夢より現れしは紅き退魔の剣
その日の夜。ようやく眠りから目覚めたエクは上半身部分をむくりと起こして伸びをした
(んあ~~っと!!ん?アレ?何で夜?確かさっきまで朝陽見えてたのに…ん???)
半日近く睡眠をしていた事もあり、途中からの記憶が殆ど無い状態になっている彼は辺りをきょろきょろと見回してから起き上がった
「御幻ー?おーい御幻ー?」
普段なら傍にいる筈の彼女の姿が見つからなかったので、とりあえず適当に呼びかけてはみたが反応はない
「みーげーんー!!」
声を大きくして呼びかけてみても帰ってくるのは静まり返った夜の静寂だけだった
「……水晶ちゃんの方が御幻なんかよりセクシーだぞー」(ぼそっ)
いつまで経っても帰ってこない返事に最終手段として行ってみた結果。エクの背後の閉じられていた襖から、俯いたまま顔を紅潮させた御幻が勢いよく登場した。
「~~っ!!悪かったわね!ちっさくてっ!!比較対象が悪いのよっ!!」
「Σキャァァアア!出たぁぁああっ!!!」
「Σちょっとっ!!普通そこは起きたら私がいなくて寂しかったとか言うべきところでしょ?!何よ人をお化けみたいに……アンタが起きそうにも無かったからその間に向こうで料理してたってのに…」
「って…え?料理??出来るの?」
「かじった程度だけどね」
「うっわ……大丈夫かなソレ……Σああー!!」
「Σつ、次は何よ?!」
「どどどどうしよう御幻っ!!!サン姉ちゃんから借りてた刀が今見たらねぇんだよっ!どっかで落したのか?!!もし無くしでもしたら…今度からモーニングコールして貰えない所か今度から一切口聞いて貰えなくなるってぇぇええ!!ヤダよーサン姉ちゃん怒ったら怖いもん…っ」
一人で騒いで勝手に出した結論に膝を付いて絶望する様子を見ていた御幻は呆れたように溜め息を吐いた。 昨日までの真面目な姿は一体何処に行ってしまったのだろう…と
「絶望するのは勝手だけど、サンちゃんから借りてたあの刀なら返しておいたわよ」
「え?」
「それと、今度から稽古以外の面倒は私が見るって言っておいたわよ? だーいじな主様を正すのも私の役目でしょ?? 勿論皆さん喜んで承諾してくれたわよ~手間が省ける。って」
口角をわざとらしく上にあげながら言ってみせると、エクの表情はあからさまに不満の色を出していた
「ヤダよー御幻のモーニングコール…一回踏まれてるし 俺はこのまま怠惰に過ごせてたらそれで良いんだけど」
「だったらそうならない間に自分で起きれる様になる事ね あ、料理の途中だったからもう戻るわよ 布団。片付けておいて」
その場で数回ほど片足だけで足踏みをしてみせる素振りをすると、意味を察したエクは口を噤んだまま視線を逸らした。
強制的に納得させ、得意気に笑んだ御幻は台所へ戻ろうとした時。エクに呼び止められた
「どうかした?文句なら聞かないわよ?」
「わーかってるよ!そんな事ぐらい ……起きたばっかりで気付くの忘れてたけど、ちゃんとまだこの刺青と首飾りが残ってて良かった。そんだけ」
「…ぷっ…」
「Σ何だよっ!!」
「べっつに~?今まで嫌がってたアンタがそう言うなんて以外。と思っただけよ~
…これからも頼むわよ。エク」
「望む所だ!御幻」
刺青の刻まれている方の手を彼女へ突き出すと、それに応える様にして彼女も装備爪を同じ様に突き出し、コツンと当てあってから笑い合った。
これからも時間が許す限り…彼が最期の時を迎えるその時まで必ず傍に居よう。 それが退魔の剣一族として唯一残った自分に出来る務めだろう…と御幻は堅く胸に誓った。
(んあ~~っと!!ん?アレ?何で夜?確かさっきまで朝陽見えてたのに…ん???)
半日近く睡眠をしていた事もあり、途中からの記憶が殆ど無い状態になっている彼は辺りをきょろきょろと見回してから起き上がった
「御幻ー?おーい御幻ー?」
普段なら傍にいる筈の彼女の姿が見つからなかったので、とりあえず適当に呼びかけてはみたが反応はない
「みーげーんー!!」
声を大きくして呼びかけてみても帰ってくるのは静まり返った夜の静寂だけだった
「……水晶ちゃんの方が御幻なんかよりセクシーだぞー」(ぼそっ)
いつまで経っても帰ってこない返事に最終手段として行ってみた結果。エクの背後の閉じられていた襖から、俯いたまま顔を紅潮させた御幻が勢いよく登場した。
「~~っ!!悪かったわね!ちっさくてっ!!比較対象が悪いのよっ!!」
「Σキャァァアア!出たぁぁああっ!!!」
「Σちょっとっ!!普通そこは起きたら私がいなくて寂しかったとか言うべきところでしょ?!何よ人をお化けみたいに……アンタが起きそうにも無かったからその間に向こうで料理してたってのに…」
「って…え?料理??出来るの?」
「かじった程度だけどね」
「うっわ……大丈夫かなソレ……Σああー!!」
「Σつ、次は何よ?!」
「どどどどうしよう御幻っ!!!サン姉ちゃんから借りてた刀が今見たらねぇんだよっ!どっかで落したのか?!!もし無くしでもしたら…今度からモーニングコールして貰えない所か今度から一切口聞いて貰えなくなるってぇぇええ!!ヤダよーサン姉ちゃん怒ったら怖いもん…っ」
一人で騒いで勝手に出した結論に膝を付いて絶望する様子を見ていた御幻は呆れたように溜め息を吐いた。 昨日までの真面目な姿は一体何処に行ってしまったのだろう…と
「絶望するのは勝手だけど、サンちゃんから借りてたあの刀なら返しておいたわよ」
「え?」
「それと、今度から稽古以外の面倒は私が見るって言っておいたわよ? だーいじな主様を正すのも私の役目でしょ?? 勿論皆さん喜んで承諾してくれたわよ~手間が省ける。って」
口角をわざとらしく上にあげながら言ってみせると、エクの表情はあからさまに不満の色を出していた
「ヤダよー御幻のモーニングコール…一回踏まれてるし 俺はこのまま怠惰に過ごせてたらそれで良いんだけど」
「だったらそうならない間に自分で起きれる様になる事ね あ、料理の途中だったからもう戻るわよ 布団。片付けておいて」
その場で数回ほど片足だけで足踏みをしてみせる素振りをすると、意味を察したエクは口を噤んだまま視線を逸らした。
強制的に納得させ、得意気に笑んだ御幻は台所へ戻ろうとした時。エクに呼び止められた
「どうかした?文句なら聞かないわよ?」
「わーかってるよ!そんな事ぐらい ……起きたばっかりで気付くの忘れてたけど、ちゃんとまだこの刺青と首飾りが残ってて良かった。そんだけ」
「…ぷっ…」
「Σ何だよっ!!」
「べっつに~?今まで嫌がってたアンタがそう言うなんて以外。と思っただけよ~
…これからも頼むわよ。エク」
「望む所だ!御幻」
刺青の刻まれている方の手を彼女へ突き出すと、それに応える様にして彼女も装備爪を同じ様に突き出し、コツンと当てあってから笑い合った。
これからも時間が許す限り…彼が最期の時を迎えるその時まで必ず傍に居よう。 それが退魔の剣一族として唯一残った自分に出来る務めだろう…と御幻は堅く胸に誓った。
―END―