だけあってスパイやら他国の暗殺者が多いのは解るけど…こうも短期間で増えると困るな……あーあ。こんなずぶ濡れで帰ったらまたラガーに怒られるだろうし、しばらくナナシの所でちょっと過ごそうっと)
濡れて張り付く前髪を適当にかき上げ、急ぐ様子もないまま城下町を抜けて森の奥へと姿を消して行った
それから翌日。
出身。身元共に不明の女性の死体がまた見つかった事でその記事はどの新聞にも大きく載っていた。
それは華やかな城下町の中でもメイン通りから離れた通りにある小さな新聞会社「ジュナル」でも例外ではなかったが…
「この事件は絶対同一犯による犯行だと思いますっ!!」
こげ茶色の短い髪に茶色の瞳。茶色のコートに白いブラウスと膝丈のズボンとローファーを履いた女性「ルアル=ヴェルディーク」は、バンッと所長の机を勢いよく叩きながらそう唱えた。
「そうは言ってもなぁ…」
熱烈に訴えかけるものの、所長はやれやれ…と言わんばかりに深く椅子へ座り直し大きな溜息を吐いた。その光景を他の記者たちは見慣れた様子で眺め、そしてひっそりと話し合う
「まーたルアルが言い出してるな」
「アイツが「これは絶対事件です!」とか言う事件は基本ハズレばっかりなんだよなー」
「毎度毎度結構な事なんだけど…それに付き合う所長も大変だなぁ」
呆れた様に話し合う先輩たちを他所に、渋る所長をルアルは説得する
「所長っ!そんな弱気でどうするんですか!これは滅多にないチャンスかもしれないんですよ!!」
「チャンスねぇ……君の言うように活動はしてあげたいけど、何分そんなコネもうちには無いからね」
「そんなの無くても足で稼げば大丈夫ですっ!それでは調査に行ってきますね!!」
「∑ま、待ちたまえ!ヴェル……行ってしまった…」
「いつもの事じゃないですか。まぁ、いつもの様に直ぐ帰ってきますよ」
所長の制止も聞かず、入り口にかけてあった自分のポシェットを肩から下げてそのまま駆け出して行ってしまった。
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