― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

その声に一瞬驚いたように眼を見開いていたが、不敵に笑んで返事を返す
「やはり自分を指名ですか。母上」

(ラッキー♪私じゃなかった)「チノから直々ご氏名よ!頑張ってね☆」
『やはりご子息様じゃないとお相手は務まりませんよねぇ 応援していますよセ・ン・パ・イ』
黙ってろ
自分のご指名じゃなかった事を心底喜ぶ二人に対し威圧を込めて一喝を入れた彼は、地面に置いていた剣の鎖で巻き付けてあった棺桶を背負い、壇上に登ろうとしたが
「待てリオン。お前は私との一戦に対しローゼにも頼るつもりか?それとも…昔みたいに私に剣術稽古で一度も勝てなかった事を根に持っているのか?」
(イラッ)「……」
『へぇww興味がありますねぇその話…ヴァレンチノ殿。後程お伺いしても宜しいでしょうか?』
「ん?ああ、別に構わ…(イザヨイに向けて投げつけられる棺桶)おい;」
Σ痛ぁっ!そして重っ?!何ですか突然!!
「黙ってろ…(怒)ローゼ!!試合が終わるまでソレを押さえつけていろっ!!」
(え?あ、了解)
 いつの間にか開けられていた鍵によって、急に名前を呼ばれたローゼは慌てて扉を開けて事態を確認し、とりあえず棺桶下で脱出を計っていた彼の上へ変化させた薄紫色の手で上から一気に押さえつけた。
それを確認し終えると、鞘に繋がっていた鎖を外しそのまま壇上へと駆け上がった。

「えー…一部チームメイトを攻撃する事態がありましたが準決勝行きますよー!今回はさっき以上に胸アツな展開になる事間違いなし!なんたって今回は母子対決ですぞい
まずはWhite Rose!昼は武器商!夜は酒場のマスター!魔物と酔っ払いには容赦しない絶対零度の女主人 ヴァレンチノ=レト!対するRainbow Roseは!虚構の壁で全てを拒絶!内に秘めし思いは黒に隠す!孤高の冷息 リオン=レト!
「ほほぅ…中々的を射るリングネームだな」
「勝手な思い込みです」
「果たしてそうかな~?(笑)じゃあ始め!」

試合の開始宣言と同時に半ば苛立った様子のリオンは即座に十字架風になっている鞘を持って、漆黒の長い刀身を露わにさせるとそのまま鞘を適当に投げ捨てそのまま両手で構えながら駆けるが、対するヴァレンチノは微動だにしない
 リーチの長い刀身が横振りに斬りかかられる寸前の所で白銀の刀身をした剣を一部だけ抜き、寸前の所で受け止める
「随分と余裕ですね」
「ふっ そう思うなら崩してみたらどうだ?」
剣を受け止めていた力を一瞬緩めると共に大きく身体を弧を描くようにしてしゃがみ、自身の頭上を剣が過ぎたと同時に鞘に納めたままのロングソードで彼の左肩めがけて一気に突き上げた。
「っ!!」
突かれた部分から一気に肩から腕にかけて痺れが広がり、患部を押さえながら僅かに表情を歪め、軽く後退し間合いを取ろうとしたがすぐさま腹部めがけての蹴りが放たれ、咄嗟に左腕でガードする様にしてそれを防いだ。
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