夢より現れしは紅き退魔の剣
「エク?ちょっとエク?!大丈夫?」
「疲れて寝てしまったのだな…無理もなかろう…二人との戦いの後に色々とあったからのぅ」
「うん…そうよね…只でさえ私の能力で大変なはずなのに無理に刀まで使ってくれたんだから…」
すやすやと穏やかな寝息を立てながら腕の中で眠るエクの頬を御幻が優しく撫でた。
エクの為にも早く帰ってやろう。と提案した水晶の言葉に一度こくんと頷くと、少しだけ向きを変えさせてから彼をおんぶする形で移動を開始し、礼拝堂を出る頃には朝陽が完全に昇りきっていた
「朝…か」
「うん……ねぇ水晶。全部終わったけど、アンタは今後どうするの?せつら…とか言う人が何か提案してたでしょどうするか自由だって…」
「…まだ分からぬ。…ずっと前に死んだと思われていた彼が生きていた事やあの者達と行動していた事。それに探しているといった人物…真相を知りたいと思う反面。それによって近親者を犠牲にする事も、そのまま逃げるのも安易に出来る事ではないのでな…」
「そう…」
「主こそどうするのだ?ある意味で主の役割は終わったが…グレイルとの契約は」
「ホントは全部終わったら解約して、いじってた記憶も元に戻してから実家にでも帰ろうと思ってたんだけどね」
一旦立ち止まって言葉を切った御幻は背中に背負っていたエクを軽く上に持ち上げる様に背負い直し、以前彼に言われた言葉を思い出して思わずはにかんだ
「私と契約したら能力で寿命縮むでしょ?…それに、私が言わなきゃならない筈なのに躊躇したせいでレルクたちに言われて……本当は怖い筈なのに 例え御幻がどんなに破棄したいと思っても一応ご主人は俺だから破棄なんて絶対に許可しないからな!!勝手にしたら夢の中探し回ってでも見つけてやる。って言ってくれて…//」
「そうか…ふふふっ。前はあんなにも喧嘩しておったのに知らぬ間にそんな風に言ってくれるようになったとは良かったではないか」
「それに…先代はどうしてたか知らないけど……剣として…契約者を最期まで看るのは必要だと思うの。何かその…えっと…寿命縮んでまで破棄しないで一緒にいてくれるなら尚更かな?って」
「そうだのぅ…そう思える様な相手と共に居れて良かったではないか」
顔を赤くしながら嬉しそうに語る彼女の姿に水晶は目を細めて笑った。
それからしばらくお互いに他愛ない話を交し合いながら道場へと帰宅し、敷いたままだった布団へとエクを寝かせ後。鮮やかな手際で腕や肩の怪我の手当てをしてくれた
「凄い…腕も何か楽になった感じ…」
「腕はいい怠惰な女医が空き時間に教えてくれた結果だ さて…手当てしてやったと言え、まだ無理をするでないぞ?折角塞がり始めている傷がまた開くかもしれぬから、稽古は禁止だ」
「わ、解ってるわよそんな事ぐらい……」
「さて…私はやる事が多い。早い目に各国に居る者達へ連絡を取るのもそうだが城の者達へも帰る趣旨を伝えねばならぬのでな」
治療用にと使っていた救急箱を手早く元あった場所に片付け、用件をちょっとだけ話したと思ったのも束の間。庭の方へ置いておいたブーツを履き、一度も振り返る事無く足早に去って行ってしまった。
(急ぐのは解るけど水晶だって治療して行けば良いのに…)「Σって…あ!もうこんな時間なら急がなきゃっ!私もやる事あったんだ!」
部屋にあった時計に目をやって確認してから慌てて立ち上がり、エクの傍に置いてあった刀を持って縁側に置いていたブーツに足を通した
(このまま置いてくのはちょっと心もとないけど…仕方ないわよね)
布団の中ですやすやと規則的な寝息を立てたまま、一向に起きる気配を見せないエクへ視線を向けていたが心配はないだろう。と考えて彼女は城の方へ向けて駆けて行った。
「疲れて寝てしまったのだな…無理もなかろう…二人との戦いの後に色々とあったからのぅ」
「うん…そうよね…只でさえ私の能力で大変なはずなのに無理に刀まで使ってくれたんだから…」
すやすやと穏やかな寝息を立てながら腕の中で眠るエクの頬を御幻が優しく撫でた。
エクの為にも早く帰ってやろう。と提案した水晶の言葉に一度こくんと頷くと、少しだけ向きを変えさせてから彼をおんぶする形で移動を開始し、礼拝堂を出る頃には朝陽が完全に昇りきっていた
「朝…か」
「うん……ねぇ水晶。全部終わったけど、アンタは今後どうするの?せつら…とか言う人が何か提案してたでしょどうするか自由だって…」
「…まだ分からぬ。…ずっと前に死んだと思われていた彼が生きていた事やあの者達と行動していた事。それに探しているといった人物…真相を知りたいと思う反面。それによって近親者を犠牲にする事も、そのまま逃げるのも安易に出来る事ではないのでな…」
「そう…」
「主こそどうするのだ?ある意味で主の役割は終わったが…グレイルとの契約は」
「ホントは全部終わったら解約して、いじってた記憶も元に戻してから実家にでも帰ろうと思ってたんだけどね」
一旦立ち止まって言葉を切った御幻は背中に背負っていたエクを軽く上に持ち上げる様に背負い直し、以前彼に言われた言葉を思い出して思わずはにかんだ
「私と契約したら能力で寿命縮むでしょ?…それに、私が言わなきゃならない筈なのに躊躇したせいでレルクたちに言われて……本当は怖い筈なのに 例え御幻がどんなに破棄したいと思っても一応ご主人は俺だから破棄なんて絶対に許可しないからな!!勝手にしたら夢の中探し回ってでも見つけてやる。って言ってくれて…//」
「そうか…ふふふっ。前はあんなにも喧嘩しておったのに知らぬ間にそんな風に言ってくれるようになったとは良かったではないか」
「それに…先代はどうしてたか知らないけど……剣として…契約者を最期まで看るのは必要だと思うの。何かその…えっと…寿命縮んでまで破棄しないで一緒にいてくれるなら尚更かな?って」
「そうだのぅ…そう思える様な相手と共に居れて良かったではないか」
顔を赤くしながら嬉しそうに語る彼女の姿に水晶は目を細めて笑った。
それからしばらくお互いに他愛ない話を交し合いながら道場へと帰宅し、敷いたままだった布団へとエクを寝かせ後。鮮やかな手際で腕や肩の怪我の手当てをしてくれた
「凄い…腕も何か楽になった感じ…」
「腕はいい怠惰な女医が空き時間に教えてくれた結果だ さて…手当てしてやったと言え、まだ無理をするでないぞ?折角塞がり始めている傷がまた開くかもしれぬから、稽古は禁止だ」
「わ、解ってるわよそんな事ぐらい……」
「さて…私はやる事が多い。早い目に各国に居る者達へ連絡を取るのもそうだが城の者達へも帰る趣旨を伝えねばならぬのでな」
治療用にと使っていた救急箱を手早く元あった場所に片付け、用件をちょっとだけ話したと思ったのも束の間。庭の方へ置いておいたブーツを履き、一度も振り返る事無く足早に去って行ってしまった。
(急ぐのは解るけど水晶だって治療して行けば良いのに…)「Σって…あ!もうこんな時間なら急がなきゃっ!私もやる事あったんだ!」
部屋にあった時計に目をやって確認してから慌てて立ち上がり、エクの傍に置いてあった刀を持って縁側に置いていたブーツに足を通した
(このまま置いてくのはちょっと心もとないけど…仕方ないわよね)
布団の中ですやすやと規則的な寝息を立てたまま、一向に起きる気配を見せないエクへ視線を向けていたが心配はないだろう。と考えて彼女は城の方へ向けて駆けて行った。