― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

突然の事で少し戸惑っていた様子だったが、慣れた手つきで頭を撫で、そして少し乾き始めてはいたが手が汚れる事も気にせず瞼の傷を指先でそっと触れる
「最後まで良くやったわね偉いわ…」
「ですがジュウザ様…私は貴女の願いを…」
「案ずる事は無いわ。いずれ…あの椅子は私が必ず頂くから それより…作者。私達は負けを認めたのだからさっさとアナウンスをして頂戴」
「え?終わった?本当に?氷山は?!…ええか。えー…勝者はRainbow Rose!半世紀?いいえ、永遠の二十歳です。年齢詐称の魔術師!シルドラ=レイ=ミラージュ!ヴァラファールも頑張ったがここで英雄様の意地を見せつけたぁああっ!!最後は(私にとっての)大本命!Biue RoseとRainbow Roseとなりましたー!早速決勝戦へ行きたいですがリングがまた破壊されたので修繕作業に入りまーす。しばらくまた休憩入りますよー」

アナウンスが終わり観客からは一同に興奮が冷めやらぬ様子で英雄様を称える声や、White Roseを称賛する声が聞こえる中。作者は被っていたベレー帽を安全メットに切り替えて、しゅうぜ工事に入り参加者の各々は控室や医務室へ戻って行った。



―Blue Rose控室―
モニター越しにシルドラの戦闘を見ていた二人は表情を青ざめさせながらお互いに手を取り合って身体を震わせていた

「シルドラ様容赦無さすぎッス…」(ガタガタ)
「あ、圧倒的だったわよね…」(ガタガタ)
「アイツも思い切った手段に出たねー…もしあのままオールランイーター殿が棄権しなかったら危険だったのは自分なのにね」
「え?って事はわざと…だったって事っすか??」
「討伐依頼でもないのにたかがイベントでつい魔力まで開放しちゃって…普通なら君達みたいに怯む所を彼は退かないからついムキになってあんなん出したけどどうしようって状態だったからね そうじゃなかったら直ぐにでも氷山叩き付けていたと思うよ?」
「で、ではもしあの時ジュウザさんが棄権しなかったら…」
「んー…おそらくはくしゃみとかそんな演技で軌道をずらしてそのまま氷山ぶつけてリングアウトしてただろうね」
「そこまで分かれるなんて…何だか熟年夫婦見てるみたいッス」
「アレと夫婦は勘弁してほしいなぁ…」
困った様に眉根を寄せながら返事を返し、ジークは二人から視線を逸らしたまま ふぅ…と溜息を吐き独り言を呟く

「自分も年だからどこまでやれるか分からないけど…少し同期としてお灸を据えないとね…」



―Rainbow Rose控室―
医務室での治療を終えた二人も控室へ戻り、決勝戦に向けて各々自由に過ごしていた。

『流石英雄様ですよねぇ。あの厄介な忠犬を相手に魔力開放してお相手するなんて』
「あぁら何が言いたいのかしら?結構銃の傷が重傷だったイザヨイ君??」
(リオンは平気だった?チノ結構容赦無かったけど)
「大丈夫とは言い難いな…思ってたより打ち身が効いている」
「ちょっと大丈夫なの?ラストはクロアちゃん達なんだからコンディション整えておいてよ?」
「その辺りはローゼにカバーしてもらう予定だ」
(うっわ責任重大;状況がアレだから仕方ないけど)
『それより、誰がどなたのお相手にするんですか?ワタシは英雄様は何が何でも嫌ですからね』
「逃げたな…」
『失敬ですねぇ…ワタシはあまり戦闘向きの能力を持っている訳ではありませんのでご遠慮したいだけです。呪いますよ?』
「その前に切り刻んでローゼの棺にでも入れてやろう」
はいはい、そこまで!とにかくどうするかはその場で決めればいいでしょ!今は休憩!分かった?!」
口論寸前になりかけた二人を適当になだめ、決勝戦に向けての準備を開始させた。
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