夢より現れしは紅き退魔の剣
自分が気付かないうちに起こった彼の急激な体調悪化に驚き、慌てて駆け寄ったが彼は心配ないと言わんばかりに咳き込みつつも首を横に振った
「エク…もういいからアンタは休んでて 吐血もしてるみたいだし……それに、これ以上無理したら「平気…だっ、て…ばっ……ごほっ。い、良いから!はっ…はぁ…っ…俺がもう一回炎であの二人を囲うから、その後手伝ってくれ!!」
「そ、そんなの許可できるわけないでしょ?!アンタが今どういう状態になっているか解ってるのっ?!」
「どういう状態だろうと後で後悔する事になるぐらいなら今やるっきゃないだろっ!!!」
御幻の制止を振り切り、地面へ突き立てた炎魔刀を支えにするようにしてよろよろと立ち上がり、もう一度刀を構えて大きく深呼吸をした。
一旦そこで呼吸を整えた後。もう一度炎魔刀へ強く力を込めると、それから直ぐに今まで以上に強烈な疲労感と心臓が引き絞られるかの様な感覚に酷く眩暈がして意識が朦朧としたが、それでも歯を強く噛み締めて耐えながら、刀に纏わせた螺旋状の炎をもう一度召喚した。
その動きを不穏に感じた二人が攻撃を仕掛けるよりも先に、エクはその炎を大きく円を描く様にして操った事で、予定通り二人を囲う事に成功した。
「は…はははっ。やったぜ!」
意識がやや霞んではいたが、それでも彼は普段通り得意げに笑ってみせた。
そんな中。炎に囲われてしまった二人は背中合わせにして辺りを見回していた
『侮っていたわね…まさかあの子にあんな力が残っていたなんて…』
『私も同感よ…これ以上は流石に扱えないと思っていたから…』
どうにかして片方だけでも助けたいとお互いがそう思いながら退路を探し合っていた時だった。レルクの視界の端に黒いものが飛ぶ姿が微かに見え、疑問に思いながら目を細めて確認した途端。彼女の表情に完全な焦りの色が見え、その存在をまだ気づいていないセフィリアへ注意を促すよりも先に彼女の前に駆け寄ってからしっかりと抱きしめた。
『?!レルク?一体どうし…』
何も言わず急に抱きしめられて少し驚いた様子だったが、とりあえず返すべきだろうか?と背中に手を回した時だった。手の平に生暖かい感覚が広がり、それが背中を斬られた事による血だと認識する前に、彼女は力なくその場に倒れた。
『セフィ…逃げっ……』
弱々しい声で逃げて欲しいと呟いた願いは届かず、レルクの事で酷く動揺してしまっていたセフィリアも胸部を大きく斬り裂かれ地面に倒れた。 炎魔刀から退魔の剣へと持ち替えたエクによって
地面に倒れた二人の傷からはこれ以上反撃はできないだろう…と考えたエクは、鞘に納めていた炎魔刀を使って周りの炎を消し去った。
ようやく終わったのかもしれない。そう思った途端に急速に力が抜けて彼はその場に座り込んでしまった
「御幻…俺。やったんだよな…」
今は会話が出来る状態ではないことを知ってはいたが、それでも彼は話しかけて今出来る限りの笑顔を向けていた。
そんな和やかな雰囲気の中。出血が多く重傷であり、傷口からは石化が進んできている筈の二人がお互いを支えながらよろよろと立ち上がった。
「エク…もういいからアンタは休んでて 吐血もしてるみたいだし……それに、これ以上無理したら「平気…だっ、て…ばっ……ごほっ。い、良いから!はっ…はぁ…っ…俺がもう一回炎であの二人を囲うから、その後手伝ってくれ!!」
「そ、そんなの許可できるわけないでしょ?!アンタが今どういう状態になっているか解ってるのっ?!」
「どういう状態だろうと後で後悔する事になるぐらいなら今やるっきゃないだろっ!!!」
御幻の制止を振り切り、地面へ突き立てた炎魔刀を支えにするようにしてよろよろと立ち上がり、もう一度刀を構えて大きく深呼吸をした。
一旦そこで呼吸を整えた後。もう一度炎魔刀へ強く力を込めると、それから直ぐに今まで以上に強烈な疲労感と心臓が引き絞られるかの様な感覚に酷く眩暈がして意識が朦朧としたが、それでも歯を強く噛み締めて耐えながら、刀に纏わせた螺旋状の炎をもう一度召喚した。
その動きを不穏に感じた二人が攻撃を仕掛けるよりも先に、エクはその炎を大きく円を描く様にして操った事で、予定通り二人を囲う事に成功した。
「は…はははっ。やったぜ!」
意識がやや霞んではいたが、それでも彼は普段通り得意げに笑ってみせた。
そんな中。炎に囲われてしまった二人は背中合わせにして辺りを見回していた
『侮っていたわね…まさかあの子にあんな力が残っていたなんて…』
『私も同感よ…これ以上は流石に扱えないと思っていたから…』
どうにかして片方だけでも助けたいとお互いがそう思いながら退路を探し合っていた時だった。レルクの視界の端に黒いものが飛ぶ姿が微かに見え、疑問に思いながら目を細めて確認した途端。彼女の表情に完全な焦りの色が見え、その存在をまだ気づいていないセフィリアへ注意を促すよりも先に彼女の前に駆け寄ってからしっかりと抱きしめた。
『?!レルク?一体どうし…』
何も言わず急に抱きしめられて少し驚いた様子だったが、とりあえず返すべきだろうか?と背中に手を回した時だった。手の平に生暖かい感覚が広がり、それが背中を斬られた事による血だと認識する前に、彼女は力なくその場に倒れた。
『セフィ…逃げっ……』
弱々しい声で逃げて欲しいと呟いた願いは届かず、レルクの事で酷く動揺してしまっていたセフィリアも胸部を大きく斬り裂かれ地面に倒れた。 炎魔刀から退魔の剣へと持ち替えたエクによって
地面に倒れた二人の傷からはこれ以上反撃はできないだろう…と考えたエクは、鞘に納めていた炎魔刀を使って周りの炎を消し去った。
ようやく終わったのかもしれない。そう思った途端に急速に力が抜けて彼はその場に座り込んでしまった
「御幻…俺。やったんだよな…」
今は会話が出来る状態ではないことを知ってはいたが、それでも彼は話しかけて今出来る限りの笑顔を向けていた。
そんな和やかな雰囲気の中。出血が多く重傷であり、傷口からは石化が進んできている筈の二人がお互いを支えながらよろよろと立ち上がった。