― An EvilPurify ― 咲いて散るは薔薇の舞

少し咳き込みながら立ち上がったアキは、少し困った様に眉根を寄せながら小さなため息交じりにニコリと笑う
「久しぶりに会ったら初めての事ばかり知れちゃったなぁー」
「私だって…いつまでも守られてばかりではないんですよ!」
「あっはははそっか~; でも…いつも一緒にいた後輩が成長してるって知れてなんか嬉しいな」
「ふふっ。ありがとうございます」

しみじみと呟くアキへ微笑みながらお礼を言
い、そして隙だらけの彼へ即座に駆け、身体を大きく捻りながら胴体付近を狙った回し蹴りを行うが、掌手で弾かれてしまったので、咄嗟に地面に手を付いて受け身を取った際に、袖の中から鎖を放つと上手くアキの腕へと巻き付いた
(やった…っ!)
このまま勢いをつけて引っ張って足を払ってリング外に着地して貰えれば勝てる…!次の行動への流れを即座にイメージして、鎖が繋がっている方の腕を大きく引っ張ると予想通りアキは自分の方へ躓きながら慌てた様子で引っ張られる。 後はイメージ通り足を払ってリング外へ…と一瞬気を許してしまった。腕を引く力僅かにが緩んだ事に気付いたアキは、その場で一気に足を踏ん張って耐えつつ、鎖が伸びたままだった腕を軽く動かして位置を調節してから勢いをつけて横に払いクロアの足を引っかける様にして絡ませる。
「えっ?!あっ!」
 予定外の出来事に焦るクロアへ逆にアキが腕を引っ張って、同じくリング外へ着地させようと考えていたのだったが、予想以上に勢いがついてしまった為。彼が身を屈めて構えていた事もあり、お互いに額をぶつけ合ってしまった

「ったっ!?」
「でっ?!」
まさかの衝撃にお互い額を押さえながらよろめき、そして着地した。同時にリング外へ


「あっ」
「あ…」
まさかの試合終了~!!!Green Rose!大事なトウカはお兄ちゃんが必ず守る!!鉄壁のブラコン隊長!アキ=アルバトロ!そしてBlue Rose!私の完璧の仮面を剥がして王子様!移ろう恋情は誰のモノ?!難攻不落の青薔薇姫!クロア=デルタ!両者相打ちです!最終戦は側近二人の手に委ねられたー!! おいフール!何でも良いから保冷剤的な物渡しておいてあげてや」
『わーかってる』
屋台巡りから急ぎ足で帰宅した作者の宣言により、水を打った様に静まり返っていた観客席は
一気に沸いた。

「タッチ差で負けたと思ってましたが…相打ちだったんですね」
「俺も負けたと思ってた…にしてもさ、お揃いだな(笑)」
お互いの結果を知り、ようやく肩の荷が下りた様子のアキはフールから貼られた額のモノを指さす
「あっ…ふふふっ」
意味が分かったクロアは思わず笑みを浮かべ頷く
「俺はともかく、跡が残らなきゃ良いんだけどな~…」
「気にしすぎですよ…」
気落ちしているアキに苦笑しつつ、そのままリングから少し離れた場所へ二人で座って観戦する事にし、自分サイドにいるコクレイへ手を振って「頑張ってね」と合図を送る
デルタ支部長~!!必ず俺が勝ちますので見てて下さいッスねー!
「元気だなーあの子」
全力で両手を大きく振って返事をしてくれるコクレイに関心した様子で呟く

その反対側では、心底いらだった様子のエトワルが威圧を込めて地面を大きく踏みつけて残ったリュミエールへ命じた
「リュミエール!これは命令だっ!!俺の為に勝利しろ!」
「はぁい!エトワル様の為ならば 私、頑張れます♡」
苛立ちで普段よりも威圧感が増しているはずの彼に対して一切怯む事も無く普段の調子で敬礼とお辞儀をしてみせ、小走りでリングへの階段を駆け上がって行った。
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