夢より現れしは紅き退魔の剣

―Epilogue―


各国に居住していた者達へと連絡を済ませた水晶はイシュヴァリエ国のとヴァルハラ帝国の国境付近にある野原を待ち合わせ場所として指定し、先に来ていた彼女は宛も無くその辺りを歩き回っていた

(全て忘れて大人しく従うか、全て忘れて逃げ出すか…皆を犠牲にするか……か。やれやれ…)

刹羅から出された選択肢がまだ頭の中をぐるぐると巡っていた。

(リースが言っていた通り追及はせぬ方がよいのかも………そう言えば剣姫達にもしかしたら居候が追加される事を言うの忘れておったな……まぁ大丈夫だろう)

 今になって大事な事を思い出してしまったが、わざわざ戻って教えるほど重要ではないだろう。と勝手に結論付けておいた
しばらく歩き回っていると、甲高い鈴とベルが鳴る音が辺りから聞こえ、振り返るとそこにはまだ幼さの残るそっくりな顔をした肩に掛かる程の金色の髪と銀色の目をした和装の双子の姉弟「空条霧華」と「空条霧都」が到着した。 二人の姿に気が付いて手を振ると、久しぶり会って感極まったらしい霧華が挨拶よりも先に彼女へと飛びついた

「わぁ~!久しぶり!久しぶりだね~水晶っ!!元気だった??」

「騒がしいよ霧華。久しぶりに会って嬉しいのは解るけど」

「ふふふっ主らも相変わらずだのぅ 色々あったが私の方も元気だったぞ」

冷静に挨拶を交わす霧都とは正反対に、霧華は両手で水晶の手包む様にしっかりと握ってその場に数回ほど跳ねていた
 喜びを全身で表現する彼女に付き合い、苦笑を漏らしていると、遅れて最後の一人が到着した

「すいません!遅れちゃいました」

「おっそいぞ!る…お前…」

不満を口にしようとした霧都は、遅れて来た人物の姿に言葉を詰まらせた
肩甲骨辺りまで伸びた茶色の髪に緑色の目と眼鏡。白いセーターに短いスカートと肌色のタイツを着用しているその人物は「六条院流祈」

「流祈~!流祈も久しぶりだね!わ、前よりすっごく綺麗になってる…」

「うふふ。ありがとうございます霧華」

「主も相変わらずそうだのぅ…」

「ええ、勿論。グランティーヌ国に居た時は一切出来なかったのでその反動でしょうか? あ、そうそう連絡にありましたが、私達が追っていたセフィリア達を浄化するなんて凄いですね!」

「あ…ああ、まぁ…のぅ。」

「?…何かあったのか?」

セフィリアの事を問いかけられ、刹羅の事を皆に言うべきか悩んだ水晶は珍しく歯切れが悪くなった

「悪いが今はまだ言えぬのでな…それより早く帰るとしようではないか。久しぶり実家でも休みたいのでな」

「そうだね!置いてきたとっきーも心配してるかもしれないし!!」

「何か月ぶりの帰宅だろ?とにかく帰って寝たい」

「私はお洋服選びしたいです♪」

上手く話しを逸らせた事でそれ以上追及される事も無く、帰ったら何をしようか?と思い思いの事を話しながら四人の姿は瞬時に野原から瞬時に消え去った。


―Epilogue
 END―
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