― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

「ローゼちゃんとのコンビネーションもですが…流石ですねリオンさん…!」
「自分も同意見だ。まさか君がアキに教わっているとは思わなかったから正直驚いているよ」
「憧れの先輩たちと手合わせ出来る滅多にない機会ですのが…この勝負。勝たせて頂きます!」
お互いに満足そうに微笑んだ後。鎖をそのままにしてクロアは一気に距離を詰めて持っていたナイフでもう一度斬りかかろうとしたが、途中視界を黒く大きい布で覆われる。
不意に現れたそれに気を取られ、拘束していた鎖が緩んだ為。即座にそれを外して脱出を行い距離を取ってローゼ合流するが、戻って来た彼の衣装にふと首を傾げた
(あれ?上に着てたのは?)
「あっちだ」
「おぉっとリオン選手!ここに来て愛用のケープを脱いだぁあ!!ヒュウゥウ!!」
「へぇ~アレの下ってベスト風に重ね着してたんだ」
「な、何だか懐かしい……あっ!」
覆われていた布を取り、軽く髪を直している時に先程の布が何だったのかを知り強く抱きしめてから畳んで端に置いておいた
「よしよし、試合の邪魔になるだろうから某が預かっておいて進ぜよう」
「お前は駄目だ」

 そっと端に置かれたケープを取りに行こうとしたが普通に却下されてしまった。
それをきっかけに思いついた様にクロアが先に接近戦へする為に駆け、彼へ提案する
「で、でしたら!もし私が勝ったら頂いても宜しいですか?」
「??ああ、別にあんなんで良いなら…」
そう返しながら剣で突きをして返り討ちにする筈だったが、寸前で身をかわしてしゃがみ込んだため反応が遅れ、そのまま右手の甲を一気に蹴り上げられる
「っ!!」
蹴りが当たった個所から一気に激痛が走り、表情を歪めながらよろめいた所を、更にクロアが追撃しようとしたがローゼが赤紫の腕でリオンを掴んでガードする。
突然現れた腕にお互いが驚いていたが、手が放れた瞬間にリオンは身を屈めて剣の持ち方を変え、柄頭部分で彼女の腹部へ(やや軽めの)一撃を入れ、よろめき尻餅を付いてしまった所で赤紫色の腕と剣の切っ先を彼女の首元へ近付ける。
「うぅ…降参です。レト先輩……」
試合終了ー!!勝者はRainbow Rose!虚構の壁で全てを拒絶!内に秘めし思いは黒に隠す!孤高の冷息 リオン=レト!メンタルではあっちが強いけど物理的にはこっちが強かったぁああ!!」
「クロアー!大丈夫か!怪我無かったか?!リオンもローゼちゃんも大丈夫か!?」
試合終了のアナウンスと共に歓声が上がり、その歓声の中で仮設テントに居たアキは急いで彼らの元へ駆け寄った

「わ、私は平気ですー!…あぁぁ…負けちゃいました…」
「大丈夫だって!クロアはよくやったよ! リオンも凄かったよ!お疲れ!」
「…ふっ。」
凹むクロアの頭を励ます意味で強く撫で、労いの意味でリオンの頭を軽くポンポンと撫でると普段なら問答無用で手を払われていたが、今回ばかりは大人しく静かに笑んだ。

「あ、そうだ…リオンさん。ちょっと切れちゃってますが後で直してからケープお返ししますね」
「?いや、別に君が持っていてくれても構わないが…」
 そんな程度で良いなら別に良いよ。と言う風に返すと表情を輝かせながらケープを抱きしめて無邪気に喜ぶ彼女を少し不思議がっていたが、試合前と同じようにローゼを片付けてから壇上を後にし、アキに連れられながらクロアもチームメイトの元へ戻った。
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