― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

「な、何っすか急にこれ?!」
『ふっくくく…只の呪術ですよ…っ。ワタシが触れた相手の一部を一時的に使えなくするための……ですが代償として今回は血液を使いましたが…』
やや意識が遠のきつつある中。鞘を抜くことはおろか流石の彼女でもあの剣は片手で扱えないだろう…そう考えたイザヨイはこのまま完全に動きを防いでしまおうと不縛を唱えようとしたが
「片手が使えなくってももう片方あれば問題ないッス…!!!」
『?』
 平気な方の腕で剣を握り直し、そして鞘部分に足を引っかけ、そして器用に鞘から白金の刀身をした剣を引っ張り出してみせた。
予期していなかった行動にイザヨイは呆然とし、ボックス席で試合をアーネストと共に見ていたグルワールはその様子に困り果てた様に顔を押さえた
「片方残ってれば剣だってまだ使えるんっすよ!」
両手剣を大きく振りかぶりながらその場で一気に跳躍し、そのまま地面へ突き立てるように構えたのだったが

ピピーッ!
「∑おぉっ?!っとっとと!!?」
周囲の歓声を遮るほどに大きなホイッスルの音が突然響き、それに驚いたコクレイは剣の軌道がズレてしまい、その手から剣を落として着地した。
「折角良い所だったのに誰っすか?!」
「我だ。これ以上の試合は医者としてストップを掛けさせて貰うぞ」
『なっ…!勝手な真似はしないで下さいフール!!』
「そんな出血多量でふらっふらなんだから大人しくしなさい。さて、まずは勝利宣言頼むね」
(勝手に)ドクター・ストップを掛けられた事によって敗北となってしまったイザヨイは納得がいなかないと抗議するが、怪我人は黙ってろと窘め、作者に勝利宣言を行うよう催促する。
「えぇー…まさかのストップが掛かっちゃったけど勝者はBlue Rose!拾ってくれた姫の為!特攻だけなら誰にも負けない 女子力皆無な剛腕クラッシャー! コクレイ=ラングドリーヌ!おっめでとぅ~!その通り名に恥じないクラッシャーぶりだったぜ☆」
「さて、医務室に行って今度こそちゃんと治療するぞ」
『こんな程度は休んでいれば治ります。と言うかマリーが傍に居れば簡単に治せます』

 フールの行動が納得行かず苛立った様に口を尖らせながら言い返すと、しばらく黙っていたフールは何か思いついたように軽く顔を上げた
「ほほぅ…そんなに医師兼科学者のの我に反論すると言うならばそれで構わないぞ?そうだなぁ…治療の代わりに我の実験に付き合って貰うとするか。確かマリアネットちゃんは巨大な純潔の角が生えた蛇の魔物飼っておったな…?所で同じ純潔の退魔師に輸血としてそれを使うとどんな反応が出るのか……それが我の最近の疑問なのだが?」
『くっ…わ、分かりましたよっ!今回ばかりは貴方の方針に従って差し上げますよっ!』
「科学者の脅し方流石だぜ…」
フールの脅しに屈し、渋々ながら一緒にリングを降りて医務室へ向かおうとした時に、彼の通信機がふと鳴った。番号を確認してから即座に出る
「はいはーいこちらフール。どうした?グルグル ん?あーなるほど。はいはい、伝えてくよー」
用件のみを伝えた後は一方的に通話が切られ、通信機を戻してから一足先にクロア達の元へ帰っていたコクレイへ声をかける
「おーいレイレイちゃん。さっき君のお父さんから連絡があって、試合終わり次第部屋においで~って」
∑げっ!親父が俺をそうやって呼び出すって事はぜってぇこの後説教だぁぁあ…っ」
「いやいや、もしかしたら特殊部隊長をよく倒せたね。偉い偉い って意味かもしれないよ?」
「あんましソレ期待できねぇッス…」
「はっはっはっは」

頭を抱えて項垂れるコクレイにあえてポジティブ思考を言ってみるが、首を横に振って否定するのでいつもの様に軽く笑ってみせ、リングの反対側にいるシルドラへ視線を向けてから静かに壇上へ上る
39/45ページ
スキ