夢より現れしは紅き退魔の剣
至近距離で最大限の風の魔法が放たれた事もあって防御も間に合わず、周りの木々が大きくしなる様程の突風と風が突き抜ける轟音と共に彼女は大きく吹き飛ばされ、即座に空中で受け身をとって着地したが、突風によって巻き上げられていた小石等の破片は回避出来なかったらしく、腕や足、そして頬と右瞼が切れてしまったらしく鋭い痛みと共に血が流れた
瞼が切られた事で視界が片方塞がれてはいたが、それでも怯む事無く前を向いていると、距離が空いているお蔭で余裕が出来たリースは、破壊された大剣を片付けてから無数のナイフを召喚し、それを彼女めがけて一気に飛ばした
視界を塞がれている右側を重点的に自身を囲う様な結晶の壁を作り、目の前から飛んできているナイフと打ち落としとそれを操作するリースへの攻撃も兼ねて、水晶は空中に先端を鋭利に尖られた氷柱状の結晶を幾つも召喚し、その結晶をまるで雨の様に降り注がせた
『嘘やろっ?!今こんな状況でそれって!』
目の前で操っている無数のナイフが撃ち落とされていく中。彼自身の方にも氷柱が降り注いだので、風魔法を使って避けようと上に注意を逸らした事で、ナイフの動きが空中でピタリと止まった。
その隙に彼女は地面へ一旦伏せてから地面へ手を置き、意識を集中させて力を込めた。
それにより彼女が手を置いている周りの空気が急激に冷え始め、リースの元へと一直線に氷の結晶を召喚し、彼に当たる寸前の所でその結晶は今までの様な先端が尖った姿とは違う巨大な柱状の物が突き上げる様にして召喚され、避ける間もなくリースの腹部へとそれは直撃した。
受け身をとるよりも先に柱で突き上げられた衝撃で、背後にあった礼拝堂の壁へと背中から激しく叩き付けられた
『かはっ…痛っー…!!』
柱によって突き上げられ、痛む腹部を抑えながらその場に膝を付いて咳き込み、何とかして立ち上がろうと顔を上げた瞬間。彼の喉元にチクリとした微かな痛みと共に、水晶の持つ細剣が突き付けられていた。
「私の勝ちだ。リース」
得意気に笑う彼女の姿に対し、リースは溜め息交じりではあったが、降参の意を込めて軽く両手を上げた
『参ったわ…降参や。流石は聖仙界の隊長さん 俺の負けやし、本部に連れて行くでもここで始末するでも好きにしぃや……けど、最後に二つ程頼んでエエか?』
「ほう…頼みとな?それは元。同僚としてだろうか?それとも…」
そこであえて言葉を切ってやると、続きの言葉を察したらしいリースはばつが悪そうに顔を背けながら頭を掻いた
『今ソレ引き合いに出すとか酷過ぎやろ…;元。同僚や同僚!……えっと…こっからちょっと離れた所に、氷綺を逃がしてあるんやけど…セフィ嬢やレルク嬢とはあんまし関係ないから手は下さんといたってや。友達…なんや
後はリークの事。あっちの人らにはお願いしといたけど、アンタにも頼んどくわ…』
「それだけで良いのか?」
『二つほど。って言ったからな』
「そうか…なら」
どうせ負けた自分が出来る事はこれぐらいだろう…と思いながら、元。同僚として頼みごとを終えると、首に付きつけられていた細剣が一旦離れた
これで終わるのか…と全てを受け入れて覚悟を決めた彼は、ギュッと強く目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは聖仙界での出来事とセフィリア達と過ごした日々。
そして別れる前に見たリークの笑顔
元気にしていると聞いたけれど、出来る事なら最後にもう一度だけ顔だけでも見たかった。との考えがふと脳裏を過ったが、これ以上は仕方ないな。と考え、無理に思考を押しのけた。
瞼が切られた事で視界が片方塞がれてはいたが、それでも怯む事無く前を向いていると、距離が空いているお蔭で余裕が出来たリースは、破壊された大剣を片付けてから無数のナイフを召喚し、それを彼女めがけて一気に飛ばした
視界を塞がれている右側を重点的に自身を囲う様な結晶の壁を作り、目の前から飛んできているナイフと打ち落としとそれを操作するリースへの攻撃も兼ねて、水晶は空中に先端を鋭利に尖られた氷柱状の結晶を幾つも召喚し、その結晶をまるで雨の様に降り注がせた
『嘘やろっ?!今こんな状況でそれって!』
目の前で操っている無数のナイフが撃ち落とされていく中。彼自身の方にも氷柱が降り注いだので、風魔法を使って避けようと上に注意を逸らした事で、ナイフの動きが空中でピタリと止まった。
その隙に彼女は地面へ一旦伏せてから地面へ手を置き、意識を集中させて力を込めた。
それにより彼女が手を置いている周りの空気が急激に冷え始め、リースの元へと一直線に氷の結晶を召喚し、彼に当たる寸前の所でその結晶は今までの様な先端が尖った姿とは違う巨大な柱状の物が突き上げる様にして召喚され、避ける間もなくリースの腹部へとそれは直撃した。
受け身をとるよりも先に柱で突き上げられた衝撃で、背後にあった礼拝堂の壁へと背中から激しく叩き付けられた
『かはっ…痛っー…!!』
柱によって突き上げられ、痛む腹部を抑えながらその場に膝を付いて咳き込み、何とかして立ち上がろうと顔を上げた瞬間。彼の喉元にチクリとした微かな痛みと共に、水晶の持つ細剣が突き付けられていた。
「私の勝ちだ。リース」
得意気に笑う彼女の姿に対し、リースは溜め息交じりではあったが、降参の意を込めて軽く両手を上げた
『参ったわ…降参や。流石は聖仙界の隊長さん 俺の負けやし、本部に連れて行くでもここで始末するでも好きにしぃや……けど、最後に二つ程頼んでエエか?』
「ほう…頼みとな?それは元。同僚としてだろうか?それとも…」
そこであえて言葉を切ってやると、続きの言葉を察したらしいリースはばつが悪そうに顔を背けながら頭を掻いた
『今ソレ引き合いに出すとか酷過ぎやろ…;元。同僚や同僚!……えっと…こっからちょっと離れた所に、氷綺を逃がしてあるんやけど…セフィ嬢やレルク嬢とはあんまし関係ないから手は下さんといたってや。友達…なんや
後はリークの事。あっちの人らにはお願いしといたけど、アンタにも頼んどくわ…』
「それだけで良いのか?」
『二つほど。って言ったからな』
「そうか…なら」
どうせ負けた自分が出来る事はこれぐらいだろう…と思いながら、元。同僚として頼みごとを終えると、首に付きつけられていた細剣が一旦離れた
これで終わるのか…と全てを受け入れて覚悟を決めた彼は、ギュッと強く目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは聖仙界での出来事とセフィリア達と過ごした日々。
そして別れる前に見たリークの笑顔
元気にしていると聞いたけれど、出来る事なら最後にもう一度だけ顔だけでも見たかった。との考えがふと脳裏を過ったが、これ以上は仕方ないな。と考え、無理に思考を押しのけた。