― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

『試合が終わったのでそろそろ放して貰いますよ』
(あーはいはい、了解)

ローゼにさっさと退く様に言い、ようやく重く不快だった巨大な腕の拘束から逃れられたイザヨイは大きく伸びをする。
『レト先輩ったら頑張ってくれると思ったんですがねぇ…やはりコレが無いと…でしょうか?』
「まっさかぁ。だってチノが剣術の師匠だから手の内知られてるのは当たり前だから仕方ないわよ さ、次は行って来て頂戴ね」
『ワタシですか…』
(行ってらー)


場外へ落ちていた剣を鞘に納めてからヴァレンチノはチームメイトの元へ戻った。
「おかえりなさい。見事な勝利だったわ」
「貴女との約束でもありますからね」
「うっふふふ。そうねぇ では次はメリアル。貴女が行って来てくれるかしら?」
「え゛?!…うぅぅ…はーい…行ってきます……」
とぼとぼとした足取りで壇上へと上り、イザヨイも同じく壇上へと上った。
「よーし、お二人揃ったので二回戦行きますよー!まずはWhite Rose!イケメンとお金は私のもの!家庭のお財布は私が握る。戦う守銭奴!カイン=メリアル!対するRoinbow Rose!白姫こそ我がジャスティス!崇拝溺愛拘束は全て愛故です。色欲の白蛇!イザヨイ=ミコト!
『マリーへの愛は語り切れませんからねぇ…』
「毎回毎回このリングネーム何とかならない?…何かもう…的確に傷を抉られてる感じがするんだけど」
「そう思うなら行動改めろよ守銭奴!もしくは受け入れろ!イザヨイを見なさい!彼なんか平然としてるじゃない」
「あの人は特別とかじゃないの…?ってか待って。何か知らないけど私あの人が何か苦手…イケメンなのに惹かれないんだけど」
「そ、それはー…(言えねぇ…あっちの話なんて)ロリコンだからじゃナイカナー??」
「そう…?」
「いいから始め!!」

 カインからの問い掛けに思い当たる節があったがとりあえず適当に濁してから二回戦を開始させた。会場からは応援する声や試合を期待する声などが様々四方八方から聞こえて来た
(とりあえず契約金のもう半分貰うためにさっさと決める…!)
即座に制服の両足に付けてあるホルダーから二丁の銃を取り出し構えるが、イザヨイが動く気配が無かったため。先に銃弾を放つ
二発の発砲音と共に銃弾が発射され、勢いを保ったまま彼の腕と首筋を掠めそこからは焼けつく様な熱と痛みを伴いながら血液が流れ白いコートを汚す
怪我の痛みを感じていないかのように表情を一切変えず無言のまま彼は傷口を擦り、手袋に付いた血液の量を確認し静かに笑む。
『自分でやる手間が省けましたねぇ…』
それだけを呟くと、常に付けていた手袋を取り外した。
「その手…っ?!」
『ああ、コレですか?ふっくくく…驚くほどの事じゃありませんよ。死にぞこないの一族から受け継いだ代物です』
自嘲気味に呟く彼のその両掌。甲に刻まれた刺青にカインは引いた様に表情を強張らせる
『さて…お次はワタシの番ですねぇ…』

そう言うと彼は素手で傷口に触れ、その血液を手に持っていた杖の結晶部分へと擦りつけると、その血に反応して結晶は淡く光り出す。
28/45ページ
スキ