― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

「よっしゃー!最後は俺の番。張り切って行くッスよ!!」
拳を構えながらもう片方の手で受け止める様に構えて気合を入れてから、彼女も急ぎ足で階段を駆け上って行った

「さーてさて!ついに一回戦グループのトリを飾るのは青と緑の側近組!!
まずBlue Rose!拾ってくれた姫の為!特攻だけなら誰にも負けない 女子力皆無な剛腕クラッシャー! コクレイ=ラングドリーヌ! Green Rose!その盲愛。一線を越えるのは待ったなし?!抱っこも写真も添い寝も全てはダーティーエンジェルをお守りするため! リュミエール=バニア!と言う訳で頑張ってね~隠れ力持ちとオープン力持ちで」
「そりゃあ色んなもの持ち上げたり運んだりアレコレしてるし…確かに料理とかできないけどさ……物とかよく壊しちゃってるけど……」
「エトワル様の為ですから~♡え?でも私そんなに力持ちでしょうか??エトワル様以外に重たいものは抱っこした事ないですし…でも私って書類の山を運ぶだけでも息切れしちゃってますよ?」
 口を尖らせながらぶつぶつと呟くコクレイを他所に、つい数日ほど前にアキをいとも容易く運んでいたと言う出来事に関しては一切覚えていない。と言った様子できょとんとした表情で首を傾げていた
「いやいやー…どう考えてもエトワルの方が重いよね?一応見た目少年でも…ねぇ。どう考えても紙の山より」
「そんな事ありませんよ!エトワル様は書類の山よりずーっとずっと軽くてマシュマロみたいに甘い匂いがして羽毛みたいに軽いんですよ!!」
(力強く返された…)

「それじゃあ始めるよー…試合開始!」

作者の試合開始宣言と共にコクレイは腰に挿していた両手剣を取り出し片手で構えた。
「流石リングネーム通りですね…!」
「両手塞がれてたら出来る事も出来ねぇっすからね」
「ですが…エトワル様の応援を貰ったんですから負ける訳には行きませんっ!!」
そう言ってリュミエールはコクレイに向けて装具の付いた右拳を突き出すようにして構え、左手で袖の中にある作動ボタンを押すと、構えた装具から一本のワイヤーが発射された
「っと!」
身を屈めてワイヤーを避けると、それはそのままコクレイの背後で地面に深々と突き刺さっていた。背後を軽く確認しているとすかさずリュミエールは第二、第三とワイヤーを発射し、彼女が避けるたびにそれは地面へと突き刺さり、気が付く頃には移動できる範囲が随分と削られて追い詰められていた。

(柄にもなくいちいち避けるんじゃなかったなー…でも怪我したら心配かけちまうし…)
普段と違う行動はするもんじゃないな…と内心で後悔しつつ、目の前にある邪魔なワイヤーを切ろうと振り上げた刀身を力いっぱいに振り下ろしたのだが、傷は付いたものの切断されるまでには至らず衝撃を跳ね返した。
「なっ?!」
「ちょっとやそっとの打撃でも剣で切ろうとしても大丈夫な様に改良されてるんですよ…! ごめんなさいコクレイさん。この勝負は私の勝ちです」
勝利宣言をするリュミエールに対し諦めずワイヤーを切断しようとするコクレイへ装具が付いた左手へ力を籠めると、そこからは巨大な網が放たれた。
「この網も改良されてますから切る事は絶対不可能ですよ!」
「だったらこうすれば良いんッスよ!!」
巨大な口を開けて網がコクレイめがけて落ちて来るが、彼女は一切避ける素振りも見せず刺さっていたワイヤーを掴んで引き抜き、その場で軽く振り回して勢いをつけてから網に向けて持っていたワイヤーを勢いよくぶん投げた。
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