夢より現れしは紅き退魔の剣
リースから伝言を受け取った日の夕方。いつもと変わらない調子で布団の上にエクが寝ころび、その近くに御幻が座って水晶が縁側で空を見上げていた
「約束の時間…もうすぐなのよね?」
「そうなるな。だが…全くもって不思議な話だのぅ…上から下された命が、上手く行けばもうすぐで終わるかも知れぬと言うのに…どうしても気がかりな事が残っておる…」
「なぁ水晶ちゃん。どうせなら聞いても良いかな?」
「?何だろうか?」
「リース…だっけ?アイツの事がいまいちよく解んないから詳しく聞きたいな~と思って なんかさ、あんなのと一緒にいる割に俺らの事助けようとしてくれて…リー君の事を聞いたら本当に嬉しそうだったけど、あの双子にはめっちゃ冷たくて…」
「ああその事か…なら先に問わせて貰おう。グレイル、主は…自分とは違う異種族の事をどう思う?」
何気無く問いかけた疑問だったのだが、逆に聞き返されてしまって多少驚いたように目を丸くしていたが、ゴロン。と一度仰向けに寝転がるとその問いについて考えた
自分と違う異種族と問われ、脳裏に浮かぶのは御幻やシェリルの姿。当たり前の様に一緒に暮らしているからか別に何とも思わない事を告げると、彼女は何回か頷いた
「なるほど…な。私の居る場所では、異種族が混在している場所でもあってな…そちらでは勿論種族同士のいざこざもあるから、私達は権力者の指示の元で治安を守る事が使命だった…
だがある時その場所の権力者が代わってな…そのお嬢様は、主と違って酷く夜の者を嫌ったのだ ここまでは良いか?」
「なんとなく…」
「そしてある時お嬢様は私達に命じたのだ。夜の者を全て狩り尽くせ…と。私達はそれが正義と考え、疑わず只ひたすら狩っていたが…その中でリースだけが反対しておった」
「夜狩り…だっけ?夜の種族を全部殲滅したとかそんなの… …その時期辺りに私の一族も滅されて…でもその後拾って貰えて今に至るけど」
「うむ。そうだったな 元々どの種族にも分け隔てなく接していたリースは表向きは従っておったが、裏ではまだ力も幼き者達を逃がしたり守ろうとしておったらしくて…昨日あったと言う兼は、もしかしたらそれと同じ理由なのかもしれぬな 退魔の力を持たぬ彼らが無残に殺られるかもしれぬ状況が…それと重なったのだろう
だが途中からリースの姿を見なくなってな」
「へぇ~そうなんだ…あんなに軽そうな感じなのにそんな理由あったんだ…」
「…その後。彼らのリーダー的存在であったセフィリアを捕えた私達は、彼女を処刑する事で全てを終わらせられる筈だった…が、彼女を助けに来たレルクたちの妨害に遭って逃げられたと言う事だ。何故かその際にリースが居た…
脱出した奴らはこちらに逃げたともあって、私達が各国に派遣された。と言う事だ…しかし……一度礼拝堂で会ったあのローブの人物…どこかで見た気もするのだが……」
うーん…と顎に手を添えながら人差し指を下唇に当ててずっと悩んでいたが、今回も答えは出そうに無く、話を聞き終えたエクは、無言のまま布団へと大の字になって寝転んだ
「なんか…水晶ちゃんの言ってた上司ってめっちゃめんどくさい人だよなー…別にいざこざあったって一緒に暮らしてればいいのにさ…俺だったら絶対無理だな~…」
何気無く言ったエクの言葉に水晶は苦笑いを浮かべた
「お嬢様も主の様な楽観的な者だったら良かったのかもしれぬな…」
その呟く様な言葉はエクには届いていなかったものの、御幻にはある意味でその言葉は彼女の本音の様にも聞こえた
色々と話をしていたお蔭で、ふと空を見上げる頃には日が完全に沈みきって微かに月明かりが照らしていた。
「約束の時間…もうすぐなのよね?」
「そうなるな。だが…全くもって不思議な話だのぅ…上から下された命が、上手く行けばもうすぐで終わるかも知れぬと言うのに…どうしても気がかりな事が残っておる…」
「なぁ水晶ちゃん。どうせなら聞いても良いかな?」
「?何だろうか?」
「リース…だっけ?アイツの事がいまいちよく解んないから詳しく聞きたいな~と思って なんかさ、あんなのと一緒にいる割に俺らの事助けようとしてくれて…リー君の事を聞いたら本当に嬉しそうだったけど、あの双子にはめっちゃ冷たくて…」
「ああその事か…なら先に問わせて貰おう。グレイル、主は…自分とは違う異種族の事をどう思う?」
何気無く問いかけた疑問だったのだが、逆に聞き返されてしまって多少驚いたように目を丸くしていたが、ゴロン。と一度仰向けに寝転がるとその問いについて考えた
自分と違う異種族と問われ、脳裏に浮かぶのは御幻やシェリルの姿。当たり前の様に一緒に暮らしているからか別に何とも思わない事を告げると、彼女は何回か頷いた
「なるほど…な。私の居る場所では、異種族が混在している場所でもあってな…そちらでは勿論種族同士のいざこざもあるから、私達は権力者の指示の元で治安を守る事が使命だった…
だがある時その場所の権力者が代わってな…そのお嬢様は、主と違って酷く夜の者を嫌ったのだ ここまでは良いか?」
「なんとなく…」
「そしてある時お嬢様は私達に命じたのだ。夜の者を全て狩り尽くせ…と。私達はそれが正義と考え、疑わず只ひたすら狩っていたが…その中でリースだけが反対しておった」
「夜狩り…だっけ?夜の種族を全部殲滅したとかそんなの… …その時期辺りに私の一族も滅されて…でもその後拾って貰えて今に至るけど」
「うむ。そうだったな 元々どの種族にも分け隔てなく接していたリースは表向きは従っておったが、裏ではまだ力も幼き者達を逃がしたり守ろうとしておったらしくて…昨日あったと言う兼は、もしかしたらそれと同じ理由なのかもしれぬな 退魔の力を持たぬ彼らが無残に殺られるかもしれぬ状況が…それと重なったのだろう
だが途中からリースの姿を見なくなってな」
「へぇ~そうなんだ…あんなに軽そうな感じなのにそんな理由あったんだ…」
「…その後。彼らのリーダー的存在であったセフィリアを捕えた私達は、彼女を処刑する事で全てを終わらせられる筈だった…が、彼女を助けに来たレルクたちの妨害に遭って逃げられたと言う事だ。何故かその際にリースが居た…
脱出した奴らはこちらに逃げたともあって、私達が各国に派遣された。と言う事だ…しかし……一度礼拝堂で会ったあのローブの人物…どこかで見た気もするのだが……」
うーん…と顎に手を添えながら人差し指を下唇に当ててずっと悩んでいたが、今回も答えは出そうに無く、話を聞き終えたエクは、無言のまま布団へと大の字になって寝転んだ
「なんか…水晶ちゃんの言ってた上司ってめっちゃめんどくさい人だよなー…別にいざこざあったって一緒に暮らしてればいいのにさ…俺だったら絶対無理だな~…」
何気無く言ったエクの言葉に水晶は苦笑いを浮かべた
「お嬢様も主の様な楽観的な者だったら良かったのかもしれぬな…」
その呟く様な言葉はエクには届いていなかったものの、御幻にはある意味でその言葉は彼女の本音の様にも聞こえた
色々と話をしていたお蔭で、ふと空を見上げる頃には日が完全に沈みきって微かに月明かりが照らしていた。