― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞
二人が離れた事を横目で確認し、彼は足を一歩後ろに引いてから身を屈め静かに剣を構えた。
その構えにシルドラは先程の石像の残った岩を改めて集結させて厚い岩の壁を形成する しっかりと防御を固めてはいたが、彼が構えた剣を横振りに勢いよく振るった瞬間にそれは空を切る刃となって放たれ、彼女が形成していた岩の壁を砕く
「ちょっと…まさかとは思って構えてたけどまだ使えたのね ソレ」
「年だし片方だけだから威力は弱くなってはいるけど…自分も鍛錬は怠っていないってことだよ」
ふぅ…と息を吐きながら答えるがその表情には疲労の色が見える
「ジークって斬撃飛ばせたんだね~ ってか岩を砕けるとかすげぇわ ちょっと疲れてるけど」
「今は難しいだろうが…昔はあの斬撃で岩を切るのも出来てな 今は体力的にも腕的にも難しいのだろう」
「なるほどなー あ、ちなみにチノちゃんはどう見るの?やっぱ両方応援系?同期だったし…」
「そうだな……能力的にはシルドラが勝るだろうが、その分ジークも飄々とはしているが戦略はあるだろうから難しい所だが…あのバカは一度敗北して徹底的に叩いておいた方がよかろう」
二人ともサラリと同期を“バカ”呼ばわりするが、幸いなことに当の本人には聞こえていなかったらしく、余裕そうに仮設テントへいるヴァレンチノへ手を振っていた
「その斬撃が厄介だから接近戦で相手させてもらうわよ!」
次は片手に氷で盾を作り、もう片方に剣を作り出して背後から風の魔法を使う事で通常以上の勢いをつけてから斬りかかるが、彼はそれを真正面から何とか受け止めてみせる
「私が誘った時は断ったくせに…そんなに若い子の方がいいわけ?!」
「はっはっはっは。自分は只困っているお嬢さん達を放っておけないと思ったからに過ぎないよ…っ!」
シルドラからの剣を弾き返し、そのまま肩から胸めがけて斜めへ振り下ろそうとするが氷の盾でそれを防ぎ、押し返す
「はっ!」
押し返した隙を狙って剣で突きを放つが、咄嗟に地面へ剣を軸にして突き立てる様にして上体を反らして身をかわし、手の位置を僅かにずらしてシルドラの手首めがけてグリップ部分を一気に突き上げる。
「いったたっ!?」
防御が間に合わず盾を持つ手に衝撃が走り、腕を庇おうとして思わず剣を落としてしまう。
「あんまり慣れてもいないのに剣術で挑むから…」
少し溜め息交じりにそう呟き、痛む腕を擦る彼女に対し、ジークは居合の様にして剣を構え直してから一直線に駆けようとしたが、その途端急に地面に膝をついて激しく咳き込み始めた。
「?!ちょ、ちょっと大丈夫なの!?」
予想していなかった彼の不調に思わず“試合中”と言う事も忘れて慌てて駆けよると、彼の足元には、口元を覆う手から流れたらしい血が数滴ほど落ちていた。
「アンタまさかこれ…っ」
自分の知らぬ間に大きな病気を患っていたのではないか?その思考が過り、身を屈めて彼へ触れようとした所でジークは地面に置いていた剣へ手を伸ばし口角を上げる
「ごほっ…っ。あぁ、そのまさかだよ…っ!」
言葉を言い切ると共に再び握りしめた剣をその場で一気に斬り上げる。
その構えにシルドラは先程の石像の残った岩を改めて集結させて厚い岩の壁を形成する しっかりと防御を固めてはいたが、彼が構えた剣を横振りに勢いよく振るった瞬間にそれは空を切る刃となって放たれ、彼女が形成していた岩の壁を砕く
「ちょっと…まさかとは思って構えてたけどまだ使えたのね ソレ」
「年だし片方だけだから威力は弱くなってはいるけど…自分も鍛錬は怠っていないってことだよ」
ふぅ…と息を吐きながら答えるがその表情には疲労の色が見える
「ジークって斬撃飛ばせたんだね~ ってか岩を砕けるとかすげぇわ ちょっと疲れてるけど」
「今は難しいだろうが…昔はあの斬撃で岩を切るのも出来てな 今は体力的にも腕的にも難しいのだろう」
「なるほどなー あ、ちなみにチノちゃんはどう見るの?やっぱ両方応援系?同期だったし…」
「そうだな……能力的にはシルドラが勝るだろうが、その分ジークも飄々とはしているが戦略はあるだろうから難しい所だが…あのバカは一度敗北して徹底的に叩いておいた方がよかろう」
二人ともサラリと同期を“バカ”呼ばわりするが、幸いなことに当の本人には聞こえていなかったらしく、余裕そうに仮設テントへいるヴァレンチノへ手を振っていた
「その斬撃が厄介だから接近戦で相手させてもらうわよ!」
次は片手に氷で盾を作り、もう片方に剣を作り出して背後から風の魔法を使う事で通常以上の勢いをつけてから斬りかかるが、彼はそれを真正面から何とか受け止めてみせる
「私が誘った時は断ったくせに…そんなに若い子の方がいいわけ?!」
「はっはっはっは。自分は只困っているお嬢さん達を放っておけないと思ったからに過ぎないよ…っ!」
シルドラからの剣を弾き返し、そのまま肩から胸めがけて斜めへ振り下ろそうとするが氷の盾でそれを防ぎ、押し返す
「はっ!」
押し返した隙を狙って剣で突きを放つが、咄嗟に地面へ剣を軸にして突き立てる様にして上体を反らして身をかわし、手の位置を僅かにずらしてシルドラの手首めがけてグリップ部分を一気に突き上げる。
「いったたっ!?」
防御が間に合わず盾を持つ手に衝撃が走り、腕を庇おうとして思わず剣を落としてしまう。
「あんまり慣れてもいないのに剣術で挑むから…」
少し溜め息交じりにそう呟き、痛む腕を擦る彼女に対し、ジークは居合の様にして剣を構え直してから一直線に駆けようとしたが、その途端急に地面に膝をついて激しく咳き込み始めた。
「?!ちょ、ちょっと大丈夫なの!?」
予想していなかった彼の不調に思わず“試合中”と言う事も忘れて慌てて駆けよると、彼の足元には、口元を覆う手から流れたらしい血が数滴ほど落ちていた。
「アンタまさかこれ…っ」
自分の知らぬ間に大きな病気を患っていたのではないか?その思考が過り、身を屈めて彼へ触れようとした所でジークは地面に置いていた剣へ手を伸ばし口角を上げる
「ごほっ…っ。あぁ、そのまさかだよ…っ!」
言葉を言い切ると共に再び握りしめた剣をその場で一気に斬り上げる。