― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

 皆が退出してから数十分程経った頃。ようやく紅茶とお菓子を食べ終えた二人は本来の目的を思い出したように慌てて立ち上がった
「!!わ、忘れてたっ!!急いでメンバーを集めなきゃならないんだったっ!」
「だ、大丈夫ッスよデルタ支部長!!こんな時に役立つのが通信機!ほらほら、先輩お二人に連絡してしまえば俺とリオンさん、アキさんで完了っすよ!!」
「う…うん!そうね」
コクレイの言葉に袖元から通信機を出したクロアは慣れた手つきで操作をしまずはリオンにへと連絡を行った。数回ほどのコール音の後、彼の声が聞こえる

「レト先輩!クロアです。今宜しいでしょうか?」
「クロア?悪い…今」
「?どうしたのですか?!どこか具合が悪いのでしょうか?!」
途切れがちに話す彼の声に何かあったのだと察し、怪我でもしたのだろうか?と聞き返していると通信機の向こうから聞き慣れた声が聞こえた

「違う。それが今『ワタシを売った事を後悔させてあげますよレト先輩…』「チノとも連絡が取れないんだから息子として代わりに頑張って貰うわよ?!」
「シルドラに捕まったんだ。何とかアキは逃げられたみたいだけど…何か解らないけど退魔師狩りが行われている。アイツなら上層部辺りに居るだろうから探して迎えに行ってやってくれ」
「そ、そんな!レト先輩ー!!」
そこで通信が一方的に切られてしまった。
「コクレイ!急いで上層部の人たちがいる階まで走りましょう!アルバトロ先輩を探しに行かなきゃ!!」
「了解っす!!」

 通信機を元の袖中へと戻してからドレスの一部を持ち上げてクロアは走り出し、その斜め後ろをコクレイが共に走った。
長い廊下を走り続け、時間短縮の為にと階段を下りて六階の上層部区画へと到着した
「アルバトロ先輩ー?クロアです!何処にいらっしゃいますか?」
「アキさーん聞こえたら出て来て欲しいッスー」
詳しくは知れなかった為。宛も無く辺りを歩きながら呼び掛けていると、部屋の扉がゆっくり微かに開き、そこからは警戒し切った表情のアキが顔を覗かせて声の主を探していると、クロアの姿を確認した途端。安堵し切った様子で彼女たちの元へ駆け寄り、そして強く抱きしめた
クロア~!!良かったーっ!急にシルドラさんに追われたと思ったらリオンまで捕まっちゃって何が何だか…」
「あああアルバトロ先輩…///えっと…」
「あ、ごめんごめん;」
「実はアルバトロ先輩には一週間後に開かれる大会のチームとして私たちのメンバーに入って欲しいんです!お願いしますっ!!」
「大会…?よく解らないけど俺でよ」

一緒に参加してほしい。と深く頭を下げ、手を出していた彼女にアキも了承の手を出そうとした時だった。何処からか網が飛ばされ、彼が捕らえられてしまった。
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