― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

異変に気付く判断が遅れたが盾を持っていたために直撃は免れたが真っ二つに切断されてしまった。 やや後退りしながらキッと強く睨み付けると、平気そうな表情でゆっくりと立ち上がった
「ナイスな騙されっぷりだったなシルドラ」
「アンタねぇ…!たまには本気で心配してあげたのに紛らわしい真似すんじゃないわよ!!
「はっはっはっは。相手を騙すのも戦略の一つ…ってね それに、もし自分があのまま直線に走っていたら間違いなく岩か氷の壁に阻まれて拳で弾かれていただろうからね」
「うぐぐぅっ…」
 目の前で怒る彼女を他所に相変わらずの飄々とした調子で返答しながら予想を返すと、言葉に詰まり視線を泳がせた。 口元に付いた血液を軽く拭い、マントの裾を握る様にして拭き取った。

「最初はシルドラのペースだったが…今の事で少し流れが変わったな」
「え?マジで?シルドラの魔力あんな程度じゃ尽きませんぜ?」
「いや、アイツのペースに乗せられていると言う事だ シルドラは今割と頭に血が上っている」
ヴァレンチノの冷静な分析通り、シルドラは悔しそうに唸りながらジークの背後の地面を使って柱を作り出して逃げ場を減らし、そしてヴァラファールの時と同様に自身の頭上へ氷山を作り上げた
「ジーク様ー!お逃げください!」
「そうッス!さっきみたいに切って逃げた方が良いッス!!」
少し離れた場外から逃げるよう促す二人に対し彼は小さく苦笑しながら軽く首を横に振った
「まさかとは思うけれど…さっきの様に破壊するつもりかい…?」
「そうだなぁ。そうしたいけど…オジサンってのは体力の無い生物なんだよ だから答えはこれしかない」
そこで言葉を切ると、迫りくる氷山を見上げながらジークは丁度シルドラの顔が映る辺りで静かに口を開いた

「シルドラ…前々から思っていたんだが…」
「?な、何よ突然。改まって…」
「その魔力開放してる時の姿にその表情…折角の化粧が崩れて実年齢が解るな。」
「…∑え?」
サラリと放たれた一言に彼女は眼を丸くし辺りを見回し顔を触る。そっと指先で上を示し、それにつられて上を見ると自分の姿が映っていることに気付きその姿に召喚していた筈の氷山や壁は瞬時に消え去り、大慌てし始めた

∑えっ!やだ!どうしようっ!!アタシそんなに崩れてた?!
「さぁねー言ってみただけだから」
「∑はぁ?!!Σってきゃぁあっ!?」
どうしよう。と慌てる彼女へゆっくりと歩み寄りながらやっぱり気のせいかも。と返し、ハッとなったシルドラが怒りに満ちた目で反撃を開始する前にグリップ部分で彼女の腰を一気に突き、そのまま場外へと突き落とした。
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